京都国立近代美術館京都国立近代美術館 京都国立近代美術館 京都国立近代美術館

MENU
Scroll

開館状況  ─  

コレクション展コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第2回展示(計125点)

コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第2回展示(計125点)

期間
2013年7月10日(水)~ 9月1日(日)
 前期:7月10日(水)~8月18日(日)
 後期:8月20日(火)~9月1日(日)

概説

 今年度2回目となるコレクションギャラリーでは、開館50周年を記念して日本画ならびに洋画の名品の数々をご覧頂くとともに、同時期に3Fの企画展会場で開催される「泥像 鈴木治の世界」展に関連する特集展示を行っています。
 まず会場入口すぐには、【特集1:〈彫刻〉の誕生】と題して、明治から昭和初期にいたる日本の彫刻と、それらに影響を与えたフランスの近代彫刻を展示しています。明治に入り東京に開設された工部美術学校の彫刻科教師としてイタリア人ヴィンチェンツォ・ラグーザが着任するまで、日本には西洋的な意味での「彫塑」は存在しませんでした。もちろん日本にも歴史的に、木や金属でできた「仏像」や「飾り」は数多く存在します。しかしそれらを「彫刻」と呼びうるかどうか、滞欧中にロダンなどの作品から影響を受けた高村光太郎のような人々によって、大きな論争が巻き起こされました。ここにご紹介している森川杜園《春日白鹿》について、自筆の箱書きは「置物」と記しています。本作品は開館の翌年に購入されたものですが、当時所蔵品台帳には「彫刻」として登録されました。このような事実にも、先に述べた論争が反映されていると言えるでしょう。

  高村光太郎《裸婦坐像》1917年
   高村光太郎《裸婦坐像》1917年

 次に【日本画】では、戦前の官展(文展・帝展)で活躍した京都画壇の作家たちの名品の数々をご紹介しています。ここには、当館を代表する作品であるがゆえに、他館からの借用依頼が非常に多く、かえって長らく当館で展示する機会が得られなかった上村松園《虹を見る》や竹内栖鳳《若き家鴨》、土田麦僊《罰》などが含まれています。「東の大観、西の栖鳳」と称された竹内栖鳳の作品を中心に、栖鳳とならんで幸野楳嶺門下の四天王と呼ばれた谷口香嶠、都路華香、菊池芳文、さらには上村松園、菊池契月、西村五雲、堂本印象、福田平八郎、徳岡神泉など、きら星のごとき才能を世に送り出した、明治から昭和にかけての京都画壇の層の厚さをご堪能下さい。

 上村松園《虹を見る》1932年
   上村松園《虹を見る》1932年
上村松園《虹を見る》1932年 __

 【版画】のコーナーでは、長谷川潔の作品を特集しています。初期の多色木版画のほか、ビュランやアクアチント、そして長谷川の代名詞とも言えるマニエール・ノワールの優品を、油彩画も交えてご紹介しています。この春、このコーナーの壁を白からグレーに塗り替えました。その色は、作品のみならず、長谷川自身が選んだくすんだブロンズ色の額縁とも調和して、落ち着いた鑑賞空間を生み出しています。
 【工芸】のコレクションからは、「鈴木治の世界」展に関連して、鈴木が設立に参画した「走泥社」の作家たちによる陶芸作品を特集しています。作家たちによる、「用の美」を超えた「陶」による表現をめぐる真摯な探求の数々をご覧下さい。用を前提とした「応用芸術」か自立した「純粋芸術」か。この問題意識は、【特集1】における「彫刻」をめぐる論争とも繋がってきます。
 【洋画】では、前回に引き続き日本近代洋画の名品をご紹介しています。今回は当館を代表する1925-35年頃の洋画を特集しました。大正時代、少なくない数の画家たちが渡欧米して同時代の西洋絵画の動向と対峙しました。そして帰国した彼らが、次に挑んだのが、西洋の物まねではない日本独自の油彩表現の追求でした。印象派の影響を受けた都鳥英喜や梅原龍三郎、後期印象派と安井曾太郎、フォーヴと里見勝蔵、スペイン絵画と須田国太郎、対峙した西洋絵画はそれぞれ異なりますが、それを日本の風土やモティーフとどのように結びつけるか、作品は彼らのそのような試行錯誤を映しだしています。

  小出楢重《卓上静物》1928年
   小出楢重《卓上静物》1928年

 続いて【特集2:パンリアル美術協会】と題して、「走泥社」と同時代の日本画における革新的動向を紹介しています。日本画家の団体「パンリアル美術協会」の前身である「パンリアル」には、「走泥社」結成前の鈴木治や八木一夫も参加していました。「走泥社」同様、従来の日本画の表現の枠組みを超えていこうとする果敢な試みにご注目下さい。
 最後に【特集3】として、これまでも継続的に特集してきた「現代美術の動向展」を採り上げました。第4回目となる「現代美術の動向展」では、30歳代を中心にした若手・中堅の作家が選ばれ、そこからは開催された1965(昭和40)年当時の、1960年第前半の過激さが少々影を潜めた芸術の動向を感じ取ることができます。

主なテーマ
【特集 1】〈彫刻〉の誕生
【日本画】開館50周年記念所蔵名品選―戦前京都画壇の官展作家達
【版 画】長谷川潔特集
【工 芸】走泥社の陶芸をめぐって
【洋 画】日本近代洋画の名品Ⅱ―日本的油彩画を求めて
【特集2】パンリアル美術協会
【特集3】シリーズ:検証「現代美術の動向展」第4回
【彫 刻】屋外彫刻

展示作品
コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第2回展示 展示目録

このページの先頭へ