菊池契月展

 菊池契月は1879年(明治12)長野県に生まれ、のち京都に出て四条派の菊池芳文の門に入った。芳文塾での契月は、早くから手堅い描写の歴史画によって、新古美術品展、その他の展観で頭角を現わし、文展開設後も毎回のように力作を発表した。殊に大正11年より12年にかけての渡欧後は、中世イタリアの宗教画やエジプト彫刻に感銘を受け、東西両美術の融合を目ざすが、次第に大和絵を近代に生かした清澄典雅な新古典的人物画に独自の境地を拓いた。こうした契月の画風は、近代の素養を基に古典の高雅な世界を復活しようとするもので、東京における院展の画家たちの、古典を近代によみがえらせようとした動きと共通の面を持っていた。従って契月の芸術は、京都画派と東京の院展派との中間に位置するものと言ってもよく、また、そこに契月の独自性もあったと言えるだろう。

 今回の展観は契月の代表作約80点に、下絵、素描、滞欧期の模写などをあわせて紹介し、その画業の全貌を回顧するものであった。

会期
7月16日(金)〜8月29日(日)
入場者数
総数 34,527人(1日平均885人)
共催
京都新聞社
KBS京都
日本文化財団
出品目録
題名 制作年 材質・形状 寸法(cm) 備考
車匿童子訣別 1901 絹本彩色・軸装 168.5×114  
寂光院 1902 絹本彩色・軸装 219.5×145 第8回 新古美術品展
落花 1904 絹本彩色・六曲一隻 154×332 第9回 新古美術品展
近藤重蔵 1905 絹本彩色・六曲一隻 154×332 第10回 新古美術品展
名士弔葬 1908 絹本彩色・二曲一双 各168.5×188 第2回 文展
悪者の童 1909 絹本彩色・六曲一隻 158×360 第3回 文展
供燈 1910 絹本彩色・二曲一双 各161×173 第4回 文展
鉄漿蜻蛉 1913 絹本彩色・六曲一双 各158×359 第7回 文展
1914 絹本彩色・軸装 140.1×70.2 大正博覧会
ゆふべ 1914 絹本彩色・二曲一双 各157.5×172 第8回 文展
浦島 1915 絹本彩色・軸装(三幅対) 中央213.5×99.5 左右各216.5×84.7 第9回 文展
花野 1916 絹本彩色・六曲一双 各157.6×356.3 第10回 文展
蓮華 1917 絹本彩色・六曲一双 各173.6×377.2 第11回 文展
夕至 1918 絹本彩色・軸装 216×101.5 第12回 文展
庭の池 1919 絹本彩色・六曲一双 各179.1×377.8 第1回 帝展
少女 1920 絹本彩色・軸装 157×101.5 第2回 帝展
1921 絹本彩色・軸装 190×114.2 第3回 帝展
立女 1924 絹本彩色・額装 154.5×170.5 第5回 帝展
春風払絃 1925 絹本彩色・額装 91×67.5 第1回 菊池塾展
経正 1926 絹本彩色・額装 182×118 第2回 菊池塾展
赤童子 1926 絹本彩色・額装 235×118 第7回 帝展
敦盛 1927 絹本彩色・額装 198×86 第3回 菊池塾展
南波照間 1928 絹本彩色・額装 224×176 第9回 帝展
1929 紙本墨画淡彩・軸装 171×94.5 第5回 菊池塾展
1929 紙本彩色・軸装 174.3×86.9 ローマ日本美術展
1930 絹本彩色・軸装 142×52.5 第6回 菊池塾展
婦女 1930 紙本墨画淡彩・軸装 139.8×89  
童女 1930 絹本彩色・軸装 45.2×42  
朱唇 1931 絹本彩色・額装 112.5×88.2 第7回 菊池塾展
少女 1932 絹本彩色・額装 118.5×145.5 第8回 菊池塾展
友禅の少女 1933 絹本彩色・額装 152×88 第9回 菊池塾展
涅歯 1933 紙本墨画淡彩・額装 152×88 第4回 七絃会展
爽風 1933 絹本彩色・軸装 52×27  
石榴 1933 絹本彩色・軸装 53.5×70.6  
早苗 1934 紙本墨画淡彩・額装 170×75.5  
散策 1934 紙本彩色・額装 173×173.5 第15回 帝展
六歌仙 1934 紙本墨画淡彩・軸装(六幅対) 各45×52.5  
相模太郎 1934 絹本彩色・軸装 55.5×65.4  
桜川 1934頃 絹本彩色・軸装 33×39.5  
菖蒲 1935 紙本彩色・軸装 52×67.3  
松明牛 1935 紙本彩色・軸装 第2回 珊々会展
吉法師・竹千代 1936 紙本彩色・軸装(対幅) 各144.7×57.1 第7回 七絃会展
遅日 1937 紙本彩色・軸装 90.3×92.2 第3回 春虹会展
麦● 1937 絹本彩色・額装 196×111.7 第1回 新文展
清水 1938 紙本墨画淡彩・軸装 172.7×116.7 第3回 京都市展
享保美人 1938 絹本彩色・軸装(対幅) 各121×36.3  
交歓 1938 紙本墨画淡彩・額装 220.5×145 第2回 新文展
重陽 1938 絹本彩色・軸装 126.9×36.7  
忠度 1939 絹本彩色・軸装 150×72 第10回 七絃会展
薫風 1939 絹本墨画淡彩・軸装 59.5×71.5  
麗人 1939 絹本彩色・軸装 50.8×57.4  
1939 絹本彩色・軸装 145×72  
迎鳳輦 1939 絹本彩色・軸装 64.2×72.6  
孔雀明王 1940 紙本墨画淡彩・額装 170×85.5 紀元2600年 奉祝日本画大展
大楠公 1940 絹本彩色・軸装 63.4×72.2  
1942 絹本彩色・額装 64.6×73.8 日本画家報国会 軍用機献納作品展
夕月 1943 紙本墨画淡彩・額装 44.5×53.9  
北政所 1943 絹本彩色・額装 185.5×112 関西邦画展
小楠公弟兄 1943 紙本彩色・額装 172×113 第8回 京都市展
楠公 1943 紙本墨画淡彩・軸装 40.5×21.5  
貞信公 1943 絹本彩色・軸装 51×57  
藤房卿 1943 紙本彩色・軸装 62.5×72.5  
聖徳太子 1943 絹本彩色・軸装 131×43  
加冠義家 1943 絹本彩色・軸装 138×51.3  
少壮義家 1943 絹本彩色・軸装 126.7×35.6  
1944 絹本墨画淡彩・額装 73.6×111.2 第9回 京都市展
光明皇后 1944 絹本彩色・軸装 142×57.5 朝日新聞社 日本文化顕揚展
歌聖人麻呂影 1944 絹本彩色・軸装 56.3×66.5  
在原業平 1944 絹本彩色・軸装 62×72  
喜撰 1944 紙本墨画淡彩・軸装 45.2×56.5  
1945 紙本彩色・軸装 32.5×46.5  
富士出現 1945 紙本彩色・額装 169×112.1 朝日新聞社現代美術展
小堀遠州 1945 紙本墨画淡彩・軸装 42.5×50  
被衣 1947 絹本彩色・軸装 57.5×67.8 肩交会展
児文殊 1947頃 紙本墨画淡彩・軸装 44.8×53.2  
観世音菩薩 1948頃 紙本墨画淡彩・軸装 57.7×48.8  
不審庵居士 1948頃 紙本墨画淡彩・軸装 43.6×51.9  
源氏物語挿画 1955 紙本墨画・額装(4面) 各16.5×24  
写生帖 1909〜17頃 スケッチブック 13.5×18.2  
写生帖 1914〜15頃 スケッチブック 18.2×28.6  
写生帖 1916〜17頃 スケッチブック 24×28.3  
写生帖 1818頃 スケッチブック 22.2×30  
写生帖 1920〜28頃 スケッチブック 22.2×30  
写生帖 1922〜34頃 スケッチブック 26.2×19  
写生帖 1929〜46頃 スケッチブック 36.4×25.3  

題名 制作年 材質・形状 寸法(cm)
模写(ジョット作 《栄光の聖母》部分) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 48×36
模写(ジョット作 《我に触れるな》部分) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 25×17
模写(ジョット作 《我に触れるな》部分) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 25×17
模写(受胎告知の大天使ガブリエル) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 47.5×32
模写(受胎告知の聖母マリア) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 22.5×13.8
模写(聖母マリア) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 47.5×30.8
模写 1922〜23頃 紙本彩色・額装 48×29.7
模写 1922〜23頃 紙本彩色・額装 16.7×14.2
模写 1922〜23頃 紙本彩色・額装 16.7×12
模写(受胎告知の大天使ガブリエル) 1922〜23頃 紙本彩色・額装 25×17
模写 1922〜23頃 紙本彩色・額装 14.5×11.2
婦女(下絵) 1930 紙本墨画・軸装 49.4×47.5
散策(下絵) 1934 紙本墨画淡彩・額装 32.5×31.7
吉法師・竹千代(下絵) 1934 紙本墨画淡彩・軸装 各107.2×56.3
朝爽(下絵) 1937 紙本墨画・軸装 103×70.3
交歓(下絵) 1938 紙本墨画・軸装 215×142.5
富士出現(下絵) 1945 紙本墨画淡彩・額装 37×30
龍(下絵) 1947 紙本墨画・額装 46.2×46.2
西王母(下絵) 不詳 紙本墨画・軸装 73.4×55.3
大原女(下絵) 不詳 紙本墨画・軸装 43×27.6
雛遊び(下絵) 不詳 紙本墨画・軸装 32×55.2

新聞雑誌関係記事
京都/7月13日、7月18日、7月21日〜8月3日(夕)(吉岡健二郎ほか)、7月31日(内山武夫)
サンケイ/7月19日
日経/7月20日(滝 悌三)
読売/7月28日(夕)(平野重光)、8月4日(夕)(鈴木 敬)
毎日/7月28日、8月12日(夕)
新美術新聞/7月11日 No.303
アートトップ8、9月号 No.70
染織の美 No.18、1982 夏

このページの先頭へ