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京都国立近代美術館研究論集
  CROSS SECTIONS Vol. 5 (2012)

京都:京都国立近代美術館, 2008-
ISSN 1883-3403 Vol. 5



『CROSS SECTIONS Vol. 5』序文
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 京都国立近代美術館の研究論集も、ここに第5号を数えることとなりました。当館は、本年2013年に開館50年を迎えます。3月16日からは開館記念の特別展「交差する表現―工芸/デザイン/総合芸術」を開催し、4月には当館の『50年史』の刊行も計画していますが、これらの記念事業とともに、2009年に採択され、当館の研究員が中心となって研究をすすめてきた科学研究費補助金(基盤研究(A))「東西文化の磁場―日本近代建築・デザイン・工芸の脱―、超―領域的作用史の基盤研究」の集大成となる書籍も、3月には国書刊行会から出版の運びとなります。
 そして本研究誌は、これまでにも「特集」として、毎年開催してきたシンポジウムの発表論考や概要なども欠かさず掲載し、科研の研究成果公表の場としての役割を果たして参りました。本号におきましても、当館で2011年の9月に開いた特別展「『織』を極める 人間国宝 北村武資」展の会期中に企画した記念シンポジウム「伝統を考える」のパネラー、当館前館長・岩城見一と文化庁主任文化財調査官・佐々木正直両氏の発表内容を収録いたしております。さらに北村武資氏ご自身と、同じく人間国宝の森口邦彦並びに室瀬和美両氏が、作家の立場から「伝統」について、先の岩城・佐々木両氏とともに討議された、きわめて貴重な発言も、当館研究員・中尾優衣によってまとめられていますので、ぜひご一読いただきたいと思います。このシンポジウムは、科研という専門領域のいわば閉ざされた場から一歩踏み出し、先述の書籍の刊行同様、一般に公開され、科研の新たな地平を切り開く試みといっても過言ではないでしょう。
 同じく本科研の研究分担者である国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美氏による英文論文も、「華厳経」を手がかりに東アジアの文化史を射程に入れた、これまでの本論集には見られなかった内容となっています。また、「研究ノート」として寄稿いただいた森下明彦・国立国際美術館客員研究員のモホイ=ナジについての論考は、当館で2011年夏に開催した「視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション」展開催時に企画されたシンポジウム、「モホイ=ナジ再考―芸術の領域を超えて」の発表原稿をもとに加筆・修正されたもので、これも先のシンポジウム「伝統を考える」と同じく、本研究論集の顕著な性格を示しています。この「モホイ=ナジ」展に関連して、コレクション・ギャラリーで「キュレトリアル・スタディズ05」として開催した小企画「ニュー・バウハウスの写真家たち」についても、企画担当の当館研究員・牧口千夏と、共同研究者である大阪芸術大学准教授・森川潔氏の論考を取り上げております。
 加えて「調査報告」として、東京藝術大学助手の金子智太郎氏と横浜国立大学准教授・中川克志氏の「サウンド・アート」に関する報告文は、本研究論集が当館以外の研究者にも広く開かれた性格をもっていることを鮮明に打ち出しています。
 このように本研究論集は、これまでに刊行した編集方針を堅持しながら、美術館が発行する研究紀要のなかで、質的にも、研究領域の多様性においても、独自の路線を歩んでいることがご理解いただけるでしょう。冒頭にも記しましたように、2013年当館は、開館50年の節目の年を迎えます。これまで当館が築き上げてきた歴史に、美術館活動のひとつの重要な柱となっている研究面において、本研究論集は発刊からまだ日が浅いにせよ、着実に当館の新たな1ページを刻んできていると思っております。
 これからも一層本研究誌にご支援・ご批判賜りますことを願いつつ、第5号刊行の巻頭のあいさつといたします。

2012年12月

京都国立近代美術館客員研究員 山野英嗣

(『CROSS SECTIONS Vol. 5』序文)

論文

Kegon/Huayan 華厳 View and Contemporary East Asian Art
―A Methodological Proposal―

INAGA Shigemi(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学・教授)

研究ノート

モホイ=ナジ・ラースローと戦前の日本

森下明彦(メディア・アーティスト/美術・音楽愛好家/国立国際美術館・客員研究員)

調査報告

日本におけるサウンド・アートの展開
 ―『Sound Garden』展(1987-94)の成り立ちをたどる

金子智太郎(東京藝術大学・助手)+中川克志(横浜国立大学・准教授)

特集:「<織>を極める 人間国宝 北村武資」展
     記念国際シンポジウム「伝統を考える」

感性論的<伝統>考

岩城見一(京都国立近代美術館・前館長)
「伝統工芸」の保護制度

佐々木正直(文化庁文化財部伝統文化課・主任文化財調査官)
討議と質疑応答

[構成・文責] 中尾優衣(京都国立近代美術館・研究員)

キュレトリアル・スタディズ05:ニュー・バウハウスの写真家たち

はじめに

牧口千夏 (京都国立近代美術館・研究員)
ニュー・バウハウスの写真家たち

森川潔(大阪芸術大学・准教授)

※ご希望の方には無料で配布いたします(別途送料必要)。


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