京都国立近代美術館京都国立近代美術館 京都国立近代美術館 京都国立近代美術館

MENU
Scroll

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/momak/www/wp-content/themes/momak/assets/inc/header.php on line 96

開館状況  ─  

教育普及 これまでのパブリックプログラム

実施報告 「明治150年展 明治の日本画と工芸」 感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

京都国立近代美術館がある岡崎地域は、明治時代、琵琶湖疏水の建設により大きく変貌をとげました。このプログラムでは、そんな岡崎地域の歴史に思いをはせ、耳で、鼻で、手で、「明治」を体感します。まずは南禅寺でゆったりお香を聞いた後、五感をフル活用させながら琵琶湖疏水を歩きます。最後は、オリジナルの「匂い香づくり」に挑戦。感覚をひらいて、岡崎地域の歴史や文化にふれてみませんか? スタッフがサポートしますので、どなたでもお気軽にご参加ください。視覚に障害のある方のご参加も歓迎します!

※ご注意※
本ワークショップでは、舗装されていない道や坂道、お寺の境内など、足元が不安定な場所も歩きます。あらかじめご了承ください。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

日時 2018年5月13日(日)
①午前10時~12時30分、②午後2時~4時30分
対象 どなたでも
定員 ①、②ともに20名(事前申込制、申込者多数の場合は抽選)*定員に達しましたので、申込受付を終了しました
参加費 お一人につき1000円(材料費として)
特別協力 南禅寺、香老舗 松栄堂
申し込み方法 参加をご希望の方は、以下の期間にメールでお申し込みください。参加の可否につきましては、後日ご連絡をいたします。なお、申込者多数の場合は抽選を行います。

受付期間:4月17日(火)午前10時~4月25日(水)午後5時
参加可否の連絡:4月27日(金)までに、お申し込みされた方全員に参加の可否をお知らせします
申込メールアドレス:learning*ma7.momak.go.jp
  (*を@に変えてください)
申込メール件名:ワークショップ申し込み
※ 原則として、お一人につき1通のメールでお申し込みください
※ 参加の可否につきましては、後日ご連絡をいたします
※ @ma7.momak.go.jp からのメールを受信できるように設定してください
(迷惑メール等の設定をされている方は、ご注意ください)

下記をコピーし、必要事項を書き加えてお申込みください。
—-ここから—-
氏名(ふりがな):
年齢:
①と②どちらに参加希望か:【①午前の部・②午後の部】
連絡用メールアドレス:
携帯電話番号:
視覚障害の有無:
*同伴者の方(ガイドヘルパー等)がおられる場合はお知らせください
—-ここまで—-
「感覚をひらく」とは? 京都国立近代美術館では、平成29年度から、地域の盲学校や大学等と連携して、「みる」ことだけに依らない美術鑑賞の新しいかたちを模索・構築する試みを行っています。単なる「健常者」から「障害者」への一方的な支援にとどまらず、障害当事者と共にユニバーサルな鑑賞のあり方を模索することで、作品の新たな魅力を発見するとともに、美術館がさまざまな人びとの相互理解の場として機能する新たな可能性についても模索していきます。事業概要やこれまでの活動についてはこちら
お問い合わせ 本ワークショップについて、不明な点やお問い合わせはこちら

実施報告


 5月13日(日)、当館開催の企画展「明治150年展 明治の日本画と工芸」の関連プログラムとして、感覚をひらくワークショップ「てくてく、くんくん in 岡崎」を開催しました。当日は時おり強い雨が降る中での実施となりましたが、午前・午後あわせて40名が参加しました。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

 本ワークショップのねらいは、大きく2つ。1つ目は、「明治150年展」に関連して開催するイベントということで、明治時代、京都の近代化の鍵になった琵琶湖疏水の歴史について、実際に歩きながら理解を深めることです。もう1つは、当館が中核となって進めている「感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業」の一環として、障害の有無に関わらず、触れる・音を聞く・匂いを嗅ぐという、視覚だけでない身体全身を使った芸術鑑賞を楽しむことです。「感覚をひらく」ではこれまで、「作品をさわって鑑賞する(触覚)」(2017年12月16日実施)「音を頼りに建築を鑑賞する(主に聴覚)」(2018年2月11日実施)といったプログラムを実施してきました。今回は、障害の垣根を越えてともに楽しめる感覚として、”香り(嗅覚)”に着目して企画を組み立てました。

 当日、参加者は蹴上駅に集合。その後、大寧軒に場所を移し、ワークショップをスタートしました。大寧軒は普段は非公開ですが、今回は南禅寺の特別協力のもと、会場として利用させて頂きました。まずは畳に座り、信徒部長の少林浩道氏の話に耳を傾けました。南禅寺の沿革についての紹介に始まり、琵琶湖疏水の建設により、大寧軒をはじめとする多くの邸宅に疏水の水を引くことで、池や滝をそなえた庭の表現が可能となったことなど、明治以降の南禅寺の歴史を紹介。さらに、香りを供えることで、故人に私たちの思いが届くものと信じられていると、寺院でお香を焚く理由についても触れて頂きました。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

 続いて、参加者は順番に焼香体験をさせていただきました。参加者のなかには、香炉の形をさわって確かめる方や、香炉のそばへ顔を近づけて香りの変化を感じ取る方など、それぞれに新しい発見があったようです。その後は香りの余韻に浸りながら、外に広がる庭を観賞し、滝の音や鳥のさえずり、雨の滴りなどにも耳を傾けて、思い思いに大寧軒を満喫することができました。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』 「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

 大寧軒でゆったりした時間を過ごした後は、琵琶湖疏水を歩いて美術館を目指しました。本来は、南禅寺の境内での活動なども予定されていたのですが、あいにく雨天のために中止となりました。雨の中でしたが、途中立ち止まって、琵琶湖疏水の歴史にも触れながらの移動となりました。

 美術館では、香老舗 松栄堂のご協力のもと、「匂い香づくり」を行いました。はじめにデモンストレーターの方から、お香を作る”調合師”の仕事についての紹介があり、今日の活動についての説明を受けました。その後、各自での匂い香づくりを始めました。
 ワークショップで用意を頂いたのは、10円玉ほどの大きさに固められた香りのタブレット。全部で7種類あり、この中から各々が全15個を選んで袋に入れていきました。思い思いに、好きな匂いの組み合わせを見つけることができたら、指でタブレットを潰して混ぜ合わせました。そうして出来た粉末を、巾着袋に入れて完成。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』 「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

 みなさん、南禅寺での活動ですっかり緊張がほぐれたようで、和気あいあいとした雰囲気の中で活動が進んでいたのが印象的でした。テーブル内で袋を交換して「くんくん」しあい、どんな調合にしたのか教え合うなどしていました。「優しそうな性格が香りに表れていますね」、「凛とした印象の香りですね」と、他の方との交流が飛び交っていました。また、この日は盲学校の中学生が親御さんと一緒に参加されたのですが、手際よく香りを調合するお子さんの隣で、お母さんたちが「将来、香り関係の職業に就くのも良いかも」と嬉しそうに話していた様子も印象に残っています。
 さらに今回は、触ることが可能な教材として、お香の原料となる植物もご用意いただきました。「ラベンダー」や「桂皮」などの親しみのあるお香の原料について、触覚や嗅覚を使って体感することで、香りの世界をより深く知る機会になったのではないでしょうか。

「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』 「明治150年展 明治の日本画と工芸」感覚をひらくワークショップ『てくてく、くんくん in 岡崎』

 今回のワークショップは、嗅覚を意識することに加えて、雨天での実施となったことで、思いがけず聴覚もフル活用することになり、五感を使った文化や歴史の楽しみ方について、その可能性を拡げることができる機会になったと考えています。この日は、残念ながらゆっくりと散策することは叶いませんでしたが、岡崎地域を再訪していただくきっかけになれば幸いです。
 また、当日は視覚に障害のある方も参加されましたが、「教える/教えられる」「助ける/助けられる」といった立場の違いは無く、障害の有無を越えたフラットな関係のなかで、「てくてく」「くんくん」という体験を共有できました。「感覚をひらく」の事業では今後も、芸術を介して活動する中でお互いの個性や感性の違いに触れるような、そうしたプログラムを開催していきたいと考えています。

(当館特定研究員 松山沙樹)

パブリックプログラムに戻る 教育普及に戻る