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2020年度第2回コレクション展

コレクション展

2020年度 第2回コレクション展

2020.07.22 wed. - 10.04 sun.

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西洋近代美術作品選

 当館所蔵・寄託の西洋近代美術の優品を紹介するコーナーです。今回は、フランス印象派の中心人物として日本でも高い人気を誇るクロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)の作品をご紹介します。1883年、40歳を過ぎたモネは終の棲家となるジヴェルニーに移り住みます。そしてこの時期以降、彼の絵からは人物が姿を消し、自然現象の変化をいかに描くかという問題へと関心が移っていきます。
 エプト川は、新しい屋敷からほど近い場所にあり、1890年代の連作「ポプラ並木」の舞台となりました。それに先だつ1885年制作の《春、エプト川の柳》では、ポプラの木々を背景に、川沿いに立つ柳の木が二本描かれています。画面は上から水平に、青い空、芽吹く前の木々、新緑の草、そしてそれらを映す川面の四つに分割されると同時に、柳の木は画面を越えて上部に延び、その姿を川面に映すことで、画面全体を上下に縦断しています。伝統的な遠近法を用いない、このような構図を採用することで、作品の主題が風景そのものではなく、風景に映える早春の光の対比の描写にあることが強調されます。本作品に見られる新しい視点をもつ風景描写を、モネは、広重や北斎の浮世絵を参照することで手に入れました。
 ジヴェルニーの家の西側近くにはクロ農場があり、夏を過ぎると、冬に備え脱穀前の麦の穂を紡錘形に積み上げた貯蔵庫が作られました。その「積み藁」を主題に、モネは最初の本格的な連作にとりかかります。1888年から89年に5点、1890年から91年に25点が描かれて、合計30点がひとつの連作を構成しています。《積み藁、ジヴェルニー、朝の印象》は、この最初に描かれた5点のうちの1点です。積み藁の背後に、農場とセーヌ河を挟んで対岸に位置するポール=ヴィレと思しき丘が拡がっていることから、画家が西南の方向を向いてこの絵を描いたことがわかります。それを証明するように、東側からの朝の太陽を浴びる積み藁と周囲の風景は、その輪郭を曖昧にしつつ光り輝いています。埼玉県立近代美術館には、同時期に同じ地点から積み藁を描いた《ジヴェルニーの積み藁、夕日》が所蔵されており、本作とは対照的に、夕日を浴びる積み藁はほぼシルエットとして描かれています。「ポプラ並木」や「ルーアン大聖堂」といった連作の先駆けなった「積み藁」ですが、その主題の選択には、農業国フランスの象徴、普仏戦争後の「豊かなフランス」の称賛、といった意味が込められているとも言われています。


屏風祭 土田麦僊《海女》(右隻)1913年(展示期間:7月22日~8月23日) 富岡鉄斎《富士遠望図・寒霞溪図》(左隻)1905年(展示期間:8月25日~10月4日)

 毎年7月17日と24日は祇園祭のハイライトともいうべき、山鉾巡行(前祭と後祭)の日です。それぞれの前夜と前々夜は、宵山、宵々山と呼ばれ、駒形提灯に照らされた山や鉾を眺めながら各山鉾町を浴衣姿の人々が歩きわたり、巡行とはまた違った風情を醸します。「巡行は一回も見たことないわ」という京都市民は意外に多いのですが、「宵山、宵々山に出掛けたことない」という人は少ないのではないでしょうか。お目当てはそれぞれで、かき氷やベビーカステラ、ヨーヨー釣りなどの夜店が子供たちを夢中にさせるように、美術好きを夢中にさせるものがあります。もちろん、山や鉾、会所に飾られた御神体や懸装品は言わずもがなですが、子供たちや観光客も魅了します。それらとはまた別に美術好きを魅了するものは、この期間限定で、古いお家が夏の設えをした座敷に屏風などの美術品を飾って通りを歩く人からも見えるようにしてくださる、屏風祭と称される風習です。大きな座敷を持つ町屋は少なくなり、このようなことをするお家も少なくなりましたが、大々的に公開しておられなくても、明かりが漏れているのを頼りに、格子からそっと覗くと「これは!」と見入ってしまう作品があったりして楽しいものでした。
 しかし、残念ながら今年は、新型コロナウイルス感染防止のため山鉾巡行が中止となり、夜の行事も自粛することに…。今回の日本画コーナーでは、京都に賑わいが戻ることを願い、当館が所蔵する屏風作品から六曲一双等大画面のものばかりを、前期(8月23日まで)と後期(8月25日から)に分けて展示いたします。ほんものの屏風祭には劣りますが、少し遅めの京近美屏風祭、楽しんでいただければ幸いです。


#Stay_Connected つながるための場所 カレン・ノール《目利きの世界:想像の愉しみ》1986-88 ©Karen Knorr

 2020年の春、未知の感染症流行のため世界中の美術館・博物館がいっせいに休館を余儀なくされました。美術館だけではありません。映画館、図書館、劇場、コンサートホールといった、本来なら社会に向けて開かれているはずの芸術・文化施設の多くがその扉を閉ざし、芸術と人とが出会うことのないまま、どこか息の詰まるような時間だけが粛々と過ぎていくという、まさに未曽有の状況に直面したのです。
 芸術鑑賞のための公共空間として機能することができないこの数か月の間、インターネットを活用して様々なかたちで人々に芸術を届けようとする動きもみられました。物理的な距離や時間を超えた、芸術への新しい接続方法は、芸術と観客との関係における美術館・博物館の役割を例にとってみても、将来的に再考や変革をもたらしうるでしょう。現場スタッフの創意工夫あふれる様々な芸術鑑賞のオンライン化に目をみはる一方で、実際に美術館へ足を運び、展示空間のなかでじかに作品と向き合う体験が何物にも代えがたいことに、改めて気づいた方も多いのではないでしょうか。
 美術館は芸術作品との出会いの場であると同時に、多様な価値観をもった他者と出会い、様々な感想を共有し、新たな人とのつながりを生み出す場でもあります。「Stay Connected(つながったままで)」の後に続く言葉をご自身で思い巡らせながら、今回の展示をお楽しみください。


近代工芸の吉祥文 加藤土師萌《萌葱金襴手蓋付飾壺》1968年

 企画展「京のくらし」に関連して、当館所蔵品の中から吉祥文が施された工芸作品を紹介いたします。
 吉祥とは、古くは中国文化との関わりの中で生まれた、おめでたいこと、非常に縁起のよいという意味を持つ言葉です。吉祥の文化が日本に入ってきた後は、日本独自の吉祥文も登場し、多様に生活文化を彩ってきました。そして生活の場で用いられることが多かった工芸では、特に吉祥文が発達し、時には形そのものが吉祥をテーマに形作られることもあります。
 吉祥文が意味するものは、長寿や子孫繁栄、立身出世など様々です。現世に生きる人々の願いを動物や植物、空想の世界の事物に託して形象化したものが吉祥文ですが、これらを一種の記号のように調度品に施し、そして場を飾り、実際に用いることで、ハレや日常は、生き生きと豊かなものへと再生することになります。例えば、日本でもよく目にする松竹梅は、中国の歳寒三友からきているといわれますが、常緑の松や竹、梅は冬に花を咲かせることから不老長寿を願うものです。また、中国の皇帝や皇后の象徴である龍や鳳凰は瑞獣として、万能の力、あるいは世の中の繁栄の象徴を意味しています。唐草は生命力の強さから長寿や子孫繁栄を表し、牡丹や蓮、柘榴などを部分的に取り入れた架空の花である宝相華は、そのもととなった植物からもわかるように吉祥の花として様々に用いられます。そして福禄封候は、鹿や蜂、蝙蝠、猿候の図柄から立身出世を祝賀する東洋の画題として知られています。
 ここでは、吉祥文のごく一部を紹介するだけですが、作者や使い手が込めた願いを感じ取っていただけると幸いです。


特集:樂直入(十五代吉左衞門)の『シリーズ盌 大地に眠る精霊たち』

 1949年に樂家十四代覚入の長男として京都に生まれた十五代吉左衞門は、2019年7月8日に代を長男に譲り、隠居して直入に改名しました。直入は東京藝術大学彫刻科を卒業後、イタリアのローマ・アカデミアに留学。1981年に十五代吉左衞門を襲名しました。樂家は、初代長次郎から当代に至る450年もの間、茶の湯との強い結びつきにおいて続いてきました。黒樂、赤樂を中心としたその作風は代々受け継がれる一方で、時代の中で常に更新されてもきました。特に直入は、樂家を歴史化する視点を持ち、茶碗という「モノ」に内在する精神性、思想性、美意識などを現代の造形として成立させるべく創造行為を行ってきた作家です。
 リーズ盌は、2009年に大阪の国立民族学博物館で開催された特別展「「茶の湯のものづくりと世界のわざ」~千家十職×みんぱく~」において、同館所蔵のアフリカの民具や仮面等に刺激を受けて制作された作品群です。当初、この作品群は、「アフリカンドリーム」と名付けられていましたが、その後、制作の内容をより明確に反映させるべく、「シリーズ盌 大地に眠る精霊たち」と変更されました。これらは、直入が、イメージの源泉となる民族の精神を宿した「モノ」を見つけだし、解釈し、自身の盌制作を通じてどのようにそれらと対峙していったのかという創造意志の結晶だといえます。また、「盌」の起源を掘り下げる中で、直入は、「茶碗」では必要とされる高台をなくし、様々な土、様々な手法で制作していきました。


京の風景 新井謹也《京都加茂川畔》1908年

 平安時代以来1200年の都である京都には、変化に富んだ風景があります。明治期以降、多くの画家たちによってその風景が描かれました。
 ここでは、当館所蔵の水彩画や版画を通して京都の風景をめぐってみましょう。
 京都の要は御所ですが、その東南には河原町丸太町の交差点があります。河原町通を北へ進めば荒神口通があり、その東には鴨川に架かる荒神橋があります。荒神口よりも少し北の、御所の近くには梨木神社があり、その西にある梨木通を北へ進めば、御所の東北に出町があります。出町橋を渡れば鴨川デルタ。その北に下鴨神社の糺の森。鴨川に合流する高野川の東には、愛宕郡の北白川のやや南に浄土寺村があり、哲学の道の南端に熊野若王子神社。その西にある岡崎公園の平安神宮は、平安時代の宮殿の中心にあった大極殿を模した建物です。その南にある三条通から山科へ向かう出入口が粟田口。八坂神社の南にある法観寺の五重塔は八坂の塔と呼ばれます。
 ここから一気に南へ進み、鴨川に架かる十条通の橋が陶化橋。その南東に有名な伏見稲荷大社。さらに南にある深草の大亀谷の、山の東側にある小栗栖は明智光秀終焉の地です。
 さて、ここからは展示作品の都合により無茶な行程になりますが、まずは一気に北西へ飛び、桂川の周辺にある観光名所の嵐山へ。太秦を越え、仁和寺の近くには石庭で有名な龍安寺。そこから二条駅、または京都駅まで戻れば、天橋立に行くことができます。


東松照明「京まんだら」

 1930(昭和5)年に名古屋市で生まれた東松照明は、岩波写真文庫のスタッフを経て、1950年代に写真家としての活動を始めました。洗練された構図と鮮烈な色彩を持ちつつも、戦後日本および日本人のあり方を深く問いかけるその作品は、後進に大きな影響を与え、今なお世界で高く評価されています。
 今回、3階企画展「京(みやこ)のくらし―二十四節気を愉しむ」のスピンオフとして、当館が所蔵する東松照明作品からシリーズ「京まんだら」全75点を展示します。「京のくらし」展が、人々のくらしを彩る四季折々の自然や芸術を主題としているのに対し、本シリーズで東松は、京の人々そしてそのくらしそのものにカメラを向けます。1960・70年代に「長崎」「沖縄」を主題に作品を制作してきた彼が、1980年代に入り採り上げた地が「京都」。その選択の理由は、古のみやこへの憧憬ではなく、「Nagasaki」「Okinawa」を生み出した根源としての「京(みやこ)」、つまり日本そのものへの批判的まなざしに他なりません。そしてそのまなざしは、晩年の代表作であるシリーズ「さくら」に引き継がれます。
 「京のくらし」展そして「京まんだら」、さらにはシリーズ「さくら」に含まれる御所と二条城の桜を写した二作品を見たあとに浮かび上がる「京都」とは、一体どのようなものでしょうか。


会期 2020年7月22日(水)~10月4日(日)
[前期]7月22日(水)~8月23日(日)
[後期]8月25日(火)~10月4日(日)

テーマ 西洋近代美術作品選
屏風祭
#Stay_Connected つながるための場所
近代工芸の吉祥文
特集:樂直入(十五代吉左衞門)の『シリーズ盌 大地に眠る精霊たち』
京の風景
東松照明「京まんだら」
常設屋外彫刻

展示リスト 2020年度 第2回コレクション展 (計185点)(PDF)

音声ガイド 音声ガイドアプリご利用方法(PDF形式)

開館時間 午前9時30分~午後5時
*7月23日(木)~9月22日(火)は午後6時まで開館
*金曜日と8月16日(日)は午後8時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、開館時間は変更となる場合があります。来館前に最新情報をご確認ください。

観覧料 一般 :430円(220円)
大学生:130円(70円)
高校生、18歳未満、65歳以上:無料
※( )内は20名以上の団体
国立美術館キャンパスメンバーズは、学生証または職員証の提示により、無料でご観覧いただけます。

コレクション展無料観覧日 2020年9月26日、10月3日
※都合により変更する場合があります。

コレクション展夜間割引 金曜日の午後5時以降、コレクション展観覧料の夜間割引を実施します。
一般 :430円 → 220円
大学生:130円 → 70円
※午後5時以降に観覧券をご購入、入場されるお客様に割引を実施します。
※観覧券のご購入、入場は閉館の30分前まで。

展示リスト 2020年度 第2回コレクション展 (計185点)(PDF)

音声ガイド 音声ガイドアプリご利用方法(PDF形式)

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