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教育普及すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―展関連イベントこどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」報告

学習支援活動

すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―展関連イベント
 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」報告

日時
2012年5月5日(土)・12日(土)9:30~12:00

会場
京都国立近代美術館1F講堂・3F企画展会場

参加人数
5日:5名
12日:6名

ナビゲーター
朴 鈴子 (当館研究補佐員)
川井遊木(当館研究補佐員)

解説者
山野英嗣(当館学芸課長)

 4月7日から5月13日まで開催された「すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―」展では、小学生対象のプログラムを5月5日と12日、二日間実施しました。(プログラムは各日で完結する内容です。)

 村山知義の芸術家としての活動は絵画からダンス、建築まで多岐にわたりましたが、当プログラムでは絵本の挿絵作家としての村山知義に焦点をあてました。(プログラム名の「Tom」は村山知義が挿絵に記したサインです。)

 まずはTomがどんな人だったか、どんな作品を作ったのかなど、Tomの人物像を知るために展覧会の鑑賞を行いました。解説を聞きながら、時々見えた事柄などを話しながら鑑賞しました。絵本の部屋では、既にTomの絵本作品を読んできた子ども達も多くいたので、職員が逆に教えられる場面もありました。

こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」
こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」

 Tomの挿絵には、妻である村山籌子が作ったストーリーに沿って描かれたものが多くあります。しかし、その中には幻の絵本となった『ナクナッタアカイヨウフク』という、テキストが残っていない作品があります。本番ではこの『ナクナッタアカイヨウフク』の挿絵を使ってお話作りをすることにしました。

 講堂に戻ってきたら、本番のお話作りに備えて二つのウォーミングアップを行いました。

 まずは絵を見てお話を作る練習です。《犬さんと猫さん》という8コマのテキストのない絵をスクリーンに映し出し、参加者全員で一コマずつ担当し話を繋げて完成させました。

こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」

 二番目のウォーミングアップは、お話に合わせたセリフを考える練習でした。『しんせつなともだち』という実際に市販されている絵本を使って、まずは絵本の読み聞かせをしました。ストーリーを十分に理解した上で、テキストを抜き取った挿絵だけを使ってウォーミングアップを行いました。ここでもページ毎に担当者を決めて、実際のストーリーに合わせてセリフを考えました。準備しておいた三種類の吹き出しから一つ選んで、セリフを書きこんだ吹き出しを担当者の好きな場所にはりました。

こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」

 二つのウォーミングアップを終えて本番のお話作りが始まりました。「絵を見てお話を作る」と「お話に合わせてセリフを考える」、本番ではこの二つの作業を同時にしてければなりません。子ども達には、蛇腹式の特製絵本と予め切っておいた吹き出し配って、自作のお話を表現しました。

こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」
こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」
 実はこの『ナクナッタアカイヨウフク』は、後半部分の展開が不思議な内容になっており、途中まで順調に進んでいた子どもたちも、後半になると一度は「うーん」と悩むことがあります。そんな時には前のページに戻って、登場する動物の表情や絵の隅々から色々な要素を探し出し、全員が『ナクナッタアカイヨウフク』を完成させることができました。
こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」
こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」

 最後は出来上がった蛇腹式の絵本をテーブルいっぱいに広げて、全員で合評会をしました。 一人一人ユニークなお話に仕上がり、それぞれの意外な話の展開にみんなで笑ったり感心したりしました。

こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」
こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」 こどもたちのためのプログラム「Tomと絵本の世界」

 プログラム終了後、保護者の皆さんにも会場に入ってもらい、出来上がりを披露しました。 Tomの作品と2時間30分も向かい合ったことで、参加者全員が「村山知義」を身近に感じられたと思います。


(当館研究補佐員 朴鈴子)

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