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教育普及・授業サポート 令和2年度 図画工作科・美術科夏季連携講座
「鑑賞の扉を開けよう!」オリジナル動画を制作しました

日時:2020年8月24日(月)
会場:京都国立近代美術館(「京のくらし」展会場および講堂)
共催:京都市教育委員会、京都市図画工作教育研究会、京都市立中学校教育研究会美術部会
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実施報告

 当館では毎年、京都市教育委員会、京都市図画工作教育研究会(図工研)、京都市立中学校教育研究会美術部会(中美研)との共催で、「鑑賞」をテーマにした教員研修会を開催しています。例年50名を越える参加があり、休館日の展示室を使って鑑賞体験や授業案作成ワークショップを行っています。
 しかし今年は新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、通常の規模・内容での実施が叶いませんでした。そこで図工研と中美研の先生方の協力のもと、子どもたちと美術館で作品鑑賞を行う際のポイントを紹介するオリジナル動画を制作することにしました。

「鑑賞の扉を開けよう!」オリジナル動画を制作

 事前に先生方と美術館の担当者で会場を回って作品選定を行い、シナリオを検討したうえで、休館日である8月24日に「京のくらし――二十四節気を愉しむ」展の会場で撮影を行いました。完成した動画は京都市教育委員会のポータルサイト(※教員の方のみアクセス可能)と当館のウェブサイトで公開しています。
 現場の先生方には、図工・美術での「鑑賞」の指導力向上のためのコンテンツとして、また小中学生のお子さんがいる保護者のみなさんにも、親子で作品を鑑賞する時のヒントとしてこの動画をご活用いただければ幸いです。以下に、今回制作した3つの動画を紹介します。

「鑑賞の扉を開けよう!」オリジナル動画を制作

動画1:対話による鑑賞

 この鑑賞では、まず全員で1分間程度じっと作品を見ます。ファシリテーターは「何が見えますか?」と最初の印象から聞いていきます。その後、メンバーが感じたことを基に意見交流できるよう問いかけを繰り返し、鑑賞を深めていきます。複数で見ることでひとりでは気づかなかった発見があったり、自分の中で作品の印象が変化していくことを楽しむことができます。
 今回の鑑賞作品は、伊藤久三郎《雨或いは感傷》と北沢映月《祇園会》の2点。子どもたちと一緒に作品を見ている場面を想定しながら鑑賞を進めました。

動画2:テーマ別鑑賞

 ファシリテーターは鑑賞する作品を何点か選び、「春」「はじまり」など、それらの作品から感じ取れそうなテーマを決めて発表します。メンバーは作品を見て回り、自分の感覚やイメージでテーマに合う作品を選びます。時間になったら集まって選んだ作品を紹介し合い、その作品のどこからテーマを感じたかなど、感じ取ったことや選んだ理由を交流します。
 今回のテーマは「いいことありそう」。同じテーマでも人によって結び付ける作品が違うため、自分なりの見方で作品を鑑賞して良いことを知る、授業の導入としても効果的な活動です。

動画3:アートカードを使ったゲーム

 作品図版がハガキ大のカードに印刷された「アートカード」をつかって行うゲームです。
 今回は国立美術館アートカード・セット(65枚組)を用いて、「マッチングゲーム」、「にたものつながりゲーム」、「カレンダーを作ろう」の3種類を行いました。
その他にもさまざまなゲームで遊ぶことができます。

制作を振り返って

 図工研・中美研の先生方とは、例年、教員研修におけるグループワークの内容を共に考えたり研修でのファシリテーター役を担っていただくなど、研究会と美術館がそれぞれの強みを生かしながら協同関係を築いてきました。今回、コロナウィルス感染症の影響で学校現場が多忙を極める中にもかかわらず16名の先生方にご協力いただけたのは、こうした積み重ねがあったからこそだと思います。
 現在、美術館は感染防止の観点から、展示室内での対話を伴う鑑賞活動の実施や、学校団体の受入れが難しい状況にあります。ですが子どもたちの身の回りには、学校に飾ってある絵や彫刻、友だちの作品、街中にあるオブジェなど、さまざまな“美術”があります。そうしたものに目を向け、自分なりの切り口でよさや魅力、不思議さを感じ取ったり、友だちと意見を交流させることで視野を広げたり思考を深める経験をたくさんしてほしいと思います。この動画を通して、先生方には鑑賞活動による学びの意義を改めて感じ取っていただき、授業や課外活動の場を通じて子どもたちに是非それを伝えていただければ嬉しいです。

「鑑賞の扉を開けよう!」オリジナル動画を制作

(当館特定研究員 松山沙樹)

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