教育普及第61回 造形表現・図画工作・美術教育全国大会 京都大会 開催報告
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第61回 造形表現・図画工作・美術教育全国大会 京都大会 開催報告
公開授業(美術鑑賞)『みて 感じて 楽しんで(みて かんじて たのしんで)』
~六原小学校の子どもたちを招いて~
- 日時
- 10月30日(土)午前9時 ~ 12時
- 会場
- 京都国立近代美術館 4F常設展会場・1F講堂・ロビー
- 参加人数
- 小学校低学年49名、高学年34名
- 鑑賞会進行
- 低学年 六原小学校教諭・池田芳子
高学年 当館学芸課長・山野英嗣
当館では毎年、六原小学校との連携して企画展や常設展会場での鑑賞を行ってきました。今年度は、美術教育研究の全国大会が京都で行われることもあり、公開授業という形で、全国の図画工作教諭、研究者、そして保護者の方々にその鑑賞の様子をご覧いただきました。
今回は、常設展会場にて当館のコレクションの中から選んだふたつの作品を鑑賞することになりました。事前の打ち合わせで、この時期に展示できる作品の中から、ヨハネス・イッテンの「幸福の島国」と、藤田嗣治の「メキシコに於けるマドレーヌ」の抽象と具象の作品を選びました。
鑑賞会は午前9時より、低学年と高学年のふた組に分かれて行われました。高学年は当館学芸課長が担当し、低学年は六原小教諭の池田先生が担当しました。
会場のフロアに座って、作品から見えたもの、想像したものを夢中になって発表しあう子ども達の様子から、周りにたくさんの大人が見ているのにも関わらず、集中して鑑賞していることが伺えました。個々の感想を聞いたあと作品の一か所に注目して、それが何に見えたのか、その人物はどんなことを思っているのかなど、そこから読み取った作品の内面的な様子を想像しながら、鑑賞の楽しみ方を彼らなりに築いていったようです。 子ども達との対話式の鑑賞を進行しながらも、合間に作品や作家についての解説なども加え、子ども達の関心を惹きつける場面もありました。アメリア・アレナスによる、いわゆる自由な発言をオープンに受け止めるタイプの鑑賞というよりは、子どもたちが絵から何かを学ぶ姿勢を大事にした鑑賞会だったと思います。
30分でそれぞれ作品の入れ替えを行い、約一時間で鑑賞会は終了しました。
鑑賞後、一階講堂とロビーを使って、「きみもイッテンになろう!」と題した制作活動が始まりました。イッテンが「幸福の島国」という作品の中に「京都」を表したように、子ども達には5x7の35マスの用紙に、「六原小学校」を表してもらいました。作成前に、全校生徒で六原小のイメージや特徴を発表し合ったあと、各々の紙に23色の色紙から好きな色を好きな場所にのりで貼っていく作業をしました。色にこめる思いや、現れた絵柄の意味、みんな表現の仕方が異なり、一人一人が個性のある六原小のイメージをしっかり見せてくれました。
図画工作の学習指導要領の中に「鑑賞」が含まれるようになって約12年経ち、一部改正を重ねながらも、各地での鑑賞学習の工夫は今も発展真っ只中です。来年は北海道で全国大会が行われます。子どもたちの想像力を引っ張り出せる新たな鑑賞法が、毎年どんどん現れるといいですね。
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