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2022年度 第4回コレクション展

コレクション展

2022年度 第4回コレクション展

2022.10.08 sat. - 01.22 sun.

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珠玉の日本画 西村五雲《吉野の桜》明治中期(前期展示) 土田麦僊《罰》1908年(後期展示)

 8月には感染者数が過去最多を更新するなど、新型コロナウィルスの勢いは収まらず、美術館や博物館の活動にもいまだ影響を与え続けています。通常であれば当館の所蔵品は多くの借用依頼をいただき、ありがたいことに各地でその姿をご覧いただいておりました。しかし、コロナ禍となった当初から借用依頼のキャンセルが相次ぎ、徐々に依頼が増えてきたとはいえ、以前ほどの件数ではありません。こうした状況によって、普段は貸し出していることが多い当館の日本画コレクションがまとまって収蔵庫に眠っています。そこで、この機会にこれら珠玉の名品たちをご覧いただきたいと思います。1963年に開館した当館は今年で開館59年目、来年は60周年を迎えます。そうした節目の年を控えて、これまでの収集の軌跡とでもいうべき名品をご覧いただき、来年の展覧会への助走としたいと思います。
 日本画コレクションの核となっているのは京都画壇の作品です。明治維新ののち、京都は市民の力で京都府画学校設立を成し遂げ、京都市立美術工芸学校や京都市立絵画専門学校などを経て、現在の京都市立銅駝美術工芸高等学校や京都市立芸術大学へと至っています。また、浅井忠に学んだ千種掃雲や小川千甕らが参加した丙午画会、土田麦僊や小野竹喬、村上華岳、野長瀬晩花、榊原紫峰、入江波光らの国画創作協会、星野眞吾、不動茂弥らのパンリアル美術協会、上村松篁や秋野不矩、広田多津、吉岡堅二など京都と東京の画家によって結成された創造美術など数多くのグループが誕生し、日本画の革新を目指して画壇を盛り上げました。
 所蔵作家のうち帝室技芸員に選ばれた日本画家は森寛斎、幸野楳嶺、岸竹堂、今尾景年、望月玉泉、竹内栖鳳、富岡鉄斎、山元春挙、上村松園で、帝室技芸員に選ばれた後、横山大観とともに第一回文化勲章を受章した竹内栖鳳は特に有名です。文化勲章受章者は栖鳳の他に上村松園、西山翠嶂、堂本印象、福田平八郎、徳岡神泉、小野竹喬、山口華楊、上村松篁、池田遙邨、秋野不矩らがいます。このように非常に幅広く濃密な活動を続けている京都画壇のエッセンスを、当館日本画コレクションを通してご覧いただければと思います。


ニュー・バウハウスの写真:ドイツからアメリカへと渡った実験室 アーロン・シスキン《グロスター 1H》1944年

 「ニュー・バウハウス」は、1937年にアメリカ・イリノイ州の都市シカゴに創設された芸術学校です。初代校長を務めたモホイ=ナジ・ラースローは、ドイツ・バウハウスの教育理念をアメリカにもたらし、デザイン・写真教育の礎を築きました。モホイ=ナジはデザイン学校の教育実践を著作『ヴィジョン・イン・モーション』にまとめた直後に他界しますが、「芸術と科学技術の統合」という彼の理念は、ジョルジュ・ケペッシュ、ヘンリー・ホルムズ・スミス、アーサー・シーゲル、ハリー・キャラハン、アーロン・シスキン等の講師陣へと継承され、特に写真については光と運動の現象を追求したユニークな授業が行われました。ニュー・バウハウスは、1938年にスクール・オブ・デザイン/インスティテュート・オブ・デザインへと組織変更、1949年にはイリノイ工科大学に編入されますが、1960年代までアメリカにおける写真教育の中心地として優れた写真家を数多く輩出しました。またモホイ=ナジと同様、バウハウス出身のヨゼフ・アルバースが教鞭をとったノースカロライナ州の芸術学校「ブラック・マウンテン・カレッジ」は、ラウシェンバーグやデ・クーニングなど戦後アメリカ美術を牽引する芸術家を輩出したことで知られていますが、その夏期講座にはキャラハンとシスキンが講師として招かれています。このようにバウハウスの教育モデルは、第二次世界大戦をはさんでヨーロッパからアメリカへと移植され、さまざまなジャンルの新しい表現を生み出す基盤となったのです。
 当館の写真コレクションの中核をなす「ギルバート・コレクション」には、ニュー・バウハウスと関係のある写真家の主要な作品が数多く含まれています。それは同コレクションの元の所蔵者であるアーノルド・ギルバート(1921–2004)が、シカゴを拠点として同時代の写真家と深い交流をもちながら作品収集をおこなっていたことに由来します。今回の展示では、ギルバート・コレクションのもう一つのハイライトである、シカゴ派の写真家の作品をご覧いただきます。


コレクターの眼 芝川照吉と川勝堅一 河井寬次郎《呉洲筒描陶板「手考足思」》1957年

 個人コレクターの築いた特色あるコレクションに支えられているのは、当館も例外ではありません。今回はその名を冠した、芝川照吉コレクションと川勝コレクションを紹介します。
 芝川照吉氏(1871–1923)は、大阪で毛織物商を営む芝川商店に養子として入った実業家であり、近代洋画や工芸作家のパトロンとして知られます。1906(明治39)年に、子どもたちの絵の稽古に来た石井柏亭と知り合い、同時代の作家たちと親しく交流しながら支援するようになりました。後に柏亭は、「画家をして何等束縛を感じせしめることのない、君は実に絶好のパトロンであった」と回想しています。雑誌『方寸』に関係した作家のほか、特に岸田劉生を中心とする草土社の作家たちの作品は、そのコレクションの重要な位置を占めています。また、1913(大正2)年には交流が認められる藤井達吉の作品をはじめ、作者の志向を直接的にのびのびと表現した工芸コレクションは、芝川氏の日用に使用され、作家の目指した総合芸術としての工芸を体現していたと言えるでしょう。
 一方川勝コレクションは、河井寬次郎の作品425点を擁します。川勝堅一氏(1892–1979)は、髙島屋東京支店宣伝部長(後に取締役兼支配人)を務めた人物で、河井とは髙島屋での初個展に際し1921(大正10)年に知り合います。河井は、中国陶磁を意識した精緻な作品で高い評価を得たデビュー後、大正末頃から制作に迷いを覚え作風の変化が見られますが、川勝氏は一貫して作家を支えました。こうした支援に応えるように、河井は髙島屋での個展を恒例とし、川勝コレクションは結果的に「初期から最晩期までの仕事の全貌を物語るといった年代作品字引」となったのです。川勝氏は自宅を「亦楽窓」と名付け、作品を飾るサロンとしていましたが、河井の逝去を機に、多くの人に喜んでもらえるようにと、寄贈を思い立ったと言います。今回は『川勝コレクション特選集』(平凡社、1971年)掲載作品を中心に、展示いたします。


小出楢重と裸婦

 大阪の商家に生まれ、書画や芝居など伝統文化に親しみながら、道頓堀に近い歓楽街で「下手(げて)もの」にも囲まれて育った小出楢重(1887-1931)は、大阪モダン文化を象徴するような画家と見られています。油彩画家を志して東京美術学校西洋画科を卒業し、1919(大正8)年以降、二科展を拠点に活躍して注目を集めました。1921年8月から翌年4月にかけてヨーロッパへ遊学した際には、「外国と相性が悪い」と感じながらも同時に、西洋の美術が西洋の生活に根差したものであることを実感したそうです。これ以後は、自身の生活を洋風に変え、それに応じて画風も変化させました。特に1926年以降は、芦屋に洋風アトリエを建設して完全に洋風の生活を営みながら数々の名作を制作しました。西洋美術の真髄ともいえるテーマである裸婦に盛んに取り組むようになったのも晩期5年間のことであり、世に「裸婦の楢重」と呼ばれたほどの旺盛な制作がこの短期間に集中しているのも興味深い事実です。
 そうした小出の裸婦画の中でも特に名作の誉れ高いのが《裸女結髪》ですが、このたび当館の所蔵作品となりました。この新収蔵を記念する今回の展示では、本作品のほか、当館所蔵の小出の油彩画2点と寄託作品のデッサン1点も併せて展示しますが、どれもほぼ同時期の作品です。油彩画のうち1点は静物画ですが、もう1点は裸婦、デッサンも裸婦を描いています。裸婦と静物との違い、裸婦における表現の違いも味わっていただけることでしょう。


会期 2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)
[前期]
10月8日(土)~11月27日(日)
[後期]
11月29日(火)~1月22日(日)

テーマ 珠玉の日本画
ニュー・バウハウスの写真:ドイツからアメリカへと渡った実験室
コレクターの眼 芝川照吉と川勝堅一
小出楢重と裸婦
常設屋外彫刻

開館時間 午前10時~午後6時
*入館は閉館の30分前まで
*新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開館時間は変更となる場合があります。来館前に最新情報をご確認ください。

観覧料 一般 :430円(220円)
大学生:130円(70円)
高校生、18歳未満、65歳以上:無料
*( )内は20名以上の団体
国立美術館キャンパスメンバーズは、学生証または職員証の提示により、無料でご観覧いただけます。
*チケットは日時予約制ではございません。当館の券売窓口でもご購入いただけます。

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夜間割引 夜間開館日(金曜日)の午後5時以降、夜間割引を実施します。
一般 430円 → 220円、大学生 130円 → 70円

コレクション展無料観覧日 10月8日(土)、11月3日(木)
*都合により変更する場合がございます。

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