「京都の未来像一建築」展

 この展覧会は、京都の町屋の保存研究を進めるグループ「町屋研究会」(上田篤代表:京都精華大学教授)と建築を志す学生たちの共同提案という形で、京都という都市の未来を考えようとするものであった。1994年に平安建都1200年を迎える京都は、「開発と保存」という歴史的都市が宿命的に抱える問題に直面している。高層ホテルの建設やJR京都駅の新築による景観論争に揺れる京都にとって、提言の主旨自体は時を得たものであった。本展に出品されたのは、立体模型と京都改造計画案を描いた想像図や図面パネルであり、地下運河の計画、5万台収容の地下駐車場などの大深度地下の開発による地上景観の保全、将来のオリンピック誘致を前提とした地下運動施設などの計画案などが分かりやすい形で展示された。会期中に提案者たちによる京都再開発をめぐるシンポジュウムも開催され、一般入場者からも興味深い反応が寄せられた。

 しかし計画案の根幹を成す理念自体に付いての深い検討が成されず、従来の建築技術の拡大採用による単なる夢想的な巨大計画の提案に終始したのは反省すべき点であろう。今回示された提案には、何の為の都市基盤の整備か、歴史都市京都と未来の都市としての位置付けと存在理由の検討という基本的な討論が欠落しており、環境的調和のための大深度地下開発と地下水路による輸送を提案しながらも、地下設備維持のための電力供給とそれに伴う環境破壊についての配慮の欠如など、基本的な問題に対する配慮がきわめて未成熟なものであった。

 本展によって、度史的都市の開発と保存という今日的な問題は、単なる建築学的対象ではなく、広範な論議と文化史的検証の上で初めて現実化きれ得るという単純な事実を、改めて確認できたと言える。

会 期
9月18日〜10月13日
入場者数
総数10,103人(一日平均439人)
新聞雑誌関係記事
新聞記事
産経:9月13日、10月13日
京都:9月19日
朝日:9月19日、10月4日(夕刊)
毎日:9月18日(夕刊)

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