リチャード・ロング展

 リチャード・ロング(1945年・英国ブリストル生まれ)は、現代イギリスを代表する美術家の一人であり、1960年代末から自然と人間との関わりをテーマに、多くの<彫刻的>作品を発表してきた。彼は烽條Rが作り上げる彫刻である闍`し、彫刻を「出来事」として身体的な知覚体験の位相で捉えなおすものであった。彼は大自然の中を<歩行>し、自然の中を移動しながら、時間と空間の推移によって生成変化する自然物や環境、彼が印した痕跡などを撮影し、歩行の状況や記憶を印したメモとともに作品化する。彼の、<彫刻的>アプローチは、形態や色彩の純粋化を目指していた60年代末の彫刻界に大きな衝撃を与え、また、従来の彫刻概念を批判的に継承・発展させる試みとして高い評価を受けている。世田谷美術館に続いて当館で開催された今回の展覧会は、ロングにとってわが国で初めての本格的な個展であり、過去の写真作品やインスタレーションの代表作と共に、日本の石を使った新作と泥で展示会会場の壁に痕跡を残すマッド・ワークなどが展示された。ロングは京都での個展の開催を切望していたが、歴史的・文化的な差異を前提としながらも、自然と人間との、関わりの中に共通的な対話の場を探求する彼の敬虔で真摯な取り組みは、関西の鑑賞者にも深い感動を呼び起こした。(河本信治)

Richard long

 Richard Long (born in Bristol in 1945) is one of the most representative artists of contemporary British art and since the end of the 1960s he exhibited many, “Sculptural” works utilizing the theme of human involvement with nature. He defines “A walk is a sculpture made of time and nature” and reinterprets as an “event,” a physical,sensory experience. While he “walks” through nature, moving from place to place, he photographs nature and the environment which change with the passing of time and space, as well as the imprints he leaves. These photographs are made into works along with the notes he recorded of his walking and his memory. His “sculptural” approach had a great impact on the world of sculpture at the end of the 1960s when artists sought to purify form and color. Furthermore, his works received high recognition as an attempt to critically inherit as well as to develop the sculptural concept of the past. The exhibition, shown at The National Museum of Modern Art, Kyoto, following the showing at the Setagaya Museum of Art, was Richard Long’s first extensive solo exhibition in Japan. Along with his photographic works and representative installation works, his latest works using stones found in Japan and mud worksmud spattered over the gallery walls, were shown. Long earnestly desired to have hi solo exhibition in Kyoto and his approach with reverence and sincerity,though on the premise of historical and cultural difference which searches for a common ground for dialogue in the relationship between man and nature, deeply impressed the viewers in the Kansai area. (Shinji Kohmoto)

会期
4月23日(火)〜5月26日(日) / Dates: April 23-May 26
入場者数
16,659人(1日平均555人) / Visitors:16,659 (555 per day)
共催
世田谷美術館 / Co-organizer:Setagaya Museum of Art
出品目録
作品名 制作年 材質・技法・形状
泥炭の円 1966 写真、テキスト
歩行による線 1967 写真、テキスト
イングランド 1968 写真、テキスト
アラスカの円 1977 写真、テキスト
アイルランドの線 1974 写真、テキスト
アフリカの円 1978 写真、テキスト
日本での線、富士山 1979 写真、テキスト
淡水と海水の線を歩く 1980 地図
流域 1992 テキスト
無題 1992 ミシシッピィーの泥、紙
心石 1992 テキスト
大地の方形 1966 石膏模型
秋風の輪 1994 テキスト
アイルランドの円 1975 写真、テキスト
サハラの円 1975 写真、テキスト
石塚の上にのせた石 1992 写真、テキスト
四日間と四つの円 1992 写真、テキスト
音の線 1990 テキスト
日本での移動線 1979 テキスト
世田谷の円 1996 六万石によるインスタレーション
東西の円 1996 真黒石によるインスタレーション
夢石の円 1996 青鉄平石によるインスタレーション
水石の環 1996 鞍馬石によるインスタレーション
京都の泥の円 1996 黄土によるマッド・ワーク
滝の線 1996 カリオンによるマッド・ワーク

新聞雑誌関係記事
●新聞記事
産経:2月20日(夕)(三)
2月25日(桜井武)
4月28日(美)
5月19日
京都:4月20日(太田恒実)
読売:5月10日(安)
日経:5月10日(夕)(白木緑)
神戸:5月21日(山本忠勝)
毎日:5月25日(夕)
●雑誌記事
月間ギャラリー3月号
美術手帖vol.48 no.722 4月号
日経アート3月号(小日信之)
京都画廊連合会ニュース5月号
視る 346号4月号(塩田純一)
視る 347号5月号(森口まどか)

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