京都国立近代美術館「さわるコレクション」
京都国立近代美術館に所蔵される代表作を選び、さわる図(触図)と文章で紹介する教材「さわるコレクション」を製作しました。
その作品に描かれている内容や、陶芸作品などの形をさわって知っていただける「さわるシート」と、図だけでは表せない作品の色や技法、あるいは制作背景などを記した「文字情報」の二つで構成されています。文字情報は、点訳してエンボス印刷した点字シートとなっています。この二点が、点字シートと同じ内容を拡大文字でも印刷した紙製ファイルに収められています。また、「さわるシート」の印刷には、各作品の特徴を表現するために適した印刷技術を検討し、いずれも異なる印刷の手触りになっていることも特徴です。
「さわるコレクション」は、希望される方への送付も行っています(送料着払い)。申込書に必要事項を記入の上、FAXまたは郵送でお申し込みください。
「さわるコレクション」申込書ダウンロード(PDF形式:647KB)
*2017年度版については在庫切れのため配布を終了いたしました。
さわるコレクション 紹介
写真をクリックすると大きく表示されます。
2020-21年度版
竹内栖鳳《春雪》昭和17(1942)年
「さわるシート」の印刷方法と制作プロセス:浮き出し加工(有限会社コスモテック)
原画から半立体のレリーフを石膏で作成。そのレリーフを視覚に障害のある方とさわって検討し修正を加えた。完成した石膏レリーフをもとにエンボス版制作に向け3Dデータを作成。データを3Dプリンターで出力し改めて確認。作品の印象などを加味しつつ、幾つかの用紙からパチカ350㎏を選定し、エンボス加工を実施した。複雑なエンボス加工により、日本画の柔らかな筆致や木材・羽根のテクスチャーの表現が可能になっている。
テキストを読む:竹内栖鳳《春雪》(PDF形式:302KB)
制作メンバー:原画レリーフ化:中谷ミチコ(多摩美術大学彫刻科講師)、版制作:ツジカワ株式会社、浮き出し加工:有限会社コスモテック、協力:半田こづえ(明治学院大学非常勤講師)、点訳:社会福祉法人 日本ライトハウス点字情報技術センター、企画・文:本橋仁、松山沙樹(京都国立近代美術館)
2019年度版
棟方志功《二菩薩釈迦十大弟子》より〈文殊菩薩〉・〈優婆離〉昭和14(1939)年
- 「さわるシート」の印刷:エンボス印刷(2 段階)(有限会社コスモテック)
金属の版で、紙の表面を押し出す、あるいは凹ませる技術。違う版で2回のプレスをかけることで2段階の高さでより立体感を表現しました。今回は、2段階のプレスを効果的に使うことができ、この技術をつかったことの優位性を実感する仕上がりとなりました。
テキストを読む:棟方志功《文殊菩薩・優婆離》(PDF形式:161KB)
リチャード・スリー《かたむいた角》昭和62(1987)年
- 「さわるシート」の印刷:「ペーパークラフト」(印刷:常盤印刷紙工株式会社)
美術作品のもつ、日常にはない複雑な形の魅力を楽しみながら知ってほしいという思いを込めて、ペーパークラフトを採用しました。選択できる紙の種類も広く、作品の印象にあわせて選びました。
テキストを読む:リチャード・スリー《かたむいた角》(PDF形式:144KB)
制作協力:京都教育大学(准教授 日野陽子、大学院教育学研究科2回生 太田風人、方山慎太郎、坂本湧一)、ミュージアム・アクセス・ビュー