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展覧会フランシス・ベーコン展

フランシス・ベーコン展

 フランシス・ベーコン(1909~)はダブリンに生まれ、各地を転々としたのちロンドンに落ち着き、はじめ家具のデザイナーとして認められたが、一方では独学で絵を描き、1945年に改めて画壇にデビューした。抽象美術こそ今後の方向であると見做されていた当時の状況の中で、人間存在の根底を問いつめる独特の具象絵画を提示したこの時の彼の個展は、美術界に鮮烈な衝撃を与え、たちまち注目されるところとなった。彼の作品は具象絵画とはいえ、単に自然を再現したり、説明的な描写を意図したものではなく、現代における孤独や不安、絶望といったような、救いのない人間存在の不条理を、崩壊する人間像に托して表現しようとするもので、魂の叫びとも言えるものだったからである。

 第二次大戦後のイギリスが生んだ、どの流派にも属さず、どんな美術運動にも関わらないこの偉才は、日本でも一部の識者から強い関心が示されていたが、その実作に接する機会はごく稀であった。今回の展覧会は、彼のデビュー以後、今日までの画業の軌跡を、二連画、三連画を含めた代表作によって示したもので、わが国で初めての本格的な回顧展となった。

 本展は東京展に引き続いて開催され、当館で閉会後名古屋において開催され、ベーコンの芸術への理解に資するところがあったばかりでなく、わが国現代美術にも示唆するところが少なかった。

会期
9月13日(火)~10月10日(月)
入場者数
総数17,200人(1日平均688人)
共催
東京国立近代美術館 サンケイ新聞社 ブリティッシュ・カウンシル
後援
外務省 英国大使館
出品目録
作品名 制作年 材質・技法等 寸法(cm)
風景のなかの人物 1945 油彩・パステル・麻布 145×128
人物習作II 1945~46 油彩・麻布 145×129
頭部IV(人と猿) 1949 82×66
頭部IV 93×77
法王I 1951 198×137
犬の習作 1952 198×137
椅子に坐る男 1952 60.5×50
裸体習作 1952~53 61×51
人と犬 1953 152×117
肖像習作 1953 198×137
肖像習作II(ウィリアム・ブレイクのライフマスクによる) 1955 61×50.8
風景のなかの人物 1956~57 油彩・麻布 152.5×118
ヴァン・ゴッホ像のための習作VI 1957 198.1×142
風景のなかのヴァン・ゴッホ 1957~58 153×120
眠る人 1959 119.5×152.5
ある男の頭部 1960 86×86
子供習作 1960 152.5×118
横たわる女 1961 油彩・コラージュ・麻布 198.8×141.7
坐る人物 1961 油彩・麻布 156×141.5
タンジール、マラバータ附近の風景 1963 198×145

作品名 制作年 材質・技法等 寸法(cm)
青い長椅子に横たわるエンリエッタ・モラエスの肖像 1965 油彩・麻布 198×147.5
横たわる人物 1966 198×147.5
ソーホーの路上に立つイザベル・ロースソーンの肖像 1967 198×147
自画像 1969 35.5×30.5
トリプティーク-人体習作 1970 三連、各198×147.5
習作-ジョージ・ダイアとイザベル・ロースソーン 二連、各35.5×30.5
ベットの上の人物の三つの習作 1972 油彩、パステル・麻布 三連、各198×147.5
自画像 油彩・麻布 35.5×30.5
動いている人 198×147.5
三つの肖像画-故ジョージ・ダイア像、自画像、ルシアン・フロイト像 1973 三連、各198×147.5
三つの肖像習作 三連、各35.5×30.5
トリプティク 1974~77 油彩・パステル・麻布 三連、各198×147.5
肖像習作 1977 油彩・麻布 198×147.5
坐る人物 1979 198×147.5
スフィンクス-ミュリエル・ベルチャーの肖像 198×147.5
二つの自画像習作 1977 二連、各35.5×30.5
絵画 1978 198×147.5
肖像習作 198×147.5
坐る人物 1979 油彩・麻布 198×147.5
マイブリッジのレスラーたち 1980 油彩・パステル・麻布 198×147.5
ジョン・エドワーズの肖像のための三つの習作 1980 油彩・麻布 三連、各35.5×30.5
肖像習作 1981 198×147.5
人体習作-動いている人 1982 198×147.5
肖像(ミック・ジャガー)のための三つの習作 三連、各35.5×30.5

新聞雑誌関係記事
サンケイ/8月29日(夕)、9月9日(夕)、9月9日(高橋 亨)、9月12日、13日、9月13日(夕)、9月16日、9月22日(夕)(富士正晴)、9月26日~30日(5回連載;吉岡健二郎、折目博子、池上忠治、山脇佐江子、前田孝一)、10月10日
京都/8月16日、10月1日(藤 慶之)
日経/9月5日
読売/9月7日(夕)
毎日/9月14日
奈良/9月23日(小池重二)
朝日/9月28日(夕)(吉村良夫)
新美術新聞 335号(6月21日)(市川政憲)

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