展覧会スペイン陶芸展
スペイン陶芸展
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スペインの生んだ世界的な巨匠ピカソやミロらが、彼等の表現の重要な一分野として多くの陶芸作品を制作したため、スペインの現代陶芸はその陰に匿されてきた観がある。しかし、スペインはマリョルカ島の錫釉陶器に見られるような、中世以来すぐれた陶芸の伝統を有しており(ミロが作品を焼いたオルティガス窯もマリョルカ島の窯である)、現代陶芸の分野に於いても、国際的に高い評価を受けている作家が少くない。
今回の展覧会は、これまで纒まって紹介される機会が一度もなかったスペイン陶芸の現在の状況を、8人の作家の49点の作品によって紹介するものであった。8人の作家は、1986年秋、バルセロナで開催された「国際陶芸アカデミー」に共賛してマドリッド現代美術館で開催された《スペイン現代陶芸展》出品の作家の中から、同展のコミッショナーであったロサリオ・デ・カッソによって選ばれた。バスク地方の出身で、スペインの民族性に根ざした作品を制作するアンヘル・ガラッサ、女性に象徴される大地の生命力を想起させるエレーナ・コルネイロ、地中海文明のルーツに繋るアルカディア・ブラスコ、マドーラ、どちらかといえば東洋的内省的な作風のロサ・アモロス、繊細な情感を示すマリア・ボフィルの高杯形磁器、土肌の温みを幾何学的な形態の中にも想わせ、東洋、特に日本の陶芸の風味に西欧美学の概念を組み合わせたエンリケ・メストレ、抽象表現主義の影響を示しながらも、地中海的な明るい絵画的な要素を作品に盛り込んだシャビエル・トウベスらが各々8点の作品を出品している。
この展覧会は本館一階展示ロビーで開催され、小規模ながら、日本で初のスペイン現代陶芸の紹介であったため、陶芸界を中心に多くの観覧者を集めた。
- 会期
- 4月24日(火)~5月20日(日)
- 入場者数
- 18,804人(うち「スペイン陶芸展」のみの観賞者321人)(一日平均752人〔13人〕)
- 出品目録
作者名 | 作品名 | 製作年 |
---|---|---|
ロサ・アモロス | 謎 | 1987 |
〃 | お守り | 1988-89 |
〃 | 闇 | 1987 |
〃 | 霧の風景 | 1988 |
〃 | ジレンマ | 〃 |
〃 | ディシウンティオ | 1987 |
〃 | 無題 | 1988 |
〃 | ミラール | 〃 |
アルカディオ・ブラスコ | 白いメダル | 1988 |
〃 | 多様なガリシア人 | 1981 |
〃 | 断片(2部分より成る) | 1988 |
〃 | 割れた輪 | 〃 |
〃 | エルチェの貴婦人とエルセビオ・サンペレの間に | 〃 |
〃 | 舵(2部分より成る) | 〃 |
〃 | 大メダル | 1982 |
アルカディオ・ブラスコ | 建築 | 1982 |
マリア・ボフィル | Aグループ(3点) | 1988 |
〃 | Bグループ(3点) | 〃 |
〃 | Dグループ(3点) | 〃 |
〃 | Cグループ(3点) | 1989 |
〃 | Eグループ(3点) | 1988 |
〃 | Gグループ(4点) | 〃 |
〃 | Hグループ(4点) | 〃 |
〃 | Fグループ(4点) | 〃 |
エレーナ・コルメイロ | 陶器 | 1986 |
〃 | 〃 | 1987 |
〃 | 〃 | 1988 |
〃 | 〃 | 〃 |
〃 | 〃 | 〃 |
〃 | 〃 | 〃 |
〃 | 〃 | 1989 |
〃 | 〃 | 〃 |
アンヘル・ガラッサ | 無題 | 1987 |
〃 | 海の近くで | 〃 |
〃 | 夜の風景 | 1988 |
〃 | 美術館の前で | 〃 |
マドーラ | アルファ | 1988 |
〃 | ムール | 〃 |
〃 | シオ | 〃 |
〃 | 記憶 | 1989 |
〃 | 過去の面影 | 1985 |
〃 | 黒い空間 | 1986 |
〃 | 緑のニューヨーク | 〃 |
〃 | 詩的建築 | 〃 |
〃 | 空を見あげて | 1987 |
〃 | 黒と白 | 〃 |
〃 | 黄土の構造 | 1988 |
エンリケ・メストレ | 水平 | 1988 |
シャビエル・トウベス | 場所のない描写(6点) | 1988-89 |
- 新聞雑誌関係記事
-
新聞記事
読売/5月10日
産経/5月10日
京都/5月12日
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