国公私立美術館連繋企画展 北脇昇展 理知と幻想のシュルレアリスト

 小牧源太郎遺作展に続き、京都におけるもうひとりの前衛絵画運動の推進者・北脇昇(1901〜1951)についても、初の本格的な回顧展が開催の運びとなった。1960年、未亡人かね氏より多数の北脇作品が現東京国立近代美術館に寄贈された。その後これら作品群の公開はながく待ち望まれていたが、1987年から96年にかけて仝作品の修復が行われ、いよいよ回顧展開催の機運も熟した。そして京都市美術館ほかに収蔵されている代表作を加え、油彩画・素描・版画など計134点を集め本展は開かれたのである。
 津田青楓画塾時代の最初期の作例から、その創設に尽力した独立美術京都研究所での習作、シュルレアリスムの手法による代表作《独活》や《空港》(ともに東京国立近代美術館蔵)、そして《流行現象構造》(京都市美術館蔵)《(A+B)2意味構造》(東京国立近代美術館蔵)を経て、晩年の《クォ・ヴァデイス》(東京国立近代美術館蔵)へといたる画業の全貌を、・初期の作品、・シュルレアリスムの冒険、・図式の絵画、・戦後の作品の4章に分けて構成した。
 こうして改めてその足跡をふりかえると、小牧源太郎が「シェルレアリスムの画家」という枠組みだけでは捉えがたいように、北脇もまた1930年代、40年代にかけての時代性をも反映した多様な創作活動を展開していることがわかる。小牧源太郎と北脇昇の相次ぐ回顧展の開催は、両者の個性豊かな歩みを相互比較し、再考する上でも有益であった。
 なお、本展は当館の4階常設展示場で開催されたが、同時に「独立美術協会の画家たち」のテーマで、北脇と関係の深い須田国太郎、小牧源太郎、里見勝蔵、今井憲一ら当館所蔵の油彩画18点を併陳した。(山野英嗣)

Noboru Kitawaki: A Retrospective

 Following the Retrospective Exhibition of Gentaro Komaki in 1996,a retrospective exhibition of Noboru Kitawaki (1901-1951). another advocate of avant-grarde art movement in Kyoto, was organized.
 Many works by Kitawaki were donated to The National Museum of Modern Art,Tokyo,in 1960 by the artist's widow,Mrs. Kane Kitawaki. The exhibition of these works has been long awaited. Conservation of all of these works has been under taken from 1987 to 1996,and the time was ripe for an exhibition. The exhibition displays 134 paintings,drawings and prints,including Kitawaki's outstanding works in the Kyoto Municipal Museum of Art and other collections.
 The exhibition was constructed in four divisions: I Early Works; II Surrealist Experiments; III Schematic Painting; IV Postwar Works,covering the entire career of Kitawaki,from his earliest paintings while he studied at the private teaching atelier of Tsuda Seifu,drawings at the Kyoto Institute of Independent Art (Dokuritsu Bijutsu Kyoto Kenkyu jo), which he helped to establish,to his most representative and Surrealist works in his final years,Spikenards and Airport (both in the collection of The National Museum of Modern Art,Tokyo) ,Structture of Phenomenon of Fashion (Kyoto Municipal Museum of Art) ,Structure of the Meaning (A+B)2 (The National Museum of Modern Art,Tokyo) and QuO Vadis (The National Museum of Modern Art, Tokyo).
 Looking back at his entire career,it is apparent that Kitawaki unfolded his diversified developments, reflecting the decades of the 1930s and the 1940s,as it was not enough to define Gentaro Komaki only in the framework of a "Surrealist Painter." The retrospective exhibitions of Gentaro Komaki and Noboru Kitawaki in succession were very effective in offering an opportunity to compare and reconsider the works of these two artists with their unique individuality.
 The exhibition was shown at the gallery on the fourth floor, which was usually reserved for the Museum Collection. At the same time,eighteen oil paintings by Kunitaro Suda,Gentaro Komaki,Katsuzo Satomi. Ken'ichi lmai and other artists who had close contact with Kitawaki,selected from the Museum Collection on the theme of "The Painters of the Independent Art Association (Dokuritsu Bijutsu Kyokai) ," were shown. (Hidetsugu Yamano)

会期
平成9年3月11日(火)〜4月20日(日) / 11 March-20 Aphil
入場者数
26,947人(1日平均749人) / 26,947(749 per day)
共催
東京国立近代美術館、愛知県美術館 / The National Museum of Modern Art,Tokyo,Aichi Prefectural Museum of Art
出品目録
作品名 制作年 材質・技法・形状 寸法(cm)
花と白磁の壷 1930 油彩・板 33.1×23.8
花と壷 1930-32 油彩・板 33.1×23.8
スイートピーと壷 1930-32 油彩・板 33.1×23.8
裏町 1931 油彩・キャンバス 65.0×91.0
マート 1932 油彩・キャンバス 90.7×116.6
砂置場 1933 油彩・キャンバス 91.0×116.5
裸婦 1933 油彩・キャンバス 73.0×53.0
C子嬢 1933 油彩・キャンバス 60.0×45.5
婦人像 c.1933 油彩・キャンバス 60.0×45.5
かぼちゃの花 1934 油彩・キャンバス 65.0×90.7
撒水車 1934 油彩・キャンバス 72.5×91.0
車庫 1934 油彩・キャンバス 99.0×79.0
風景 c.1934 油彩・キャンバス 65.0×91.0
墓地 1935 油彩・キャンバス 112.3×145.3
葉牡丹(習作) c.1935 油彩・キャンバス 91.0×72.8
裸婦習作 c.1935 油彩・キャンバス 90.0×63.5
裸婦習作 c.1935 油彩・キャンバス 91.0×65.0
明暗三裸婦 1936 油彩・キャンバス 162.0×130.4
習作 1936 油彩・キャンバス 53.0×40.8
章表 1937 油彩・キャンバス 89.0×63.0
断層面 1937 油彩・キャンバス 117.0×80.5
独活 1937 油彩・キャンバス 117.0×74.0
新偶像説 1937 油彩・コラージュ(写真)・キャンバス 145.5×97.5
空の訣別 1937 油彩・キャンバス 117.0×80.5
空港 1937 油彩・キャンバス 72.5×60.5
海上へ(好奇)一集団制作「浦島物語」より 1937 油彩・キャンバス 46.0×55.0
貝殻景観 1937 油彩・キャンパス 45.5×53.0
借景(観相学シリーズ) 1937 油彩・キャンパス 45.8×33.5
樹と根と芽 1937 油彩・キャンバス 112.3×145.5
眠らぬ夜のために 1937 油彩・キャンバス 130.0×162.0
最も静かなる時 1937 油彩・キャンバス 112.3×146.0
秋の驚異 c.1937 油彩・キャンバス 33.5×45.5
孤独な終末 1938 油彩・キャンパス 91.0×117.0
浄火習作 1938 油形・板 31.0×44.0
浄火 1938 油彩・キャンバス 91.0×117.0
探索者 1938 油彩・キャンバス 91.0×117.0
鳥獣曼茶羅 1938 油彩・キャンバス 40.0×30.0
変生(観相学シリーズ) 1938 油彩・キャンバス 72.7×53.4
聚落(観相学シリーズ) 1938 油彩・キャンバス 72.8×60.8
変生像(観相学シリーズ) 1938 油彩・キャンバス 72.0×52.0
影(観相学シリーズ) 1938 油彩・キャンバス 73.0×90.8
作品(顔) c.1938 油彩・板 30.5×40.5
美わしき繭 1938 油彩・キャンバス 97.0×146.5
曉相(観相学シリーズ) 1939 油彩・キャンバス 80.5×117.0
形態学の為に 1939 油彩・キャンバス 145.5×97.5
種の意欲 1939 油彩・キャンバス 116.5×91.0
相関的秩序L.C.M. 1939 油彩・キャンバス 50.0×60.5
非相称の相称構造(窓) 1939 油彩・キャンバス 73.3×53.5
綜合と分析 1940 油彩・キャンバス 91.0×73.0
秩序混乱構造 1940 油彩・キャンバス 91.0×116.5
流行現象構造 1940 油彩・キャンバス 160.5×129.0
(A+B)2 2意味構造 1940 油彩・キャンバス 91.7×182.3

作品名 制作年 材質・技法・形状 寸法(cm)
文化類型学図式 1940 油彩・キャンバス 53.5×73.5
想・行・識 1940 油彩・キャンバス 60.5×73.0
周易解理図(乾神) 1941 油彩・キャンバス 湘.8×116.3
周易解理図(八卦) 1941 油彩・キャンバス 129.5×162.1
周易解理図(泰否) 1941 油彩・キャンバス 抑.0×116.0
竜安寺石庭ベクトル構造 1941 油彩・キャンバス 溺.0×72.0
周易解理図(巽兌) 1941 油彩・キャンバス 弧9×73.0
倍率3.125 1942 油彩・キャンバス 60.5×50.0
鴨川風土記序説(平安京変遷図) 1942 油彩・キャンバス 131.0×16.3
春に合掌す 1942 油彩・キャンバス 72.5×91.0
紫野の景観 1942 油彩・キャンバス 65.2×80.5
数学的スリル 1942 油彩・キャンバス 73.0×60.5
秋の幻想 1945 油彩・キャンバス 112.6×162.0
朱と紫 1945 油彩・キャンバス 72.5×152.5
水仙の形態学 1946 油彩・キャンバス 65.0×80.5
自我像 1947 油彩・キャンバス 80.5×117.0
雪舟パラノイア図説 1947 油彩・キャンバス 60.6×72.0
クオ・ヴァアイス 194タ 油彩・キャンバス 91.0×117.0
地物線 1949 油彩・キャンバス 91.0×73.0
真珠説 c.1949 油彩・キャンバス 23.4×32.0
静物習作(かぼちゃと卵) c.1949 油彩・キャンバス 37.2×45.0
素描 1932 鉛筆、水彩・紙 28.0×21.2
裸婦 c.1935 鉛筆・紙 38.8×27.0
裸婦 c.1935 鉛筆・紙 24.4×30.4
裸婦 c.1935 鉛筆・紙 38.0×23.8
月1 1937 モノタイプ・紙 29.6×25.6
月2 1937 モノタイプ・紙 38.2×26.9
土星への幻想 1938 デカルコマニー・コラージュ・紙 32.0×25.5
劫火1 c.1938 デカルコマニー・紙 22.0×28.0
劫火2 c.1938 デカルコマニー・紙 35.6×23.7
デカルコマニーA c.1938 デカルコマニー・紙 24.0×33.4
デカルコマニーB c.1938 デカルコマニー・紙 24.2×8.1
デカルコマニーC c.1938 デカルコマニー・紙 11.5×16.2
コラージュA c.1938 コラージュ・方眼紙 39.4×27.3
コラージュB c.1938 コラージュ・方眼紙 28.8×18.8
素描 c.1939 鉛筆、色鉛筆・紙 29.7×20.8
《形態学の為に》のための下絵 c.1939 鉛筆・紙 24.4×33.5
素描 c.1939 鉛筆・紙 33.4×24.2
素描 c.1939 鉛筆・紙 33.5×24.4
竜安寺石庭測図 c.1939 墨、インク、鉛筆・色鉛筆・紙 28.0×38.0
素描 1941 鉛筆、色鉛筆・紙 20.8×29.7
《紫野の景観》のための下絵 c.1942 色鉛筆・紙 27.4×39.2
《紫野の景観》のための下絵 c.1942 鉛筆、色鉛筆・紙 27.5×39.0
《紫野の景観》のための下絵 c.1942 鉛筆、色鉛筆・紙 27.4×39.4
《子供への平和》のための下絵 1946 色鉛筆・紙 21.0×29.8
素描 c.1946 色鉛筆、水彩・紙 20.8×29.8
素描 c.1946 色鉛筆・紙 20.8×30.7

作品名 制作年 材質・技法・形状 寸法(cm)
《抛物線》のための下絵 1949 鉛筆、色鉛筆・紙 36.6×27.3
自画像 1951 鉛筆・紙 20.8×16.3
素描 1951 色鉛筆・紙 24.2×16.8
素描 1951 色鉛筆・紙 24.2×16.8
素描 1951 色鉛筆・紙 22.3×16.6
素描 1951 色鉛筆・紙 16.6×24.4
素描 1951 色鉛筆・紙 24.4×16.6
素描 1951 色鉛筆、鉛筆・紙 24.2×16.8
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 18.4×28.2
素描 不詳 インク、水彩・紙 9.2×25.4
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 20.0×14.8
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 19.7×13.7
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 20.0×14.8
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 19.7×13.6
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 20.0×14.8
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 19.0×14.8
コンポジションA 不詳 インク、水彩・紙 26.0×18.5
コンポジションB 不詳 墨、グアツシュ・クレヨン・コラージュ・紙 23.0×16.0
素描 不詳 鉛筆・紙 20.8×29.7
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 29.6×21.0
素描 c.1946 鉛筆、色鉛筆・紙 26.8×37.0

作品名 制作年 材質・技法・形状 寸法(cm)
素描 不詳 色鉛筆・紙 26.7×37.0
素描 不詳 鉛筆、色鉛筆・紙 20.1×14.9
素描 不詳 色鉛筆・紙 36.8×27.6
作品 1936 エッチング・紙 9.0×12.1
作品 1936 エッチング・紙 11.6×9.2
作品 1936 エッチング・紙 12.0×9.0
作品 1937 エッチング・紙 12.0×9.0
作品 1938 エッチング、水彩・紙 12.0×15.0
作品 c.1938 エッチング・紙 9.2×12.0
作品 c.1938 エッチング・紙 12.0×15.2
作品 c.1938 エッチング、水彩・紙 12.0×15.0
作品 c.1938 エッチング・紙 8.8×12.0
作品 c.1938 エッチング、水彩・紙 9.0×12.0
作品小牧源太郎 1938 エッチング・紙 8.8×12.0
鴨川風土記序説(藤原時代)吉加江清 1942 油彩・キャンパス 60.5×72.5
鴨川風土記序説(足利時代)原田潤 1942 油彩・キャンバス 60.5×72.5
鴨川風土記序説(桃山時代)小石原勉 1942 油彩・キャンバス 60.5×72.5
鴨川風土記序説(徳川時代) 1942 油彩・キャンバス 60.5×72.5
オブジェ c.1937 h.19.0
オブジェ c.1942 h.27.0

新聞雑誌関係記事
●新聞記事
日経:1月29日(宝生正彦) 新美術新聞:2月1日(大谷省吾)
東京:2月7日(夕)(山梨俊夫) 朝日:2月6日(夕)(田中三蔵)
毎日:2月6日(夕)(三田晴夫) 産経:2月9日(無音名)
読売:3月21日(安) 京都:4月5日(ヴェラ・リンハルトヴァ)
毎日:4月10日(夕)(有本忠浩) 産経:4月13日(早瀬廣美)
毎日:5月13日(夕)(小林昌廣)
●雑誌記事
月刊美術 2月号(鶴岡善久)
視る 356号 2・3月号(松本透)
美術の窓 3月号
芸術新潮 4月号(村上隆)

このページの先頭へ