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NFC所蔵作品選集
MoMAK Films @ home 日本 2010年10月9日(土)・10日(日)
「『日本画』の前衛 1938-1949」展にあわせ、1930年代の前衛を切り口に日本映画を概観。前衛的映画として、当時から世界的に評価され、今もその卓越した表現で見る者を圧倒する個人映画作家の荻野茂二の作品群と、音楽家の貴志康一がドイツで撮った作品を特集上映。劇映画からは、<新しき村>に参加し社会的前衛でもあった木村莊十二監督、独立プロを起こして女性を描いた入江たか子のプロダクション作品をとりあげる。
会場情報と料金については、こちら
- 10月9日(土)14:00–15:34 『鏡』(SPIEGEL) 1933年
- 16分・白黒
- 3度にわたる渡欧の中でフルトヴェングラーやヒンデミットに師事し、ヴァイオリン奏者・作曲家として近年評価が高まる一方の夭折の音楽家、貴志康一(1909-1937)。彼が一時期映画に傾けた情熱を物語る2作品が、ドイツより里帰りを果たした。貴志は1931年に貴志学術映画研究所を設立し、美学者の中井正一らとともに前衛的な3本の作品を日本で撮影、そのフィルムを携えて33年にベルリンを訪れた。このうちの1本『第四作品』がウーファに買い取られ、貴志が自ら監督・音楽監督に着任。在ドイツのオペラ歌手・湯浅初枝が出演するシーンを撮り足し、ドイツ語ナレーションと音楽を加えてトーキー文化映画としてドイツで公開した。日本文化を紹介する内容に作り変えられてはいるが、魚眼レンズや多重露光を用いた部分などに、前衛映画としての片鱗をうかがうことができる。
(素材提供:ドイツ連邦アーカイヴ、復元作業:ハーゲフィルム)
製作 | ニコラウス・カウフマン |
---|---|
監督 | 貴志康一 |
脚本 | ヴィルヘルム・プラガー |
解説 | ヴィルヘルム・マルテン |
音楽 | 貴志康一 |
出演 | 湯浅初枝 |
- 『春』(IM FRUHLING – EIN FILM VON JAPANISCHEN FRUHLINGSFESTEN)
1934年 - 13分・白黒
- 『鏡』の好評を受け、貴志が再び手持ちのフィルムに新たな映像を撮り足して作ったウーファ文化映画。春日大社祭、三船祭など、花々に彩られた日本の春祭を紹介する内容で、『鏡』には残されていた前衛映画としての性格はもはやほとんど見られないが、作曲家としての貴志の才能を確認する上で貴重な資料である。
(素材提供:ドイツ連邦アーカイヴ、復元作業:ハーゲフィルム)
製作 | ニコラウス・カウフマン |
---|---|
監督 | 貴志康一、ヴィルヘルム・プラガー |
脚本 | 貴志康一、ヴィルヘルム・プラガー |
解説 | マルティン・ヤコプ |
音楽 | 貴志康一 |
出演 | 湯浅初枝 |
- [荻野コレクション]
- 戦前は国内外の小型映画コンクールで次々と入賞し、戦後はオギノ8ミリ教室を主宰してアマチュア映画の普及に努めた個人映画作家のパイオニア・荻野茂二(1899-1991)の諸作品を上映。荻野コレクションは、1990年代前半に御子息からNFCに寄贈されたフィルム群であり、NFCではこれまで7本をプリントにブローアップして復元し、新たに5本を復元した。今回はその中から上野松坂屋の広報映画『母を迎へて』、ドイツの”都市映画”『伯林 大都会交響楽』(W.ルットマン監督、1927年)の影響が垣間見える『街』、水の流れを抽象映画として表現した『River』、「文化映画」的要素の強い『寒天』(原版は16mm、ほかは9.5mmからのブローアップ)を含む8作品を上映。
- 街(14分・無声・白黒・’30)
- 母を迎へて(16分・無声・白黒・’31)
- ?(はてな)/三角のリズム/トランプの爭 (4分・無声・白黒・’32)
- River (6分・無声・白黒・ ’33)
- PROPAGATE(開花)(4分・無声・白黒・’35)
- AN EXPRESSION(表現) (3分・無声・彩色・’35)
- RHYTHM(2分・無声・白黒・’35)
- 寒天(16分・パートカラー・’37)
※『鏡』・『春』・[荻野コレクション]は、1つのプログラムとして続けて上映します。
- 10月9日(土)15:55–18:22 『月よりの使者』 1934年
- 147分・18fps・無声・白黒
- ロサンゼルスの全米日系人博物館から寄贈された伴武氏の遺品(バン・コレクション)の16mmプリントからNFCが復元した作品を上映する。入江たか子の代表作『瀧の白糸』(1933)の翌年に製作され、当時大ヒットを記録したメロドラマ。3人の男性から求婚される療養所の看護婦の波瀾万丈の物語。1949年(加戸敏監督、花柳小菊主演)と1954年(田中重雄監督、山本富士子主演)にリメイクされている。
監督 | 田坂具隆 |
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脚本 | 木村千疋男 |
原作 | 久米正雄 |
撮影 | 伊佐山三郎 |
出演 | 入江たか子、高田稔、水原玲子、中野かほる、菅井一郎、牧英勝、江川なほみ、 見明凡太郎、浅田健二、松本泰輔、沖悦児、荒木忍、浦辺粂子 |
- 10月10日(日)14:00–15:01 『兄いもうと』 1936年
- 61分・白黒
- 1930年代後半に流行した「文芸映画」の一本で、室生犀星の同名小説の最初の映画化である(戦後に成瀬巳喜男と今井正がリメイク)。多摩川べりの家を舞台に、男に捨てられて妊娠して家に戻ってきた妹と、愛するがゆえに妹を許せずつらく当たってしまう兄の愛憎を濃密に描く。
監督 | 木村莊十二 |
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脚本 | 江口又吉 |
原作 | 室生犀星 |
撮影 | 立花幹也 |
美術 | 阿部輝明 |
音楽 | 近衛秀麿 |
出演 | 竹久千惠子、丸山定夫、小杉義男、英百合子、堀越節子、大川平八郎 |
- 10月10日(日)15:15–16:14 『からゆきさん』 1937年
- 59分・白黒
- 入江たか子が南方帰りの女=母を演じた意欲作品。社会派の木村莊十二監督が、薄幸の女たちの運命をスクリーンの上に拡げてみせた、戦前版の「からゆきさん」である。
監督 | 木村莊十二 |
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脚本 | 畑本秋一、東坊城恭長 |
原作 | 鮫島麟太郎 |
撮影 | 立花幹也 |
美術 | 山崎醇之助 |
音楽 | 紙恭輔 |
出演 | 清川虹子、清川玉枝、毛利菊枝、島田好乃、入江たか子 |
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