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コレクション展コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第2回展示(計95点)

コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第2回展示(計95点)

会期
2014年5月14日(水)~ 7月13日(日)

概説

 今年度第2回となるコレクション展では、5月27日(火)から7月6日(日)まで3F企画展示室で開催中の「上村松篁展」に関連する展示を数多く行っています。
 まず「特集展示:上村松篁ゆかりの作家たち」と題し、コレクション・ギャラリーの半分近くを使って、松篁の師友たちの作品を展示しています。入口近くから、スカイライトのある部屋にかけてのエリアでは、松篁とともに創造美術協会の発足を牽引した吉岡堅二や秋野不矩の作品のほか、創造美術協会がのちに創画会となる過程で、一時期活動を共にした新制作協会で活躍していた田渕安一や猪熊弦一郎の作品、そして他にも須田国太郎など松篁と深い関わりのある洋画家たちの作品を紹介しています。通常の日本画展示エリアには、母である上村松園の作品に始まり、師である西山翠嶂、その翠嶂の画塾である青甲社で共に学んだ堂本印章や三谷十糸子の作品、さらには松篁とともに京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で学び、教え、帝展や日展で活動した作家たちの作品などを展示しました。松篁芸術の形成が、いかに豊かな芸術交流に支えられていたか、あらためてご覧いただく機会になれば幸いです。

 上村松園《虹を見る》1932年
   上村松園《虹を見る》1932年
上村松園《虹を見る》1932年 __
 西山翠嶂《水鶏図》昭和初期  
   西山翠嶂《水鶏図》昭和初期

 工芸展示エリアでも、「松篁同時代の工芸家たち」と題し、日本画同様に、松篁とともに学び、さらに後進の指導にあたった陶芸や染織の作家たちの作品を紹介しています。日本画も工芸も、これらの作品では、同時代のパンリアル協会や走泥社の作家たちのような先鋭的な前衛性が目立つわけではありませんが、フォルムやモティーフの端々に、戦後の混乱期に新たな芸術創造を目指した静かなる格闘を見て取ることができます。このほか工芸では、引き続き河井寛次郎の優品をご覧いただきます。
 洋画は、開館50周年を迎えた昨年度から時系列で館蔵品を紹介しています。今回は「戦後復興期の抽象」と題し、1960年代の作品を特集しました。一口に「抽象」と言っても、俵屋宗達の《舞楽図屏風》の引用とオブジェを組み合わせた磯辺行久や、ロープや針金などを画面にとりつけた伊藤隆康、ハーフトーンのストライプを組み合わせた山田正亮など、作品の傾向は多種多様です。また長年ローマで活動した高橋秀の作品も展示していますが、同時期に京都市美術館で回顧展が開催されていますので、どうぞ併せてご覧下さい[5月23日(金)から6月22日(日)まで]。
 写真展示エリアには、「ゼロ年代のセルフ・ポートレート」と題して、高嶺格と澤田知子の作品が展示されています。自らと在日韓国人女性との結婚式・披露宴のドキュメントを、様々な批評的言説で追うことによって普遍的ルポルタージュにまで昇華した高嶺の《ベイビー・インサドン》、スキンヘッズのセルフ・ポートレートと無数のコスチュームプレイのセルフ・ポートレートを並置することで、自己存在の基礎と不安定さをあぶりだした澤田の写真作品、両者には自省することで世界との関わりを問い直す姿勢が共通しています。
 最後に、ロシア出身のユダヤ系画家で、日本でも広く人気を集めるマルク・シャガールの作品を展示しています。生涯、自らのユダヤ人としての出自とそれを取り巻く世界との関係を問い続け、それを寓意的なモティーフを用いて幻想的に描き出したシャガール芸術の一端をご覧下さい。

主なテーマ
特集展示:上村松篁ゆかりの作家たち
ゼロ年代のセルフ・ポートレート-高嶺格と澤田知子
松篁同時代の工芸家たち
河井寬次郎
戦後復興期の抽象
マルク・シャガールの絵画と版画
屋外彫刻

展示作品
コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第2回展示 展示目録

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