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教育普及・授業サポート 京都市立銅駝美術工芸高等学校と連携した
オンライン授業 実施報告

日時:2021年6月1日(火)14時45分~16時25分
会場:オンライン
人数:高校1年生 93名


 銅駝美術工芸高校1年生「美術史」の授業の一環で、美術館の役割や所蔵作品についてのレクチャーを行いました。
 これまで同校とは毎年4月に「新入生研修」として、館内案内、美術館の役割についてのレクチャー、展覧会鑑賞を行うという形で連携をしてきました。今回は美術史の授業での連携ということで、当館の主な所蔵作品を挙げながら、作者や制作背景、技法等について紹介する内容としました。またコロナの影響で団体来館が難しい状況を受け、オンライン会議システムで美術館と高校の3教室を同時につないで実施しました。

2021年6月オンライン授業 2021年6月オンライン授業

 レクチャーでは、日本画(土田麦僊《海女》)、洋画(パブロ・ピカソ《パレット、燭台、ミノタウロスの頭部》)、工芸(河井寬次郎《白地草花絵扁壺》)、現代美術(マルセル・デュシャン《泉》)などを取り上げ、制作背景や当時の時代状況、技法等について話しました。
 また担当の先生との事前打ち合わせで、この学年は例年の「新入生研修」を経験していないという話題になり、美術館の役割や学芸員の仕事についても少し触れていくことにしました。具体的には、当館はコレクターや作家の旧蔵作品や時代的に特色のある作品群を一括収集しているということを踏まえ、河井寬次郎の作品群「川勝コレクション」や「上野伊三郎+リチ コレクション」の収蔵プロセスに触れながら、「収集保存」「コレクション形成」「調査研究」「展示公開」といった美術館の役割について具体的に紹介しました。

2021年6月オンライン授業

 レクチャー後は、「コロナの影響で、展覧会や教育普及活動の方法や内容は変わりましたか?」「一番高額だった作品は何ですか?」など具体的な質問が出たほか、授業後の感想文には「美術館に行ってみたいと思った」といったコメントもありました。この時点では、当館にはまだ来たことがないという人が半分近くいましたが、レクチャーを通して美術館を身近に感じたり、作品の制作背景や作家について深堀りして考えてみることへの関心につながっていれば嬉しく思います。

(当館特定研究員 松山沙樹)

■生徒の感想(抜粋)

・今まで、美術=美しいもの、誰もが見てきれいだと感じた物として美術館の展示物を無意識に区別していたけれど、展示物に限らず作品には作者の思い、伝えたいことなどが表現されていて、たとえ美しいと感じなくても、その作品は何を伝えたかったのかが重要だと思いました。

・(美術館は)空間だったり、非日常を感じて楽しむ場所でもあると知って、おちついていて少しこわい雰囲気なイメージの美術館に行きやすくなったように感じました。

・私が昔描いた絵を、家の壁に飾っているのですが、美術館のように温度管理や湿度管理などをしっかりしていないのでボロボロはがれてきています。なので、作品をそのままの状態で維持するためには、そういった管理が大切なのだと感じました。

・(マルセル・デュシャンの)《泉》は、自分が小さい時に何かの本で見たことがあって、その時に「何だこれ」と気になっていたのを今でも憶えている作品です。美術について何も考えていなかったそのころの私でも、未だに記憶に残っているほど印象を受けたということは、きっと何か訴えかけるような感じが作品にすごくこもっているからなのではないかなと思います。

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