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展覧会小磯良平遺作展

小磯良平遺作展

 本展は、昭和63年12月16日85歳で他界した洋画家小磯良平の三回忌に合わせた遺作展である。わが国洋画壇の重鎮であった小磯の回顧展は生前にも各地でたびたび開催されてきたが、本展は没後初めての本格的な回顧展であり、東京美術学校時代から滞欧期にかけての初期作品から、バレリーナ、裸婦、働く人、さまざまな衣裳の女性像にいたる各時代の代表作を網羅するとともに、戦争記録画を含む未発表作を加えた油彩画109点、パステル画・水彩画・素描28点の合計137点で構成する大規模なもので、これまでの回顧展の集大成として、遺作展にふさわしい充実した内容となった。

 小磯は、東京美術学校在学中の1926年に「T嬢の像」で帝展特選となって注目されるなど、はやくからその才能を発揮し、1928年から30年にわたる滞欧期にはアングルやマネ、コロー、クールベ、ドガからヴェラスケス、フェルメールなど西洋絵画の実作に触れてその本質を吸収しただけでなく、広くヨーロッパ文化を見聞することによって自己の絵画世界を深め、官展作家としての順調な道を歩むかに見えた。しかし、1936年には帝展改組に反対の立場をとり、猪熊弦一郎らと新制作派協会を結成して官展を離れ、以後一貫して同協会の中心作家として歩んだ。すでに1942年には「娘子関を征く」によって第1回帝国芸術院賞を受賞してその技量は高い評価を得たが、本格的な油彩画の技法と卓抜なデッサン力を基礎にした、都会的な近代感覚あふれるその作風は戦後ますます輝きを増し、清楚で典雅な女性像の気品ある美しさは他の追随を許さない。小磯のすぐれた画業に対し1984年に文化勲章が贈られたことは記憶に新しいところだが、一方、その芸術が多くの人々に愛されているという点においても無類で、このことは近代的市民の立場を貫いた小磯芸術の特質の一面を示すものと言えるだろう。

 本展は、京都における初めての小磯良平展ということもあって多くの観覧者があり、改めてその人気を確認するとともに、小磯芸術への理解を深めるよき機会となった。

 なお、本展は当館終了後、名古屋市美術館、兵庫県立近代美術館、東京都庭園美術館、福岡市美術館に巡回展示した。

会期
2月19日(火)-3月24日(日)
入場者数
125,087人(一日平均、2339人)
共催
読売新聞大阪本社、読売テレビ、美術館連絡協議会
出品目録
作品名 制作年 材質・形状等
魚(さより) c.1921-22 油彩・板
風景 1923 油彩・布
琺瑯水差のある静物
着物少女像 1924
T嬢の像 1926
自画像 1926 油彩・布
彼の休息 1927
風景其ノ三 c.1928
風景 1929
肩掛けの女
おさげの女 1929 油彩・布
裁縫女 1932
洋和服の二人 1933
踊りの前 1934
横臥裸婦 1935
窓辺の婦人
休息するバレリーナ
婦人座像
化粧 1936
裸婦 1937
少女像
少女像(読書) c.1938
娘達 1938
踊り子
練習場の踊り子達
婦人像 c.1938
踊り子群像(練習場の踊り子達) 1939
裁縫女
洋裁する女たち
読書
桃とクルミのある静物
肖像 1940
婦人図
少女像(人物B) 1941
斉唱
娘子関を征く
婦人立像
ジャワ、カリジャティ停戦協定の場 1942
裁縫する婦人
婦人像 1943
マレー前線における偵察隊の活躍 1944
池長孟肖像
日緬条約調印図
二人の少女 1946
小寺謙吉像 c.1946
K婦人像 1947
出石の陶窯
少女像 1948
ダンスーズ
椅子に寄る踊り子(少女像)
ハムのある静物 1949
O博士像 1950
横向裸婦 1951
母子像
少女像 c.1951 油彩・布
少女 1953
婦人像
母子像
麦刈り 1954
音楽
晩秋の御堂筋
母子像 1955
働く人と家族 1955
横向きの女
室内 1957
かぼちゃのある静物
化粧する舞妓 1958
室内
神戸風景 1959
フランスの女 1960
舞妓 1961
D嬢の像 1962
窓の静物 1963
静物 1964
婦人像 1965
着物婦人像 1966
踊り子 1967
時計のある静物 1968
踊り子二人
競馬場にて 1969
横向少女
作業衣の女たち 1970
三人の踊り子
三人の女 1971
白い首飾りの女 1972
バイオリンと西洋人形
マヌキャンと西洋人形(B)
マヌキャン
合奏 1973
人形四体
ギターを弾く男 1974
裁縫する女
室内
草壁港(小豆島)
婦人立像

作品名 制作年 材質・形状等
竹中 郁氏像 1941-51 鉛筆・紙
二人の兵隊 1941
兵隊
休息する兵隊
男の像 1943
「働く人」のエスキース 1953 木炭・パステル・紙
母子像(B) 1954
糸を通す女 1955 木炭・紙
「働く人」のエスキース(男の休息)
「働く人」のエスキース(レンガを積む男) 1956
教会 1960
エッフェル塔遠望 鉛筆・水彩・紙
サン・ジオルジオ・マジョーレ寺院 インク・水彩・紙
外国婦人 1970 パステル・紙
エーデルワイス c.1970 鉛筆・水彩・紙
しゃくなげ(A)
室内(B) 1975 油彩・布
朝のひととき 1976
外国婦人
船のある静物 1977
肘をかける女
集い
黒い衿の女
描く婦人 1978
肩掛けの女(婦人像) 1979
赤い服の女
肩掛けの女
婦人像
リュートを持つ婦人 1980
婦人像 1981
アトリエにて 1984
御影の風景 1986
裸婦のクロッキー 1929 鉛筆・紙
スカーフの婦人 1937
休息するバレリーナ 1939
踊り子 c.1970 パステル・紙
絵画(迎賓館壁画エスキース) 1973-74
音楽( 〃 )
モデルの女( 〃 )
絵を描く女たち( 〃 )
座る男の習作 1973
婦人図 1984
M嬢座像 1987
帽子の少女(ポートレート)

新聞雑誌関係記事
新聞記事
読売/1月21日、2月6日(夕)~2月15(夕)、2月13日、2月16日、2月17日、2月19日、3月1日、3月9日、3月10日、3月20日、3月25日、4月1日、2月18日(夕)「本ものは常に新鮮」(小倉忠夫)
朝日/3月9日(夕)
毎日/3月7日(夕)(田原由起夫)
京都/2月23日(太田垣實)
神戸/2月23日

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