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「現代美術への視点——エモーショナル・ドローイング」展 関連企画
対話「ドローイングを語る」
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「現代美術への視点——エモーショナル・ドローイング」展 関連企画
対話「ドローイングを語る」
- 日時:
- 2008年12月13日(土)午後2時〜3時30分
(当日午前11時から整理券配布) - 講師:
- 金井 直(信州大学人文学部准教授)
保坂健二朗(本展企画者、東京国立近代美術館研究員) - 場所:
- 京都国立近代美術館1階講堂
- 聴講料・定員:
- 聴講無料、先着100名
開催報告:
はじめに「現代美術への視点——エモーショナル・ドローイング」展企画者である保坂健二朗研究員(東京国立近代美術館)と信州大学人文学部の金井直准教授から、各30分の本展に関するレクチャーが行われ、その後討議を交えた活発な質疑応答が展開されました。
まず保坂研究員は展覧会全体の特徴をあげ、そのなかでも特に、この展覧会では見ることや解釈することよりも、感じることを重視した点を詳細に述べました。例えば、出品作家の奈良美智の描く対象が、中世のフォークアートに近似し、現代におけるある種の宗教画と捉え得る可能性を指摘しました。そして、展覧会のテーマである「エモーショナル・ドローイング」それ自体の特性と、「なぜドローイングか」という根源的な問いへの美術史的分析を提示しました。
次に金井准教授は、石膏像デッサンの時代的変遷から、ドローイングの起原に言及しました。さらに、ドローイングを絵画的側面からというよりも、むしろ彫刻的側面から捉えた時、インスタレーションとしてのドローイングが、優れた媒介性を持つことを指摘しました。つまりドローイングは、メディウムの自由度が高く、ある種の透明性を備えているため、他者の発見に繋がる表現方法であることを示唆したのです。
その後交換された熱心な質疑応答からは、本展への関心の高さがうかがえました。その状況は、多様な素材を活用し、多彩な展示形態をとるドローイングの特性が、高い媒介性を持ち、他者を発見する可能性を反映しているかのようでした。この展覧会が、作家と企画者との間で、また鑑賞者と企画者との間で、そして作品と鑑賞者の間で、さまざまな見解と感覚=感情が交わされる貴重な場所であったことを、改めて強く感じる機会になりました。
企画展及びコレクション・ギャラリーのご観覧料は別途であることをご了承下さい。
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