現代美術への視点:形象のはざまに

 本展は東京国立近代美術館平成4年度特別展として企画きれたもので、同館が1984年から継続してきたシリーズ「現代美術への視点」の一環として開催された。

 本展では、<形象>を芸術表現を根底から支える構造的関係項ととらえ、形象をめぐる様々な問題に積極的に取り組み、意欲的な作品を発表している中堅、若手の国内作家15名の作品を取り上げた。今日的な流行から距離を置いて制作しているかに見える作家たちが選ばれたが、結果として展覧会では、彼らの制作が1970年代の遺産を批評的に再構成する事を意識している点が明瞭に示され、その意味できわめて今日的な問題を提起する展覧会となった。彼らの制作活動に共通するのは、新表現主義絵画やネオ・ジオといった80年代のポスト・ミニマリズムの動向の批評的本質は色彩や形態の分断や解体ではなく、全体との関係性を問い直すという意味で構成的である、という点を明確に意識していることであろう。この意味で、本展の企画者が<形象>を鍵に、ゲシュタルト心理学的な地と図の関係をアナロジーとして援用していることも積極的に評価されるべきであろう。そして80年代現代美術の過剰さを客観化する糸口を模索する点でも、現代美術の関係者にとって本展は静かな衝撃と呼べるものであった。

 なお本展は、展覧会会期が京都国立近代美術館の館内改修工事と重なったため、大阪の国立国際美術館を会場にして開催された。

平成4年度東京国立近代美術館特別展
共催:
国立国際美術館
会期:
12月12日〜平成5年1月31日
会場:
国立国際美術館
入場者数
総数2,778人(一日平均75人)
出品目録
作家名 作品名 制作年 技法
赤旗祐二 untitled 019111 1991 油彩、ワックス・綿布
赤旗祐二 hana 19111 1991 油彩、ワックス・綿布
赤旗祐二 untitled 79207 1992 油彩、ワックス・綿布
赤旗祐二 walkabout 49207 1992 油彩、ワックス綿布
朝比奈逸人 無題 1984〜 油彩・合板に綿布
朝比奈逸人 無題 1988/91 油彩・合板に綿布
朝比奈逸人 無題 1991 油彩・合板に綿布
朝比奈逸人 無題 1990/92 油彩・合板に綿布
朝比奈逸人 無題 1992 油彩・合板に綿布
伊藤 誠 無題 1988 FRP
伊藤 誠 無題 1991 FRP
伊藤 誠 Bridge 1992 FRP
伊藤 誠 SQUARE−92-3<メタリックの海−ブルー> 1992 アクリルウレタン塗料、メタリックベース、合板に鳥の子紙
伊藤 誠 SQUARE−92-4<メタリックの海=マゼンダ> 1992 アクリルウレタン塗料、メタリックベース、合板に鳥の子紙
伊藤 誠 SQUARE−925<海=黄色いヴェ−ル> 1992 アクリルウレタン塗料、メタリックベース、合板に鳥の子紙
笠原たけし 無題 1986
笠原たけし 無題 1987
笠原たけし 無題 1987
笠原たけし 無題 1991 木炭・紙
笠原たけし 無題 1991 木炭・紙
笠原たけし 無題 1991 木炭・紙
笠原たけし 無題 1991 大理石
笠原たけし 無題 1991 大理石
笠原たけし 無題 1991 大理石
笠原たけし 無題 1992
笠原たけし 無題 1992
笠原たけし 無題 1992
黒川弘毅 Golem No.2 1983〜84 ブロンズ
黒川弘毅 Golem No.3 1983〜84 ナロンズ
黒川弘毅 Golem No.6 1984〜85 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.8 1984〜85 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.18 1985〜86 ブロンズ
黒川弘毅 Goiem No.19 1985〜86 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.21 1986 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.22 1986 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.30 1987〜88 ブロンズ
黒川弘毅 Golem No.37 1989〜90 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.40 1989〜90 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.46 1990〜91 ブロンズ
黒川弘毅 Golem No.48 1990〜91 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.52 1990−91 フロンズ
黒川弘毅 Golem No.56 1990〜91 ブロンズ
佐川晃司 半面性の樹塊 No.10 1992 油彩・麻布
佐川晃司 半面性の樹塊 No.13 1992 油彩・麻布
佐川晃司 半面性の樹塊 No.15 1992 油彩・麻布
佐川晃司 半面性の樹塊 No.16 1992 油彩・麻布
清水誠一 Crank Painting 92−4A 1992 油彩・麻布
清水誠一 Crank Painting 92−45B 1992 油彩・麻布
清水誠一 Crank Painting 92−5C 1992 油彩・麻布
清水誠一 Crank Painting 92−56A 1992 油彩・麻布
全 寿千 小惑星達 1990 油彩、鉄材その他・合板

作家名 作品名 制作年 技法
全 寿千 惑星達の進化 1992 油彩、鉄材その他・合板
全 寿千 大地の向こうから 1992 油彩、鉄材その他・合板
全 寿千 惑星連の欲望U 1992 油彩、鉄材その他・合板
全 寿千 日食 1992 油彩、鉄材その他・合板
鷲見和紀郎 Work M−3・StoloVaya 1985 フロンズ
鷲見和紀郎 熱の谺 1987 フロンズ
鷲見和紀郎 重力の為のパヴァーヌ 1992 フロンズ
鷲見和紀郎 Levels and Degrees of Light 1992 ワックスに油絵具を混合
鷲見和紀郎 SineDie 1992 ワックスに油絵具を混合
高見沢文雄 壁の河或いは右手を気遣う左手のために(6点組) 1991〜92 ワックスに油絵具を混合    
中上 清 無題 1992 アクリリック・綿布
中上 清 無題 1992 アクリリック・綿布
中上 清 無題 1992 アクリリック・綿布
中村一美 9085U−開かれたC(テンペスト(1)) 1991 油彩・麻布
中村一美 方法を持つ者IV 1991〜92 油彩・麻布
中村一美 紫樹を囲む者々 1992 油彩・麻布
中村一美 紫の岩棚に立つ者1992 油彩・麻布
中村一美 92316一開かれたC(エシュホルツ) 1992 油彩・麻布
橋本夏夫 Untitled 1991/92 アルミニウム
橋本夏夫 Untitled 1992 アルミニウム
橋本夏夫 Untitled 1992 アルミニウム
橋本夏夫 Untitled 1992 アルミニウム
橋本夏夫 Untitled-blue N-234 1992 アルミニウム、アクリル塗料
橋本夏夫 Untitled-blue N-234 1992 アルミニウム、アクリル塗料
丸山直文 SWR 1991 アクリリック・綿布
丸山直文 DHL 1991〜92 アクリリッタ・綿布
丸山直文 CAL 1992 アクリリッタ・綿布
丸山直文 MAS 1992 アクリリック・綿布

新聞雑誌関係記事
新聞記事
読売:12月19甘(夕刊)
朝日:12月19日(夕刊)
日経:12月22日
産経:12月28日
毎日:1月14日(夕刊)
神戸:1月16日
京都:1月23日(太田垣実)
雑誌記事
海燕:1993年1月号

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