実施報告
上野リチ展の関連プログラムとして、クリスマスが近づく12月12日、一日限りの立ち寄り式ワークショップを実施しました。
リチが晩年制作した作品のひとつに、ウィーンのクリスマスマーケットの様子を巻物風にあらわした《ウィーンのクリスマス市》(1955年頃制作)があります。今回、この作品を輪郭線のみ残して白抜きにし、高さ約2メートルのサイズに引き伸ばした大型の“ぬりえパネル”に仕立てました。ワークショップ参加者がクレパスで思い思いに色を塗り、みんなで大きな作品を完成させようというものです。当日は赤ちゃんから大人の方まで、合計165名の方にご参加いただきました。
(上)上野リチ《ウィーンのクリスマス市》(部分)1955年頃、京都国立近代美術館蔵
どなたでも気軽に立ち寄っていただけるよう、会場は、正面エントランスを入ってすぐの1階ロビーとしました。展覧会を見に来て初めてワークショップの存在を知ったという方も、ふらりと寄ってくださいました。また何度も戻ってきて色を塗ってくれたお子さんや、「久しぶりにクレパスを手にして無心になって塗りました」と感想を伝えてくださる大人の方もおられ、プログラム中は会話や笑いが絶えない時間が流れました。
今回制作したパネルは、《ウィーンのクリスマス市》(縦19.0×横195.0cm)を約10倍に引き伸ばしたサイズでした。拡大してみることで、作品の細部がどんな風に表されているのかを改めてじっくり観察し、リチの作品の魅力をより身近に感じる機会にもなったのではないかと思います。
本ワークショップで完成したぬりえは、2022年1月16日まで1階ロビーにて展示しています。ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
(当館特定研究員 松山沙樹)
■展示風景
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