高橋秀展

 高橋秀は1950年代初めから独立美術協会展に出品し、61年に最優秀賞を受賞して、同協会会員となった。その出品作の一つ「月の道」が同年の第5回安井賞を受賞し、画壇で脚光を浴びた。しかし当時の高橋秀は具象的画風を捨てて、抽象的傾向への移行期にあり、安井賞作家としての評価に安住することなく、新たな環境を求めて、63年にローマに留学した。イタリアの古代以来の豊かな美術の伝統と現代美術の新たな刺激のなかで活動を始めた高橋秀は、画面に凹凸のあるモノクロームの作品を手がけた。当初の日本的イメージは次第に払拭され、明快な色彩が用いられるとともに、ハードエッジ風のフォルムから、丸味を帯びた曲線のフォルムが割れ目や襞とともに現れ、1970年代には官能的フォルムとして、明確に提示されるようになった。それとともに内外での評価も高まり、イタリアや東欧、また日本国内での発表が相継ぎ、87年には芸術選奨文部大臣賞を、88年には第20回日本芸術大賞(新潮社)を受賞した。

 今回の展覧会は彫刻3点を含む、85〜89年に制作された近作30点を中心とし、それに53年の「自画像」から、77年までの作品13点を加えて、高橋秀の歩みを回顧しつつ、現在の、黒と赤という、明快かつ強烈な色彩による直截な表現を紹介するものであった。本展は広島市現代美術館、倉敷市立美術館と共同企画のもとに開催した。出品点数は43点であったが、大作を多数含んでいたため、展示にあたっては1階展示ロビーと3階企画展示場を使用した。

会期
5月22日(火)〜6月24日(日)
入場者数
総数9,255人(一日平均309人)
出品目録
作品名 製作年 材質・形状
感応 1985 アクリル、キャンバス
W計画
M計画
恍惚の瞬間 1986
かすかな接触
赤と黒の対峠 1988
未知なる接触
神話の構造 1987-88
傾いた寓話
幻惑の要素
偉大な好奇心 1988-89
接続 1988
アクロバット 1988-89 アクリル、キャンバス
記憶の風景
秘められた赤
構造空間
黒の交叉点
分岐する赤
とき放れたる両性具有
1988
華やぎ
黒の構造 1988-89
大らかな抱擁 1988
赤の構造 1988-89
赤い部屋 アクリル、キャンバス
岩戸伝説 1988
宇宙起源
傾いた寓話 1989 ステンレス・クロムメッキ
神話の構造 コールテン鋼
上昇 ステンレス

参考作品
作品名 製作年 材質・形状
自画像 1953 油彩、キャンパス
静物 1957
四つの椅子 1960 ミクストメディア
二つの塔
月の道 1961
地−黒− 1963
日本の記憶 1964
R5-24 1965
表面R6-66 1966 アクリル、キャンパス
色彩の表面R7-99 1967
ブルーボール 1971
鏡の中の花嫁 1976 ラッカー・シリコン、キャンパス
大いなる期待 1977 ラッカー・シリコン・アクリル、キャンパス

新聞雑誌関係記事
新聞記事
毎日/5月23日、6月14日(夕)
産経/5月31日
京都/6月2日
日経/6月11日(夕)
新美術新聞/8月21日



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