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展覧会電子メール討論会:「揺らぐ近代 揺らいでいるのはなにか?」

電子メール討論会:「揺らぐ近代 揺らいでいるのはなにか?」


シンポジウム「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」のために

これまでのご投稿
※最新:投稿 No. 8 (京都国立近代美術館長 岩城見一)

現在、京都国立近代美術館では、「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」展を開催中です(2月25日まで)。
     この機会に、私共は最終日の2月25日(日)13時から、この展覧会に因んだシンポジウムを開催することにしました。〈「揺らぐ近代」、揺らいでいるのはなにか?〉、これが私共の設定するシンポジウムの主題です。
     展覧会最終日にそれに因んだシンポジウムを開催することは、異例のことと言えるかも知れませんが、これには理由があります。私たちは、シンポジウムに向けて、このテーマに関心をもっておられる方々と前もって様々な角度から意見交換をし、その上でシンポジウムを実りあるものにしたいと考えました。
     「電子メールによる討論会」の方法について説明させていただきます。

1. 美術館側から、現在開催の京都におけるこの展覧会を担当した学芸課
     主任研究員山野英嗣、またこの展覧会を企画し、東京国立近代美術館での
     開催にも関わった、東京藝術大学大学美術館助教授古田亮、そして私の
     三名が、それぞれこの展覧会に関するコンセプトやそれにまつわる情報を
     ホームページで公開する。
2. これに対して、討論会に関心を抱く人々が、京都国立近代美術館の
     ホームページに掲載の〈E−メール・アドレス〉にそれぞれ意見や情報を送る
     (2000字以内)
     ※アドレスは下記の各ページに掲載しております。
3. 送られた情報を私共美術館が受け取り、シンポジウムに有益な意見や
     情報をホームページで公開する(このときの掲載される意見や情報の
     取捨選択は美術館側が行う)。
4. 掲載された意見をめぐってさらに議論を続け、場合によっては、美術館から
     さらに新たな研究員も加わり意見や情報を発信し、それをホームページに
     加えてゆく。
5. この意見交換会は2月20日をもって終了し、各自シンポジウムに備える。

以上は、シンポジウムを、しばしば見られるような、パネリストの一回限り研究報告会のようなものにせず、テーマに関心をもたれる方々のより積極的な参加が可能になるようなものにするために企画したものです。
     現在、様々な分野で、日本近代の再検討が試みられています。この展覧会とシンポジウムもそのような試みの一つになります。皆様の積極的なご参加をお待ちします。

(京都国立近代美術館長・岩城見一)

※お送りいただいたメールは当館の選択により掲載されます。締め切りは2月20日(火)午後5時です。


京都国立近代美術館長 岩城見一
まず館からの最初の発信として、この展覧会の開会式での私の挨拶文に注を
加えたものをここに載せます。

「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」展 開会の辞
今日に至るまでの、明治以降の日本近代の歩みを再検討し、その上で、これからの
私共の文化のあり方を考えるという試みが、現在様々な分野で活発に行われる
ようになりました。私たちは、本展覧会が、そのような現代の課題に展覧会を通して
応えようとする一つの試みだと位置づけております。
     このような視点から、本展覧会には「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」
というタイトルが付けられました。このタイトルから予想されますように、この
展覧会は、現在学校や展覧会の制度としても一見安定しているかに見える、
「日本画」と「西洋画(洋画、油画とも呼ばれます)」とは、本当に原理的に
分けられるのか、という問題提起を意味します。このことはすでに、議論としては
かなり以前から行われ、優れた研究成果も出ていますが、個々の作品を実際に
ご覧頂くことで、この問題をより広い議論の場に供したいというのが、本展覧会の
趣旨であります。

(2007/01/24)


東京藝術大学大学美術館助教授 古田 亮
研究は、難しい問題への挑戦です。シンプルな問題でもそれを解決しようと
したときに、さらに問題を難しくすることもたびたび起こります。重要なことは、
大事な問題を見極め、その問題に対して真剣に向き合うことです。ただし、
その問題がちょっとやそっとでは解決できないことに気付いて、難しい概念や
用語をひっぱりだして解決したようなふりをすることも無いとはいえません。
一般に論文の世界となれば同じ問題を共有する特定の読者を想定している
ためにこの傾向は強まるのが必然です。
     ところで展覧会というものは、美術についての何かしらの研究を行う
「場」であり得るたいへん魅力的なものです。しかも、展覧会の場合、特定の
鑑賞者を想定するのではなく、また特定の研究的問題意識をもつ専門家の
ためにつくられるものでもありません。むしろ、たまたま見た人たちが、それぞれの
関心によって納得したり疑問に思ったりすることを前提として、どれだけ
好奇心をかりたてることができるかという「投げかけ」によって成立している
ものと思います。

(2007/01/25)


京都国立近代美術館主任研究員 山野英嗣
当館でも開催の運びとなった今回の展覧会の趣旨は、会場及びカタログの
「あいさつ」文にも記されているように、「日本画と洋画の並存という、100年
以上にもわたって続いてきた美術状況を見直してみようとするもの」と明快です。
しかしながら、たんに「日本画」のなかに「洋画」的要素を指摘し、逆に「洋画」の
なかに「日本画」的要素を指摘しつつ、「日本画と洋画の並存」について見直すこと
だけを目指しているのではありません。


(2007/02/01)


これまでのご投稿
投稿 No. 1
三瀬夏之介
※以上掲載可

現代の作家が作品を立ち上げる時に日本画を描こう!洋画を描こう!現代美術をやろう!なんて思っていることは少ないだろう。が、しかしその作品がこの世に生み出された瞬間からそれは名付けられ、ジャンル別けされる宿命にあるということも私たちは知っている。作家の眼前において今までにないヴィジョンがある瞬間立ち上がることはあるだろうが、その後、何ごとにも回収されない作品などありえない。生みの親でさえそれが何なのかを理解しようとするものだ。作品が生まれでることにおいて、作家の初発性は大前提であるが、それが回収される瞬間にこそ、作家のあらがいとして言葉が生まれ、次の名付けられぬものが生まれる。
     「お前の作品は日本画だ!」 「お前の作品は日本画ではない!」
     自身において決定されていることなんて何一つない。
     作家が思いのままに作り上げたものがしょうがなく、事後的にどこかへ再編されていくわけだ。

(2007/02/09)
投稿 No. 2
小金沢 智(24歳)
明治学院大学文学研究科芸術学専攻美術史コース
博士前期課程一年目
東京都
※以上掲載可

本展が、「「日本画」と「洋画」のはざまに」とあるように、それら二つの「揺らぎ」から出発していることについて、私の意見を述べたいと思います。

(2007/02/09)
投稿 No. 3
京都国立近代美術館長 岩城見一

現在「日本画」の若手作家として活躍中の三瀬夏之介さんから、メールが届きました。とても貴重な意見が多く含まれていますので、私の考えを少し述べさせていただくことにしました。特に作家として現場で仕事を進めておられる方からの発言は、今回はじめた「電子メール討論会」にとって、最も貴重なものの一つになるでしょう。
     すでにこう書いただけで問題が発生しています。「日本画」という言葉です。このことも含めて、三瀬さんのご意見をまとめながら話を進めてゆきたいと思います。

(2007/02/13)
投稿 No. 4
東京藝術大学大学美術館助教授 古田 亮

古田亮です。
     小金沢 智さんのご意見に対してご返事申し上げます。若き研究者からご意見をいただいたことをとても嬉しく思っております。諸事情により、メールをいただいてからご返事を差し上げるまで時間がかかってしまったことをお許しください。

(2007/02/13)
投稿 No. 5
小金沢 智(24歳)
明治学院大学文学研究科芸術学専攻美術史コース
博士前期課程一年目
東京都
※以上掲載可

ご返答ありがとうございます。小金沢智です。
     古田さんがこの展覧会を、「江戸時代篇、近代篇、現代篇というふうに3部構成」で考えられてたこと、大変興味深い発言でした。以前古田さんが企画なさった「琳派 RIMPA」展が、「琳派」という今や定着したかに見える用語を再考する試みであったこと、そしてそれが近世・近代・現代という構成で行われたことが思い出されます。ただあのような試みは、「琳派」という一流派(「琳派なんて、本当にあったのか?」という安村敏信氏による発言ももちろんありますが)であったからこそできたもので、一用語に留まらない「日本画」「洋画」問題を各時代に当てはめて検証するというのは、膨大な作品・言説を必要とするのでしょう。「江戸時代篇」「現代篇」を待ちたいです。

(2007/02/16)
投稿 No. 6
岡﨑麻美(33歳)
京都造形芸術大学通信教育部日本画コース
大阪府
※以上掲載可

日本画を専攻する学生として、疑問に思ったことを3点述べたいと思います。

(2007/02/19)
投稿 No. 7
匿名希望

私にとっての技法と国名(地域名)を冠した分類への疑問は南画と日本画から始まりました。

(2007/02/20)
投稿 No. 8
京都国立近代美術館長 岩城見一

「日本画」を制作されている岡崎さんからご意見が届きました。私の現在の考えを以下に記します。役にたちますか…。
          〔中略〕
     メールを下さった皆さんに心からお礼申し上げます。20日締め切りとしましたが、ご意見はご遠慮なくお寄せください。シンポジウム当日にまた参考にし、話題にさせていただくこともあると思いますので。

(2007/02/21)


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