教育普及「メアリー・カサット展」ファミリープログラム 「きょう、目の前の家族を描いてみよう」 実施報告
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「メアリー・カサット展」ファミリープログラム 「きょう、目の前の家族を描いてみよう」 実施報告
「メアリー・カサット展」ファミリープログラム
「きょう、目の前の家族を描いてみよう」 実施報告
- 日時
- 2016年10月30日(日)午後2時~4時30分
- 会場
- 京都国立近代美術館 1階講堂、3階企画展示室
- 参加人数
- 44名
- 講師
- 児玉 彩(画家)
メアリー・カサットは、自分の親戚や身近な友人の姿を、リラックスした表情やくつろいだ様子で描いています。今回、こうしたカサットの人物画にヒントを得て、家族でお互いの顔を描き合うワークショップを開催しました。講師には、カサットと同様に身近な人たちを描いた油彩画や水彩画を発表している、画家の児玉彩さんをお迎えしました。
まずは展示室で、児玉さんと一緒にカサットの作品を鑑賞します。優しそうな表情をしたお母さんが子どもを大事そうに膝の上にのせていること、ふたりは部屋の中にいること、カサットはたくさんの色を使っていて、色を重ねたりぼかしたりと工夫していることなどを確認しました。
その後は家族ごとに、「モデルはどんな人か」、「どんな色が使われているか」、「どんな場所で描かれているか」という3つの観点から、カサットの人物画をじっくり鑑賞して回りました。
カサット作品の特徴を学んだ後は、いよいよ家族の顔を描きます。
今回は、カサットが好んで使ったパステルを用いましたが、相手の人柄やイメージを表す色を自由な発想で探してもらえるよう、黒色のパステルをあらかじめ抜いておきました。参加者は、「いつもどんな色の服を着ているかな」「何色が好きだったっけ」と尋ねあい、家族の間に自然と会話が生まれていきます。
また、普段はお子さんが絵を描くのを見学するだけの大人の方も、今回は自分も制作するということで少し緊張気味。ですが、児玉さんがそっと家族に寄り添って「どんな風に描こうとしていますか?」と具体的なイメージを引き出し、和やかな雰囲気の中で制作が進んでいきました。
それぞれの「顔」が完成したら、家族全員の「顔」を1枚の台紙に貼り付け、背景を描き添えて完成させます。
最後は全員の作品を鑑賞しました。どの家族の作品も、カサットのようにたくさんの色を使い、その人のイメージに合う色やタッチにも工夫を凝らしたものになりました。自分たち家族の作品が発表された時の子どもたちの満足そうな表情がとても印象に残りました。
私たちにとって家族は身近な存在ですが、今回のように、相手のイメージに合う色を探したり、その人らしい表情やポーズを工夫するなどしてお互いを「描き合う」のは初めてという方が多かったのではないでしょうか。このプログラムが、家族のことをより深く知ったり新たな一面を発見するかけがえのない機会になっていれば嬉しく思います。
(当館特定研究員 松山沙樹)
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