展覧会スウェーデンのテキスタイル・アート
スウェーデンのテキスタイル・アート
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工芸は中部ヨーロッパの国々では、教会や宮廷を中心に発達したが、スカンジナビア半島に位置するスウェーデンでは、多くは農民の日常の生活の中から生み出されてきた。テキスタイルもその例外ではなく、主婦たちの小さな機や刺繍台から、独得のデザインや技法が発達していった。こうした伝統の技術を保存、継承し、新たに発展させるために、今世紀初頭にハンドアルベーテッツ・ヴェンネル(テキスタイル・アート友交協会)、手工芸協会などが相次いで設立された。特に、ハンドアルベーテッツ・ヴェンネルは、スウェーデンのテキスタイルの伝統を受け継ぐとともに、その芸術性を高めてゆくために、著名な画家や版画家の下図を基に織や刺繍による壁掛けやカーペットを製作し、高度の伝統技術とアートを結合させて、スウェーデンのテキスタイルの近代化に大きな成果をもたらした。
1951年以降、同協会のアート・ディレクター、エドナ・マッティンの方針によって、協会のスタッフと画家、グラフィック・アーチスト、染織作家、彫刻家などとの結びつきは更に強化され、彼等との共同作業による大きなタペストリーが製作されるようになった。こうして作られた大作は、国の積極的な政策によって、国会議事堂をはじめ、官公庁の舎屋、銀行、病院、会社などのホールの壁画を飾っている。
この展覧会には、25人のアーチストの構想による約50点の作品が展示されたが、いづれも、アーチストの独創と織り手や縫い手のすぐれた感覚と技術とが結び合った、アートの名にふさわしい作品であった。この展覧会は、本館での展観終了後、群馬県立近代美術館、世田谷美術館でも開催された。
- 会期
- 6月30日(火)~8月9日(日)
- 入場者数
- 総数 16,159人(一日平均 449人)
- 後援
- スウェーデン大使館、スウェーデン文化交流協会
- 出品目録
作者名 | 作品名 | 制作年 | 材質・形状 | 寸法(cm) |
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クット・アスケル | 開く | 1987 | 二つから成る立体、絹 | 700×500(各) |
オーサ・ベンクトソン | アイリス | 1983 | 刺繍、麻・絹 | 188×180 |
〃 | 鴎 | 1968 | 五部から成るタペストリー、羊毛、麻・絹 | 248×600 |
〃 | ピンクの蘭 | 1982 | 刺繍、麻・絹 | 124×102 |
オスカル・ベリーマン | 綴織 | 1909 | タペストリー、羊毛・麻 | 210×160 |
〃 | 綴織 | 〃 | タペストリー、羊毛・麻 | 210×160 |
ペーテル・ダール | ストックホルム | 1984 | タペストリー、羊毛・麻 | 200×450 |
〃 | 赤い夢 | 1981 | タペストリー、羊毛・麻 | 185×230 |
シリ・デルケット | 鳥たちは何を歌う | 1967 | タペストリー、羊毛・麻 | 265×1,125 |
〃 | 私達(ヴィ、ウィ、ヌ) | 1963 | タペストリー、羊毛・麻 | 175×570 |
エーリク・グラーテ | 木の騎手たち | 1968 | タペストリー、羊毛・麻 | 300×330 |
ウルフ・グリーペンホルム | 見物人I | 1982 | タペストリー、羊毛・麻 | 224×220 |
リレヴィ・フルトマン | 彼女の卓 | 1978 | 手とミシンによる刺繍、木綿 | 155×120 |
〃 | 航海I、II、III | 1986 | 手とミシンによる刺繍(三部作) | 160×105(各) |
ヨルゴ(イオルエ)・クラッリス | ミック・マック | 1985 | タペストリーと刺繍、羊毛・麻 | 143×198 |
〃 | スーパーマン | 1986 | タペストリー | 200×239 |
ニルス・ショーラレ | カタルシス | 1984 | 三枚のタペストリー、羊毛・麻・絹・銀糸 | 75×150(各) |
〃 | ヘルミオネ | 1985 | タペストリー、麻・絹 | 225×175 |
〃 | 三つ一緒に | 1987 | 三つの部分から成るミシン刺繍のアップリケ | 470×60(各) |
カール・ラーション | ヴィーナスと親指姫 | 1904 | 綴織、羊毛・麻 | 260×345 |
スヴェン・ユングベリ | ムーラの魔女たち | 1982 | 刺繍のあるタペストリー、羊毛・麻 | 220×204 |
〃 | 中国の農民たち | 1978 | 三重織のタペストリー、羊毛・麻 | 265×203 |
〃 | 永遠の対話 | 1985 | 三つの部分から成るタペストリー、羊毛・麻 | 130×74(各) |
エーヴェット・ルンドクイスト | 泉のほとりの女たち | 1986 | タペストリー | 220×200 |
カイサ・メラントン | リヴァプール組曲 | 1984 | 五つの部分から成るアップリケと刺繍 | 53×65(各) |
〃 | 神託との対話 | 1962 | タペストリー、羊毛・麻 | 130×130 |
〃 | 部屋になる | 1980 | タペストリー、羊毛・麻 | 220×315 |
作者名 | 作品名 | 制作年 | 材質・形状 | 寸法(cm) |
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アルフ・ムンテ | 二重織(ショヴデ火葬場の壁面装飾のための部分) | 1947 | 羊毛・麻 | 400×90 |
インゲヤード・ミョッレル | ラップランドの地面 | 1983 | タペストリー、羊毛・麻・絹 | 165×175 |
〃 | 冬の夢 | 1986 | タペストリー、羊毛・麻・絹・金属糸 | 170×178 |
〃 | 泥炭地 | 1986 | タペストリー、紡錘及び未紡錘麻・羊毛・絹・金属糸 | 360×55 |
〃 | 花々と蝶 | 1974 | タペストリー、羊毛・麻 | 110×900 |
エンドレ・ネメス | 絵本より(部分) | 1975-77 | 三つの部分から成るタペストリーにアップリケ | 290×550 |
〃 | 画期的な集い | 1975 | タペストリー、羊毛・麻 | 315×325 |
ヴェローニカ・ニィグレーン | 冬の兎たち | 1981 | パイルの敷物、羊毛・麻 | 200×150 |
〃 | 秋の兎 | 1982 | パイルの敷物、羊毛・麻 | 200×150 |
カール・アクセル・ペーション | 豊饒 | 1974-75 | 二部から成るタペストリー、羊毛・麻 | 274×174(各) |
レンナット・ローデ | 鏡の中の記号 | 1973 | タペストリー、羊毛・麻 | 270×380 |
〃 | 家族 | 1966 | タペストリー、羊毛・麻 | 450×180 |
レンケ・ロートマン | 赤い小屋の周辺 | 1973 | タペストリーにアップリケ、羊毛・麻・絹 | 285×265 |
マックス・ヴァルテル・スヴァーンベリ | 黒い太陽の恋人 | 1973 | タペストリー、羊毛・麻・絹・金糸 | 265×195 |
〃 | 赤い部屋での奇妙な妊娠 | 1967 | タペストリー、羊毛・麻 | 275×185 |
ブゥ・スヴェンソン | サマータイム | 1986 | タペストリー、羊毛・麻 | 220×280 |
〃 | 雨後 | 1981 | タペストリー、羊毛・麻 | 180×180 |
ヨスタ・ヴェルネル | アルデバラン | 1987 | アップリケ | 200×400 |
〃 | 船上にて | 1974 | 帆布にアップリケ | 155×152 |
ペッテル・センストロム | 波浪 | 1981 | タペストリー、羊毛・麻・絹アップリケ・麻刺繍 | 250×300 |
〃 | 飛ぶ | 1980 | タペストリー | 177×200 |
作者名 | 作品名 | 制作年 | 材質・形状 | 寸法(cm) |
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作者不詳 | グレーディンゲ織 | 1952 | 羊毛 | 107×310 |
〃 | ベッドカバー | 1805 | 白と青緑の引き上げ二重織、羊毛・麻 | 170×120 |
〃 | ベッドカバー | 1814 | 赤と白の引き上げ二重織、羊毛・木綿 | 180×133 |
〃 | 壁掛け | 19世紀 | 羊毛・麻 | 202×62 |
〃 | ベッドカバー | 18世紀 | 白と黒の引き上げ二重織、羊毛 | 156×220 |
- 新聞雑誌関係記事
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読売/6月24日(夕)(加藤類子)、27日
朝日/7月1日
日経/7月27日
サンケイ/7月2日
毎日/6月3日、7月7日、8月1日
京都/6月30日、7月4日
奈良/7月8日
公明/6月28日
新美術新聞 No.473 7月11日
カラー・デザイン No.404、1987(加藤類子)
月刊染織α No.76 7月号、1987(加藤類子)
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