展覧会
〈若きポーランド〉-色彩と魂の詩 1890-1918
2025.03.25 tue. - 06.29 sun.
ポーランドの国民的作曲家フリデリク・ショパンが、祖国を離れた後、最終的にパリで生涯を過ごすことになったのは、1830年にワルシャワでおこった十一月蜂起と、翌年のその失敗が遠因でした。1795年にポーランドは、国土をロシア、プロイセン、オーストリアに分割占領され、世界地図からその姿を消すことになります。これ以後、祖国の独立を求める蜂起や反乱が繰り返されますが、その実現は1918年の第一次世界大戦終結を待たなければなりませんでした。この123年間、国を失った人々が自らのアイデンティティの拠り所としたのが、文学や音楽そして絵画などの芸術であり、言語や宗教を含む広義の文化でした。そしてその中心地として重要な役割を果たしたのが、古都クラクフです。
19世紀後半、ポーランドの歴史や文化的逸話を大きなスケールで描き名声を博したのがヤン・マテイコです。クラクフ美術学校教授を務めた彼のもとからは、数多くの若き芸術家たちが巣立ちます。彼らは、祖国の独立を願いつつ、そこに自らの個人としての心情を結びつけ、象徴性に富み色彩豊かな独自の芸術を、絵画のみならず応用芸術や文学をも含む広い分野で展開しました。〈若きポーランド〉と呼ばれた彼らは、印象派など当時西欧で新しく生まれた芸術の動向を貪欲に吸収し、浮世絵を主とする日本美術を参照する傍ら、地方に残る伝統文化を発見・再解釈しながら、ポーランドの国民芸術の在るべき姿を模索しました。本展では、ヤン・マテイコを前史とし、〈若きポーランド〉が生み出した芸術を包括的に、日本で初めて紹介します。
本展は、クラクフ国立博物館の全面的な協力のもと、ポーランド文化・国家遺産省からの助成を得て開催されます。クラクフ国立博物館を筆頭に、ワルシャワを含む複数の国立博物館さらには多くの個人所蔵家から招来した、マテイコそして〈若きポーランド〉の数多くの代表的絵画作品ならびに版画、家具やテキスタイルなどの工芸品を含む約130点によって、前世紀転換期に花開いたポーランド美術の真髄をご覧いただきます。
*画像(上):スタニスワフ・ヴィスピャンスキ 《夜明けのプランティ公園、クラクフ(ヴァヴェル城を臨むプランティ公園)》 1894年 油彩/カンヴァス 100.0×201.0 cm 個人蔵(クラクフ国立博物館寄託)
関連リンク
公式ウェブサイト
会期
2025年3月25日(火)~6月29日(日)
開館時間
午前10時~午後6時
金曜日は午後8時まで開館
*入館は閉館の30分前まで
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ヤン・マテイコ《1683年、ウィーンでの対トルコ軍勝利伝達の教皇宛書簡を使者デンホフに手渡すヤン3世ソビェスキ》
1880年、油彩/カンヴァス、58.0×100.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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ヤツェク・マルチェフスキ《画家の霊感》
1897年、油彩/カンヴァス、79.0×64.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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ユリアン・ファワト 《冬景色》
1915年、油彩/カンヴァス、80.5×161.0 cm
クラクフ国立博物館
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ヴォイチェフ・ヴァイス《ケシの花》
1902年、油彩/カンヴァス、88.0×175.0 cm
個人蔵(クラクフ国立博物館寄託)
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ヤツェク・マルチェフスキ《フェリクス・ヤシェンスキの肖像》
1903年、油彩/板、61.0×50.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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レオン・ヴィチュウコフスキ《日本女性》
1897年、油彩/カンヴァス、75.5×50.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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オルガ・ボズナンスカ《菊を抱く少女》
1894年、油彩/厚紙、88.5×69.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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スタニスワフ・ヴィスピャンスキ[デザイン];ザヨンチェク&ランコシュ、ケンティ[布地製作];ヘレナ・チェレムガ[刺繍]《ゼラニウム模様の刺繍があるペルメット》
1904年頃、ウール、104.0×224.0 cm
クラクフ国立博物館
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スタニスワフ・ヴィスピャンスキ[デザイン];アンジェイ・シドル[製作]《椅子》
1904-05年、クルミ材、120.0 (h)×51.0×51.0 cm
クラクフ国立博物館
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ヴウォジミェシュ・テトマイェル《芸術家の家族》
1905年、油彩/カンヴァス、72.0×136.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
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テオドル・アクセントヴィチ《ヨルダンの祝祭》
1895年、油彩/カンヴァス、150.0×225.0 cm
ワルシャワ国立博物館蔵
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ヤツェク・マルチェフスキ《ピューティアー》
1917年、油彩/カンヴァス、210.0×110.0 cm
クラクフ国立博物館蔵
主催
京都国立近代美術館、クラクフ国立博物館、NHK京都放送局、NHKエンタープライズ近畿、京都新聞
名誉後援
ポーランド共和国文化・国家遺産大臣
後援
ポーランド共和国外務省、日本外務省
協力
ポーランド広報文化センター
制作協力
NHKプロモーション
*本展は、ポーランド共和国文化・国家遺産省の助成を受けて実施します。
*本展は、EXPO2025大阪・関西万博ポーランドパビリオン関連イベントの一環として開催します。