教育普及「日本画」の前衛 1938-1949 親子鑑賞会 開催報告
学習支援活動
HOME > 学習支援活動 > 2010(平成22)年度 > 「日本画」の前衛 1938-1949 親子鑑賞会 開催報告
「日本画」の前衛 1938-1949 親子鑑賞会 開催報告
- 日時
- 10月9日(土)10:00~11:40
- 会場
- 京都国立近代美術館 3F企画展会場及び、4F常設展会場
- 参加人数
- 2家族(幼児2名・小学生2名・保護者2名)
「日本画」の前衛 1938-1949展(以下、前衛展)にて、鑑賞会を開きました。今回は親子で美術鑑賞を楽しんでいただくために、小学生一名とお母さん、もしくはお父さんの二人一組で参加を募りました。参加人数が比較的少なかったため、当日は兄弟にも参加を呼びかけ、賑やかな時間を過ごすことができました。
子ども達には「美術館を楽しんでもらうこと」、お母さん達には「子どもと鑑賞する上での心配や不安を取り除くこと」を目的に鑑賞会を行いました。子どもと鑑賞することを難しいと感じているお母さんの為に、参考程度に鑑賞におけるアドバイスをまとめてお渡ししました。鑑賞には決まった「やり方」はなく、それぞれ自由に楽しんでいただくものですが、少しでも不安を和らげることができればと思い作成しました。
※当日配布した資料はこちらからご覧ください。
今回は、展示中の作品の中からお気に入りの作品を一つ選び、それについて「なぜ気に入ったのか」、「どんなところに惹きつけられたのか」などを、最後に親子で発表してもらうことにしました。
会場に入った子どもたちは、気に入った作品を見つけては、私やお母さんの前で絵の中から発見した細かな描写について語りだし、さらにストーリーを加えながら話してくれました。顔見知りだった子ども達は、自分たちでも鑑賞を楽しんでいたようです。前衛展の戦争画に興味を持った男の子のために、常設展のW.ユージン・スミスの写真を見せてあげようと、急きょ4階にも行きました。子ども達の集中力がなかなか切れないことに、驚きを隠せませんでした。
鑑賞後、4階ロビーにて、今回の課題である「お気に入りの作品」を紹介してもらいました。驚くことに誰もタイトルを読まずに鑑賞をし、絵の特徴や細かい描写を言葉で説明してくれました。今回、子どもたちが絵から発見したことは、絵の全体像よりも小さな描写が多く、一人一人の会話を通じて、鑑賞の際にどこから入ってどのような目線の移動がされていったのかを観察することができました。今後は、鑑賞前・鑑賞後の子ども達の変化にも注目して、鑑賞のあり方を考える必要があると思いました。
また当日は、京都市中央図書館から司書の方が見学に来られ、美術館と図書館の繋がりなどを考えていく機会にもなりました。今後、関連図書の紹介などを積極的に行っていく上で、このような連携も発展させていけると思います。
一方、4階常設展会場で鑑賞をしている時、私たちの会話の声が原因で、一人の男性の鑑賞を邪魔してしまうことがありました。一言に「静かにする」と言っても静かさの捉え方は人それぞれで、一般的に考えられている「美術館は静かにする場所」という先入観により、「喋ってはいけない場所」と極端に考える人が存在することは確かです。子ども達に、特定の時間帯にギャラリーを開放している美術館がありますが、やはりいつでもどの世代も、同じように楽しめる空間が理想だと感じました。静かに鑑賞する人、節度を守って鑑賞を行う人、全ての鑑賞者が共存できる空間を作り上げることが、今後の課題なのではないかと思いました。
※前衛展は10月17日をもって終了いたしました。
このページの先頭へ