展覧会玉村方久斗展 4F展示
玉村方久斗をさらに知るために
玉村方久斗展 4F展示
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- 玉村方久斗は「日本画変革の先導者」とも呼ばれるように、日本画家として唯一、「第一作家同盟(D・S・D)」や「三科」、「単位三科」など、大正期に登場し活発化する前衛美術運動に身を投じました。前衛的な立体造形作品を制作発表し、今回の展覧会でも紹介している前衛雑誌『エポック』や『ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム』の刊行にかかわるほか、「劇場の三科」でも二度にわたり劇を演出するなど、日本画を描きながらも、注目すべき活動を展開しました。
- このような活動の背景には、村山知義をはじめとするわが国前衛運動の推進者たちとの直接の交流のみならず、カンディンスキーをはじめ、ヨーロッパの新たな表現動向に対しても強い関心があったからです。強烈な個性が示された前衛雑誌『ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム』は、よく知られた村山の『マヴォ』にも、ほぼ1ヶ月先んじて(1924年6月13日)発行され、『ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム』には、その村山も登場しています。一方『マヴォ』5号(1925年)では、玉村善之助(方久斗)・村山知義編輯でエポック社から出版される、石版画集『QVX』の広告も掲載されていました。そして両雑誌のレイアウトには、ともに響きあう感性が認められるでしょう。
- 当館では現在、創作版画の第一人者・川西 英の貴重な旧蔵コレクションの収蔵をすすめています。そのなかには『マヴォ』のほか、村山知義や後の田河水泡・高見澤路直の版画や、新興美術家協会で玉村とともに出品していた恩地孝四郎の作品なども含まれており、このコーナーでは、玉村が影響を受けたであろう同時代の作品・資料などを紹介しています。また、第一作家同盟(D・S・D)やマヴォ、未来派美術協会、アクションなどが結集して、1924年に三科造形美術協会が結成されましたが、未来派美術協会の普門 暁、アクションの古賀春江、中川紀元らの作品も加えています。さらに当館では、村山や玉村も関心を寄せたダダの機関紙や、クルト・シュヴィッタースほかの海外作家の作品も収蔵し、今回そうした関連作品・資料も集めながら、玉村が刺戟を受けたに違いない同時代の前衛動向をふりかえります。
- また玉村方久斗は、京都市立美術工芸学校・京都絵画専門学校に学びましたが、その同窓であり、両校の同窓生で結成した日本画研究団体「密栗会(みつりつかい)」にも属し、近年特に人気の高い岡本神草の作品も加えました。
(主任研究員・山野英嗣)
展示目録
作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
中川 紀元 | 1892–1972 | 風景 | 1920 | |
中川 紀元 | 1892–1972 | 婦人像 | 1920 | |
中川 紀元 | 1892–1972 | 裸婦 | 1923 | |
古賀 春江 | 1895–1933 | 埋葬 | 1922 | 第9回二科展 寄託作品(総本山知恩院蔵) |
マックス・エルンスト | 1891–1976 | 怒れる人々 | 1927 | マックス・エルンスト展 (ベルリン市立美術館 1956) |
ハンス・アルプ | 1886–1966 | 『7点のアルプ版画集(メルツ5)』 | 1923 | |
ハンナ・ヘッヒ | 1889–1978 | 小さい傘 | 1969 | |
ハンナ・ヘッヒ | 1889–1978 | 日本の夏 | 1966 | |
ピエト・モンドリアン | 1872–1944 | コンポジション | 1929 | |
ピエト・モンドリアン | 1872–1944 | コンポジション | c. 1916 | |
村山知義 編集・発行 | 『マヴォ』(1、2、3、5、6、7号) | 1924–25 | ||
野川隆・玉村善之助 編集・発行 |
『ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム』 | 1924–26 | 復刻版、不二出版 2007 | |
クルト・シュヴィッタース 著 | 1887–1948 | 『アンナ・ブルーメに寄せて』(初版) | 1919 | |
クルト・シュヴィッタース | 1887–1948 | テオ・ヴァン・ドゥースブルフ ダダソフィー |
1923 | |
メルツ編集 | 『メルツ』11号 タイポ広告〔ペリカン号〕 | 1924 | ||
『ダダ』6号 | 1920 | |||
『291』2号 | 1915 | |||
普門 暁 | 1896–1972 | 鹿・光 | 1919 | |
ダヴィッド・ブルリューク | 1882–1967 | ジプシーの女 | 1920 | ロシア未来派美術展(1920) |
恩地 孝四郎 | 1891–1955 | 人体考察(肩) | 1927 | |
高見沢 路直 (後の田河水泡) |
1899–1989 | 作品 | c. 1924 | |
村山 知義 | 1901–1977 | Shi | c. 1924 | |
村山 知義 | 1901–1977 | サディスティッシュな空間 | 1921–22 | |
クルト・シュヴィッタース | 1887–1948 | 無題(羊毛玉のある絵画) | 1942–45 | |
クルト・シュヴィッタース | 1887–1948 | 無題(安らぎのひととき) | 1942 | |
クルト・シュヴィッタース | 1887–1948 | 無題(赤に赤) | 1928–30 | |
クルト・シュヴィッタース | 1887–1948 | 無題(ボール紙の上に) | 1929–30 | |
岡本 神草 | 1894–1933 | 拳を打てる三人の舞妓の習作 | 1920 | |
岡本 神草 | 1894–1933 | 拳を打てる三人の舞妓・下図 | 1920 | |
岡本 神草 | 1894–1933 | 五女遊戯(未完) | 1924 | |
岡本 神草 | 1894–1933 | 骨牌を持てる半裸女 | 1922 |
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