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コレクション展コレクション・ギャラリー 2012(平成24)年度 第3回展示 (計179点)

コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2012(平成24)年度 第3回展示 (計179点)

期間
2012年7月4日(水)~ 8月26日(日)

概説

 今年度第3回目となるコレクション・ギャラリーは、3Fの企画展会場で同時期に開催されている「KATAGAMI Style-もうひとつのジャポニスム」展に関連し、「型紙・型染」そして「フランス」をテーマにした作品を選んで展示しています。
 まずスカイライトのある部屋では、「コレクションに見る〈KATAGAMI Style〉」と題して、当館が所蔵する「型染」による染色作品をまとめて展示しています。ひとくちに「型染」といってもその手法は様々です。小宮康正による江戸小紋に代表されるように、ひとつの型紙を何度も送って生地を染め上げた作品もあれば、稲垣稔次郎の作品のように何枚もの型紙を組み合わせてひとつの図柄を染め上げているものもあります。また鈴田照次の作品では、「染型」として紙ではなく版木が使われています。また模様に目を移してみると、ここに展示されている1950年代以降の作品にも、「芹花」や「とくさ」といった伝統的な型紙によく見られるモティーフが使われています。しかし明治以降の西洋美術・デザイン受容・消化を経た時代、同じモティーフにどのような新たな解釈が加えられているか、企画展で展示されている型紙や作品と見比べてみるのも興味深いでしょう。またドビュッシーの楽曲に想を得た伊砂利彦の作品は、「型染」の表現手段としての多様性を追求した一例です。このほか、工芸作品展示コーナーでも、芹沢銈介と中野光雄の染色作品をご紹介しています。
 日本の染めの型紙がヨーロッパで広く受容されることに寄与した媒体に、ギャラリー・アール・ヌーヴォーの主宰者ジークフリート・ビングによって刊行された雑誌『芸術の日本』があります。そして彼のギャラリー名が冠された新たなデザイン動向「アール・ヌーヴォー」とその時代のフランスの美術が、明治以降の日本のデザインや油彩画に大きな影響を与えたことはよく知られています。そこで、油彩画のコーナーでは、フランスに滞在した画家による滞仏時代の作品を特集しました。彼らがフランスで何を摂取し消化しようとしたのか、その試行錯誤をご覧下さい。また、そのフランスで名をなした藤田嗣治の作品も特集しています。染織品に深い関心を寄せ自ら収集もしていた藤田は、様々な布を画面に描きこんでいます。例えば《タピスリーの裸婦》の背景に描かれた布地は、木版を使った捺染綿布「ジュイ布」、通称フランス更紗と呼ばれるものです。その花模様を描く際、藤田は型紙などを用いて型どりした上から着色したことが、輪郭線のわずかなくぼみからわかります。
 版画のコーナーでも、同様にフランスで活動した長谷川潔の作品と版木や彫刻刀などの制作道具を、写真のコーナーでも、パリを中心にヨーロッパで活躍したブレッソンやケルテスといった著名な写真家たちの作品をご紹介しています。
 工芸のコーナーでは、夏に相応しく海外のガラス作家による作品を特集し、河井寬次郎の展示作品も大幅に刷新しました。
 日本画のコーナーでは、季節に合わせて、蓮や朝顔、虫籠や盆踊といった夏の風物詩が描かれた作品を展示しています。また同時に、京都に生まれ、竹内栖鳳に日本画を浅井忠に油彩画を学んだ千種掃雲の作品を特集しました。円山・四条派の伝統を受け継ぐ京都の日本画と西洋の油彩画の写実性を貪欲に学び、独自の画風へと昇華させた作品の数々をご覧下さい。 

主なテーマ
【小企画】 スカイライト:コレクションにみる「KATAGAMI Style」
【洋画1】 藤田嗣治の世界
【日本画1】 千種掃雲
【日本画2】 夏の風物詩
【写 真】 ヨーロッパで活躍した写真家たち
【版画・洋画】 長谷川潔の版画と油彩画
【工芸1】 近現代のガラスと染織
【洋画2】 画家たちの滞仏作品
【工芸2】 河井寬次郎
【彫 刻】 屋外彫刻
展示作品
コレクション・ギャラリー 2012(平成24)年度 第3回展示 展示目録

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