フランク・ロイド・ライト回顧展

 本展はアメリカが生んだ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト1867〜1959)の初期から晩年に至る業績の数々を、建築ドローイングや設計図面、模型といった建築物そのものにかかわる資料と共に、彼自身のデザインに基づく家具や装飾ガラス、照明器具などで総合的に紹介した我が国最初の大規模な回顧展である。各時代ごとに最も重要な作品を通時的に網羅しつつ、ライトの『ヨーロッパ・モダニズムに与えた影響』『日本における業績』『現代建築との関係』『都市と生活のヴイジョン』に焦点を当てて展示は行われた。

 ライトの作品は、旧帝国ホテルやその他の国内における建築物を通して、日本人にはなじみ深いものであった。しかし世界的には、ル・コルビジェやミース・ファン・デル・ローエといった他の近代建築の巨匠たちと比べて、ライトに対する評価は決して高かったとはいえない。それは、ミースのあらゆる意匠・装飾を廃しガラスで覆われ空に向かって垂直にそびえる建築物に代表されるような、それ自体が一つの規範としての存在価値を主張する『絶対的空間』である近代建築と、時には過剰にも思われる装飾性をもつライトの作品の『有機的空間』『流動する空間』とが相反するものとして受け取られていたからに他ならない。住宅を中心に、建物だけではなくその内部空間・家具などのデザインをも行うことによってイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の流れを魅承しつつもそれとは異なり、機械技術を肯定し『機械によるアート・アンド・クラフト』を提唱したライトの姿勢は、しかし他の近代建築家たちの姿勢となんら変わるところはない。先に挙げた展示の際の四つの焦点に基づき両者の相違の原因を探りつつライトの業績を振り返ること、それはすなわち近代建築そのものの見直しに他ならない。そして今日ライトを取り上げる本展の趣旨及び意義は、まさにその点にあったといえるのである。

 この展覧会は東京のセゾン美術館で最初に開催され、その後、本館および横浜美術館、北九州市立美術館に巡回した。

会期
4月2日〜5月6日
入場者数
総数48,046人(一日平均1,501人)
共催
毎日新聞社/日本建築学会
出品目録
作品名 制作年
田舎屋と教会部分のスケッチ n.d.
オーデイトリアム・ビルのドローイング 1887
オーデイトリアム・ビルのドローインタ 1887
ゲソテイー霊廟の立面図 1890
シカゴ株式取引所室内装飾壁 1893〜94
オークパークの自邸の建築模型 1889
オークパークの自邸とアトリエの装飾レリーフ 1898
(デザイン:ライト、制作:リチヤード・ボック)
オークパークの自邸とアトリエの透視図 1895
W.H.ウインズロウ邸の平面図と透視図 1893
W.H.ウインズロウ邸の透視図 1893
ヘラー邸の透視図と主階平面図 1896
W.H.ウイリツツ邸の主階平面図と透視図 1901
S.L.タナ邸の室内透視図 1899
S.L.ダナ邸のテーブル・ランプ 1903
S.L.ダナ邸の天井吊り装飾ランプ 1903
W.マーティン邸のダイニング・テーブルとハイバッ 1903
ト・スピンドル・チェア
装飾花瓶(アーン) 1898〜99
D.D.マーティン邸の配置図と主階平面図 1904
D.D.マーティン邸の主階平面図と透視図 1904
D.D.マーティン邸の外観透視図 1904
D.D.マーティン邸の1階平面図 1904
D.D.マーティン邸の食卓と椅子の詳細図 1904
D.Dマーティン邸の書斎机詳細図 1904
D.D.マーティン邸の居間用家具の詳細図 1904
D.D.マーティン邸の寝室用家具の詳細図 1904
D.D.マーティン邸の寝室用家具の詳細図 1904
D.D.マーティン邸の肘掛け椅子 1904
T.P.ハーデイ邸の外観透視図 1905
T.Pハーデイ邸の主階平面図 1905
T.Pハーデイ邸の外観透視図 1905
リチャード・ボック・アトリエ計画のアトリエ透視図 1906
A.クーンレイ邸のG.M.ニーデゲン設計のための試案 1908
A.クーンレイ邸のG.M.ニーデゲン設計のための試案 1908
A.クーンレイ邸のG.M.ニーデゲン設計のための試案 1907
A.クーンレイ邸の透視図 1907
A.クーンレイ邸のガラス嵌込扉一村 1908
A.クーンレイ邸の壁面照明器具 1908
A.クーンレイ邸の机 1909
A.クーンレイ邸の格子窓 1908
A.クーンレイ・プレイハウスの透視図 1911
A.クーンレイ・プレイハウスの天窓部分 1912
A.クーンレイ・プレイハウスの天窓部分 1912
M.メイ邸のキャビネットのためのデザイン 1910
F.C.ロビー邸の外観透視図と平面図 1906
F.C.ロビー邸の主階平面図 1906
マデイソン・ウイスコンシン・ハウスの肘掛け椅子 1908

作品名 制作年
フランシス W.リトル邸の装飾ガラス窓 1912
レディーズ・ホーム・ジャーナルのための廉価耐火 1906
住宅案、透視図と主階平面図
小都市に建つコンクリート製銀行案の透視図 1901
市営メンドータ湖ボートハウスの建築模型 1893
ヤハラ・ボートハウスの透視図と平面図 1902
ラーキン・ビルの執務室椅子 1904
ラーキン・ビルの室内透視図 1902
ラーキン・ビルの主階平面図と外観透視図 1902
ユニティ教会の建築模型 1907
ユニティ教会のサイド・チェア 1907
ユニティ教会の外観透視図 1904
ユニティ教会の平面図 1904
ユニティ教会の初期スケッチ 1903
シティ・ナショナル銀行の外観透視図 1909
シティ・ナショナル銀行の外観透視図と平面図 1909
アメリカン・システムビルト・ハウスのアントニン 1915
レイモンドによる透視図
アメリカン・システムビルト・ハウスのアントニン 1915
レイモンドによる透視図
F.C.ボック邸のスケッチ 1916
F.C.ボック邸の居間計画案 1916
E.ヴオスバーグ邸の透視図 1916
H.J.アレン邸の透視図 1917
ミッドウェイ・ガーデンの料理皿 1914
ミッドウェイ・ガーデンの『妖精の像』頭部習作 1914
ミッドウェイ・ガーデンの『妖精の像』(レプリカ) 1914
ミッドウェイ・ガーデンの建築模型 1914/87
帝国ホテルの平面図 1915
帝国ホテルの室内詳細図 1915
帝国ホテルの室内詳細図(カーペットデザイン) 1915
帝国ホテルの施工図面(12枚) 1915
帝国ホテルの建築模型1/100 1915
帝国ホテルの背もたれ椅子 1920年代
帝国ホテルのテキスタイル・ブロック詳細図 1915
帝国ホテルの装飾ブロック詳細図 1915
帝国ホテルの装飾ブロック詳細図 1915
帝国ホテルの装飾タイル 1923
帝国ホテルの装飾ブロック 1923
帝国ホテルの装飾テラコツタ 1923
帝国ホテルの銅製フアシア 1923
帝国ホテルの絨毯断片 1923
帝国ホテルの六角背もたれ椅子 1930年代
帝国ホテルの六角背もたれ椅子(3脚) 1930年代
帝国ホテルの六角背もたれ椅子(3脚) 1950年代
帝国ホテルの客室のテーブルと椅子 1923
帝国ホテルのフロア・ランプ 1923
帝国ホテルの壁面照明器具(2基) 1923

作品名 制作年
帝国ホテルのサラダ皿 1923
帝国ホテルのサラダ皿、ケーキ皿 1930年代
帝南ホテルのサラダ皿、ケーキ皿 1930年代
帝国ホテルのパン皿、サラダ皿 1934/50
帝国ホテルのフルーツ皿、ディナー皿、サラダ皿 1955〜68
帝国ホテルのコーヒー・セット(再製作) 1979
帝国ホテルのワイン・グラス 1923
帝国ホテルの銀製ティー・セット(6点組) 1923
駐日アメリカ大使館計画案の鳥瞰図と平面図 1914
林愛作邸の建築模型(現状) 1917
林愛作邸の屋根枠組模型 1917
福原有信邸の建築模型 1920
山邑太左衛門邸の建築模型1/100 1924
山邑太左衛門邸の青図(コピー)8枚組 1918
劇場計画案の室内透視図 1918
劇場計画案の建葉模型1/100 1918
自由学園の建築模型 1921
井上匡四郎子爵邸の透視図 1918
井上匡四郎子爵邸の透視図 1918
井上匡四郎子爵邸の正面図 1918
井上匡四郎子爵邸の背面図 1918
井上匡四郎子爵邸の断面図 1918
井上匡四郎子爵邸の主階平面図 1918
井上匡四郎子爵邸の上階平面路 1918
井上匡四郎子爵邸の建築模型1/100 1918
A.バーンズドール邸 立葵の家の側面図 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の初期スケッチ、 1917
立面図
A.バーンズドール邸 立葵の家の配置図 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の南立面図 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の透視図 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の透視図 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の断面スケッチ 1917
A.バーンズドール邸 立葵の家の暖炉施工図面 1917
コンクリート製家屋のタイプBの透視図 1925
J.ストラー邸の平面図 1923
J.ストラー邸の立面図 1923
J.ストラー邸の建築模型 1923/88
C.エニス邸の透視図 1923
C.エニス邸の建集模型 1924/88
C.エニス邸のテキスタイル・コンクリート・ブロック 1924
サミュエル・フリーマン邸のスタンド照明器具 1925
E.J.カウフマン邸 落水荘の南立面図 1933〜36
E.J.カウフマン邸 落水荘の北立面図 1935〜36
E.J.カウフマン邸 落水荘の建築模型 1935/90
E.J.カウフマン邸 落水荘のフレッシングによる 1937
外観写真
R.P.&Jハンナ邸の改訂版平面図 1936

作品名 制作年
H.ジェイコブス邸の立面図4面 1937
H.ジェイコブス邸の建築模型 1937
H.F.ジョンソン邸のバレル・チェア 1937
A,オポラー邸計画の外観透視図 1940
G.アフレック邸の外観透視図 1940
G.アフレック邸のサイド・チェア 1940〜41
ワイカプ・ヴァレー・カントリー・クラブの建築模型 1952/90
T.E.キース邸の9曲衝立 1952
装飾ガラス付き衝立 1950
ジョンソン・ワックス・ビル&リサーチ・タワーの 1946
外観透視図
ジョンソン・ワックス・ビルの椅子の立面、平面図 1939
ジョンソン・ワックス・ビル&リサーチ・タワーの模型 1936〜44
ジョンソン・ワックス・ビルの本部事務所模型 1929/86
ジョンソン・ワックス・ビルのパイレックス・チューブ 1939
ジョンソン・ワックス・ビルの重役用机と椅子 1939
E.J.カウフマン事務所室内の復元 1937
ドゥヘニー・ランチ開発計画の正面図と平面図 1921
ドゥヘニー・ランチ開発計画の正面図 1921
ハリウッド・マーチヤンダイズ・ビルの透視図 1922
ナコマ・カントリー・クラブ計画案の建築模型 1924
ナコマ・カントリー・クラブ計画案の透視図と部分 1924
スケッチ
タホー湖リゾート計画案の立面図と平面スケッチ 1924
タホー湖リゾート計画案の全体計画 1922〜23
タホー湖リゾート計画案の透視図 1924
G.ストロング・プラネタリウム計画案の透視図 1925
バタフライ・ルーフ・ハウスの立面図と平面図 1925
バタフライ・ルーフ・ハウスの透視図 1925
(サン、ムーン&スターズ)店舗計画の立面図と 1928
側面部分図
ローゼンヴァルト財団の学枚計画案の透視図と平面図 1928
サン・マルコ砂漠のリゾートホテル計画案の立面、 1928
断面、詳細図
S.R.グッゲンハイム美術館の透視図 1943〜59
ナショナル生命保険会社案の外観透視図 1925
ナショナル生命保険会社案の外観透視図 1925
ピッツバーグ・ポイント・シヴイック・センター計 1947
画策の立面図
バタフライ・ブリッジ計画の模型 1947
マシェリ記念舘計画の透視図 1953
プライス・タワーの建築模型 1956
マイル・ハイスカイクレーバー、(ザ・イリノイズ)計画案の建築模型 1956/89
『セント・アグネスのイブ』装丁デザイン 1896
『四季』装丁デザイン n.d.
シューマッハー・カンパニーのためのカーペット・ 1955
デザイン No.104
シューマッハー・カンパニーのためのカーペット・ 1955
デザイン No.102

作品名 制作年
タリアセン・ライン・オブ・デコラティヴ・ウォール n.d.
ペーパー
F.L.ライト撮影の植物写真 n.d.
F.L.ライト撮影の植物写真(2葉)
『ハウス・ビューティフル』校正刷り(2葉) 1896〜97
『ハウス・ビューティフル』装丁デザイン 1896〜97
『フランク・ロイド・ライトの美作品と計画案』のデザイン 1910
『フランク・ロイド・ライトの建築作品集』のデザイン 1911
樋口五葉版画展ポスターのデザイン n.d.
『近代建築』装丁デザイン 1930
(ザ・フォー・オーガニック・コマンドメンツ)案 1948
内状のデザイン
『フランク・ロイド・ライトの作品』のデザイン 1925
参考資料
『ライト自伝』 1932
『近代建築』 1931
『建築のために』手稿 n.d.
オーク・パークでの活動広報 n.d.
ライトの書評:ル・コルビュジェ著『新しい建築をめざして』 1928
講演草稿『ザ・カード・ハウス』 1930
ミース・ファン・デル・ローエへの手紙 1947
F.L.ライトから次男ジョン・ロイド・ライトヘの手紙 1930
映像・音声資料(VTR)
『聖なる場、フランク・ロイトライトの建築』 1985
『箱の解放フランク・ロイド・ライトとジョンソン・ワックス・ビル』 1986
『対話』 1953
『フォーリング・ウォーター』 1951
『人間と機械』 1951

新聞雑誌関係記事
新聞記事
産経:4月4日(夕刊)
読売:4月4日、4月4日(夕刊)
毎日:3月30日特集(夕刊)、4月2日(夕刊)、4月18日(夕刊)(加藤邦男)、4月3日〜5日・4月25日〜28日・5月1日(河本信治)、4月9日〜4月12日、4月23日、4月24日、4月26日、4月30日、5月4日、5月6日
日経:4月15日(夕刊)
京都:4月20日(藤 慶之)
神戸:4月27日(山本忠勝)
奈良日日:5月3日

雑誌記事
芸術新潮:1991年4月号
美術手帖:1991年4月号

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