ヤン・グロート

 タピストリーを現代美術の中で、真の表現メディアとすることに成功したと、言われるヤン・グロートの芸術を、彼のタピストリー9点、ドローイング39点によって紹介するものであった。

 彼は、ノルウェー西南部の有名なフィヨルドの名をそのまま町の名前にした港湾都市スタヴァンゲルで、1938年に生まれた。18才の時から隣国デンマークの首都コペンハーゲンにある王立美術学校で基礎コースを一年学び、抽象表現主義に傾倒していたグロートはそこを離れ、何人かのデンマーク人から教えを受けた。絵の具の「ビショビショ濡れた」感じと「ヌルヌル」とした流動感に猛烈な拒絶感と無力感を抱き、クレヨンの材質感に親近感をもった。クレヨンの「乾性」と「抵抗感」がグロートの腕を解放し、クレヨンと紙との格闘を繰り返すうちに、グロートは「織り」に興味を持つに至った。縦糸と横糸とに制約・条件付けられ、浮かび上がってくる直線的パターン形成に強く引き付けられ、オランダのアムステルダムにあるタピストリー工房「ふくろう」で修業し、ヨーロッパの伝統的織り技術の最上のものと巡り会う幸運に恵まれた。後は、現代芸術表現のメディアとして、「織り」を選択するという非常に個性的な決断を敢行し、それを成功させたが、それを支えたのは、徹底的な習作の集積によるイメージの追求と厳しい選別の基準を守り抜く努力によって、作品の質が維持されたからだと作家自身は考えている。東洋的な墨跡表現との関連において、またファイバー・アートとの関連において、強い関心と興味を関係者たちの間だけでなく、広く一般の観覧者たちにも引き起こした展示であった。

会期
3月8日(火)〜3月27日(日)
入場者数
総数 3,898人(一日平均 650人)
出品目録
作品名 制作年 材質・形状 寸法(cm)
Sign,standing,1970−71 1970−71 ウール・タペストリー 250×400
Sign,1973−74 1973−74 220×350
Sign,1975 1975 170×280
Sign,1979 1979 150×210
Sign,1983 1983 250×430
Sign,1983−84 1983−84 240×395
SignIII,1986 1986 160×400
SignV,1986 150×220
SignI,1986 1986 ウール・タペストリー 150×220
Untitled 1970 黒クレヨン、紙 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1971 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1972 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1973 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1974 62.5×88
Untitled 1975 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1976 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1977 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1978 62.5×88
作品名 制作年 材質・形状 寸法(cm)
Untitled 1978 黒クレヨン、紙 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1980 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1981 62.5×88
Untitled 1984 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 62.5×88
Untitled 1986 62.5×88
Untitled 1987 62.5×88
Untitled 62.5×88

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