1960年代 −現代美術の転換期

 日本の1960年代は、通信交通機関の急速な発達、科学技術の革新、社会の都市化現象などを反映しながら、社会、文化全体が目まぐるしく展開した時代であった。わが国の美術においても、国際的な美術動向に対応した新しい局面が次々と現われ、既成の美術概念そのものに大きな変化が生じた時期であった。この時代の動向や要素が、以後の日本の現代美術の展開に決定的な影響と方向づけを与えたともいえる。近年、世界的にも第2次大戦後の美術を再検討しようとする気運が高まっているが、本展は1960年代を日本の現代美術の転換期としてとらえ、この時期の動向を再検証するとともに、今日の美術との関連を示唆しようと試みたものであった。抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップ・アート、ミニマル・アート、キネティック・アートなどの多様な展開を示すために、その典型的作例として72作家121点の作品が展示された。会場や展示の限界などにより、60年代美術の全貌を示すことは不可能であったが、少なくとも60年代美術の動向へ、作品に則した一つの視点を提示するものであった。

 この展覧会を契機として60年代美術に対する多方面からの論議が生じたが、この時期について様々な角度からの検証を行なうことが、新たな価値観と視点を生み出すものになることが望まれる。

 なお本展は、東京国立近代美術館の昭和56年度特別展として企画されたものである。

会期
2月10日(水)〜3月14日(日)
入場者数
総数 8,336人(一日平均 287人)
共催
東京国立近代美術館
出品目録
作家名 題名 制作年 寸法(cm) 材質・形状
田淵安一 夜すぎる 1961 129×195.5 油彩・キャンバス
今井俊満 勝利 1963 195×114
堂本尚郎 連続の熔解 64-10 1964 162×130
田中敦子 作品 63 1963 193.5×122.5 油彩・合板
白髪一雄 天慧星●命三郎(水滸伝豪傑の内) 1964 183×274 油彩・キャンバス
元永定正 作品 66-1 1966 274×424
杉全 直 作品 11(眼) 1960 114×145
作品 5(きっこう) 1961 162×130
村井正誠 長い脚 1964 183.5×227
難波田龍起 コンポジション 1965 182×227
津高和一 1961 162.1×112.1
小野忠弘 グリン・プリース・グラス 1966 120.8×196.2 油彩・アクリル・合板
萩原英雄 1959 59.7×41.7 木版・紙
石の花(赤) 1960 89.5×59
お伽の国 No.1 1966 60.3×91
荒川修作 作品(3点) 1960 62.2×42.7×13.3 セメント・布・木箱
細部としてのデュシャンの硝子のあるダイヤグラム 1964 230×168×57 アッサンブラージュ
時間の前後 1965 225.8×161.9 油彩・鉛筆・色鉛筆・キャンバス
出会いの図式 1965 100×230 油彩・キャンバス
工藤哲己 増殖性連鎖反応 1957-58 240(h) ひも・釘・木他
平面循環体に於ける融合反応 1959 170(h) 彩色したひも・鉄
複合体のルーレット 1962 99×99×21 アッサンブラージュ
若い世代への讃歌一彌は開く 1968 120(h)
草間繭生 ネット・アキュミレーション 1958 162×390 油彩・キャンバス
スタンプの集積 #63 1962 60.3×73.6 コラージュ
終りなき愛 1964(1981再制作) 177.5×75×75 布・鏡・木
白夜 1980 300(W) アッサンブラージュ
伊藤隆康 無限空間 4-62 1962 150×150 石膏・合板
無限空間 6-62
中西夏之 1959 113.5×92 ラッカー・エナメル・砂・合板
1960 145.5×112.5
コンパクト・オブジェ(卵)(8点) 1962 18〜23(W) ポリエステル樹脂他
韻 '63(2点) 1963 15×25×15 ペイント・エナメル・石膏
洗濯バサミは攪乱行動を主張する(4点) 1963 (各)116.9×91 アルミ・ひも・キャンバス
コンパクト・オブジェ(卵)(2点) 1962(1965再制作)
高松次郎 点(No.1) 1961 17×13×10 ラッカー・針金・金属板
1961 43×37×28 ラッカー・針金
ビンの紐 1962 紐・ビン
椅子にかけた男の影 1965 222×179 ラッカー・合板
遠近法の椅子とテーブル 1966-67 122×210×95 ラッカー・木
No.273(影) 1969 250×300 ラッカー・合板
赤瀬川原平 千円札拡大図(復讐の形態学) 1963 90×180 水性絵具・紙
三木富雄 Ear 104 1965 200×120 アクリル板・孔版・アルミ合金
1965 169(h) アルミ合金
Ear-1972・WA32 1972 72×60 アルミ合金
菊畑茂久馬 ルーレット 1963 162×112 アッサンブラージュ
ルーレット No.5 1964 107×64.5×21.6
植物図鑑 1964 202×134.5×22 油彩・プラスティック・木
磯辺行久 WORK 62-30 1962 160.5×112 油彩・大理石粉・紙・木
WORK 65-9 1965 13,.5×91.5
パラシュート・プロジェクト 1969 190.5×93.5 孔版・紙
吉仲太造 1965 193.9×130.3 新聞紙・布・鎖・板
池田龍雄 ドクトルD.VargueAme氏の優雅な衣裳箪笥 1969 193×105×57 木・金属・プラスティック
関根美夫 算盤 1965 162×260.5 油彩・キャンバス
平賀 敬 H氏の優雅な生活 1968 132.5×197.5
篠原有司男 女の祭り(3枚組) 1966 (各)194×130.5 油彩・キャンバス
小島信明 無題 173(h) ラッカー・ポリエステル樹脂
ボクサー 167(h)
岡本信治郎 「10人のインデアン」のうち2点 1964 190×130 アクリル・キャンバス
靉嘔 フィンガー・ボックス(15点) 1963 (各)7.5×7.5×7.5 木・その他
ハンド・タクタイル・ボックス(2点) 1963 (各)30×30×30 木・砂・スポンジ
アダムとイブ 1963-67 192×134.5 油彩・キャンバス
レインボー北斎・ポジションA 1970 90×135 孔版・紙
宇佐美圭司 メナム河畔に出現する水族館 1967 185×270 油彩・キャンバス
加納光於 半島状の! No.8V 1967 76×167 銅版・紙
池田満寿夫 タエコの朝食 1963 37.6×36
化粧する女 1964 37.8×36.4
夏 I 41×37
吉原英雄 シーソー I 1968 100×100 銅版・石版・紙
1969 73×104 石版・紙
横尾忠則 責場(3点組) 1969 (各)103×72.8 孔版・紙
葬列 II 75×113×12 孔版・アクリル板
桂 ゆき ゴンベとカラス 1966 200×130.2 油彩・キャンバス
山下菊二 またぐ 1963 76.5×100.5
中村 宏 飛行する蒸気機関車 1969 181×238
前田常作 空間の秘儀 1964 162×130
藤松 博 1964-65 80.3×65.2
月と鏡とスフィンクス 1965 80.3×65.2
馬場 彬 トルソ・メタフィジック 1966 130×194
山口長男 1968 182×182 油彩・合板
斎藤義重 作品 13 1961 181×121 油彩・合板
ペンチ 1967 182×121 ラッカー・合板・レリーフ
吉原治良 黒地に白 1965 182×227.5 油彩・キャンバス
菅井 汲 1960 146×114
ナショナル・ルート 1965 146×114
オノサト・トシノブ 作品 1962 130.5×193.5
桑山忠明 無題 1967 299×115 アクリル・キャンバス
299×115
山田正亮 Work C-73 1960 180×68 油彩・キャンバス
Work C-77 180×68
辻 晉堂 寒山 1961 97(h) 陶彫
向井良吉 蟻の城 1960 65(h) アルミ合金
建畠覚造 Organ No.12 1965 100(h)
流 政之 風の姿 1960 92.5(h)
豊福知徳 作品 I 1964 198(h) ブロンズ
作品 II 198(h)
吾妻兼治郎 MU-661 1966 33×57×18
木村賢太郎 古墳の音 1966 80(h)

作家名 題名 制作年 寸法(cm) 材質・形状
新妻 実 眼の城 1965 51(h) 大理石
江口 週 碑 No.2 1966 93(h)
堀内正和 球の切り方 1970 45×30×30 ブロンズ
篠田守男 テレションとコンプレッション T.C.351 1966 150(h) 鉄・鋳物他
小田 襄 銀回路 1967 120(h) ステンレス
最上寿之 ダンダンダ 1961 180(h)
若林 奮 北方金属 1966 120(h)
2.5mの犬 1968 ・57×72×72・43×82×44
村岡三郎 手(鉄板をもつ手) 1960(1978再制作) 75×35×14
しづく 1967 120×80×40 鉄・ポリエステル
福岡道雄 作品 1965 198(h) ラッカー・石膏・布・鉄他
多田美波 周波数 37306505 1965 200×300×30 アクリル樹脂・アルミ・鉄
山口勝弘 1962 225(h) 金属・布
風の柩 180(h)
Cの関係 1965 170×240×100 螢光灯・金属・アクリル
吉村益信 クイーン・セミラミス II 1967 112.5×200.5×51 ネオン管・プレクシグラス
反物質・ライト・オン・メビウス 1968 100×180×130 ステンレス
河口龍夫 無限空間におけるオブジェとイメージの相関関係、またはからっぽの頭部とつまったお尻 1968 73×82×46 石膏・ハーフミラー ブラックライト
宮脇愛子 WORK 021960-3 1960 120×90 油彩・合板
WORK #18(光のパイプ) 1967 48.1×38.4×45 真鍮
田中信太郎 ハート・モービル 1967 111(h) ステンレス・螢光灯
湯原和夫 作品 12 1967〜68 65×61.9×71.9 鉄・クロームメッキ
関根伸夫 位相 No.5 1968 200×120×90 ラッカー・合板
位相−大地(写真展示)

新聞雑誌関係記事
日経/12月8日(滝 悌三)
毎日/1月12日(夕)(田中幸人)
朝日/2月5日、2月27日(夕)
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公明/3月4日
サンケイ/2月16日
新美術新聞 No.283(三木多聞)
陶業時報 1月25日
文化庁月報 No.158
みづゑ No.921(「特集 1960年代」秋田由利、中原佑介、峯村敏明)
美術手帳 No.490(浅野 徹)No.493(今泉省彦)
季刊アート No.98(東野芳明)

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