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コレクション展コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第1回展示(計239点)

コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第1回展示(計239点)

期間
2013年5月11日(土)~ 7月7日(日)
前期:5月11日(土)~6月9日(日)
後期:6月11日(火)~7月7日(日)

概説

 開館50周年を迎えた本年度のコレクション・ギャラリーでは、3Fの企画展との関連展示だけではなく、一年を通してコレクションを最大限に活用したさまざまな特集展示を行っていきます。
 本年度第1回目となるコレクション・ギャラリーでは、所蔵する西洋近代美術の代表作を一同に展示しました。当館の西洋近代美術コレクションはそれほど大きなものではありませんが、収集方針には二つの柱があります。ひとつは、明治以降の日本の造形芸術の展開に大きな影響を与え、日本の作例と明確な相関関係を見出すことができる作品の収集で、もうひとつは、近代という時代における「芸術」を批判的に検証し、世界同時多発的かつ相互影響を受けながら展開したダダ運動に関連する作品・資料群の収集です。【コレクションに見る西洋近代美術Ⅰ―具象表現の展開と抽象表現の誕生】では、印象派からキュビスム、フォーヴィスム、そしてモンドリアンの抽象表現に至るモダン・アートの流れをコレクションで辿ります。また【コレクションに見る西洋近代美術Ⅱ―ダダ運動を中心に】では、世界で八つのエディションしか存在しないマルセル・デュシャンのレディメイド群を筆頭に、クルト・シュヴィッタースやハンナ・ヘッヒ、マックス・エルンストやハンス・アルプなど、ベルリン、パリ、ニューヨーク、ケルン、チューリヒとグローバルに展開したダダ運動の作品群をご覧頂きます。その上で、ルノワールと梅原龍三郎、ピカソと国吉康雄、マティスと小出楢重や安井曾太郎、ブルリュークと普門暁、シュヴィッタースと村山知義といった、日本の作家たちとの作品相互の共通性にご注目頂ければと思います。

    ピエト・モンドリアン《コンポジション No.1》1929年
     ピエト・モンドリアン
    《コンポジション No.1》1929年
クルト・シュヴィッタース《無題(ボール紙の上に)》1929-30年___
クルト・シュヴィッタース
《無題(ボール紙の上に)》1929-30年

 【日本画】のコーナーでは、土田麦僊らとともに国画創作協会設立に尽力した村上華岳の作品を特集しています。50年前、当館が初めて開催した日本画の展覧会が、この村上華岳の没後初めてとなる回顧展でした。国画創作協会脱退後、神戸花隈の地に隠遁し、画壇と交渉を断った華岳の芸術は、長らく愛好者のみに知られた存在でした。その華岳芸術の再評価の契機となった開館時の展覧会を記念して、今回所蔵作品と寄託作品、さらには東京国立近代美術館から重要文化財に指定されている《日高河清姫図 》(展示は6月11日から)を特別に借用し、総点数約40点で華岳芸術の真髄に迫ります(会期中に展示替えがあります)。

    安井曾太郎《婦人像》1930年
    安井曾太郎《婦人像》1930年
村上華岳《日高河清姫図》1919年_
村上華岳《日高河清姫図》1919年

 【洋画】のコーナーでは、日本画の国画創作協会、西洋のダダ運動と同時代にあたる大正時代の作品を中心に名作を展示しています。大正時代、とりわけ第一次世界大戦後、数多くの画家たちが渡欧し、現地で同時代の西洋美術作品と対峙しました(例えば、当館所蔵のルドン《若き日の仏陀》[展示は6月23日まで]は渡欧した土田麦僊が現地で購入し日本に持ち帰ったものです)。梅原龍三郎《半裸体》のように師ルノワールの影響が顕著な作例もありますが、この時期の洋画は、西洋美術をいかに自らの血肉化して いくかという取り組みの成果とも言えるでしょう。

 一方【写真】のコーナーでは、3Fの企画展「芝川照吉コレクション―青木繁・岸田劉生らを支えたコレクター」展と関連して、野島康三を特集しています。野島は大正から昭和初期の新興写真の時代にかけて活躍した写真家であると同時に、自ら画廊やサロンを運営し、梅原龍三郎や岸田劉生そして富本憲吉らをサポートしたパトロンでもありました。そしてその交流は、野島の人体の構図など写真における創作活動にも影響を与えています。






  野島康三《仏手柑》1930年
 野島康三《仏手柑》1930年
河合卯之助《折鶴歯朶赤絵瓶》1959年___
河合卯之助《折鶴歯朶赤絵瓶》1959年

 【工芸】のコーナーでは、その野島と密接な交流があった富本憲吉の作品を中心に、芝川照吉とも関わりのあった人々、とりわけ実用的な器や染織の制作における新たな創造を目指した人々の作品を特集しています。なお、当館の重要なコレクションである河井寬次郎の作品も代表作を展示しています。

主なテーマ
【西洋美術Ⅰ】コレクションにみる西洋近代美術Ⅰ
        ― 具象表現の展開と抽象表現の誕生
【西洋美術Ⅱ】コレクションにみる西洋近代美術Ⅱ
        ―ダダ運動を中心に
【日本画】開館50周年記念 村上華岳特集
【写 真】野島康三の写真
【工芸1】近代日本の工芸と染織
【工芸2】河井寬次郎
【洋 画】日本近代洋画の名品Ⅰ―大正時代を中心に
【彫 刻】屋外彫刻

展示作品
コレクション・ギャラリー 2013(平成25)年度 第1回展示 展示目録

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