現代日本の工芸

 本展の展示品は、およそ過去50年の間に制作された工芸作家の作品から選ばれ、なかでも現代に重点がおかれた。この半世紀の日本文化は大きな変革期にあり、さまざまな要素が複雑にからみ合いながら動いてきたが、もとより工芸も例外ではなかった。

 昭和2年、帝展に第4部(美術工芸部)が設けられて会場芸術としての工芸が展開する一方、大正末に柳宗悦によって唱えられた民芸運動や、工芸を生活と密接に結びつけようとする仮官民の動きなどがからみ合って動いたのが近代工芸の状況である。戦後も官展のあとを受けた日展の工芸部が中心となったが、昭和20年、特殊な工芸技術保護の法律設定を期に、日本伝統工芸展が開かれると、高度の技術を持つ工人が新たに工芸作家として登場するとともに、日展や民芸派の一部がこれに加わった。彼らの使用目的にかなった工芸という主張は、見るための工芸という日展の行き方と対照的な在り方を示した。また、近年、美術界の動向に呼応し、海外の工芸の刺激を受けて、工芸素材をもとにしながら独自の造形を展開する動きも顕著である。

 工芸は絵画や彫刻よりも一層直接にわれわれの生活に結びついている。今日の機械文明や国際的な文化交流、また生活様式の変化などが、工芸にも大きな影響を与えているが、反面、長い伝統をもつ工芸は、今日のわれわれの生活に、色々なかたちで過去のものを持ち込んでいる。そして工芸家たちの主義の如何を問わず、過去の伝統を現代に生かすという点では、手工芸は今日の日本の生活に大きな役割を果たしており、それをもとにした活発な造形を繰りひろげている点で、世界の工芸界にも大きな意味をもっているといっていいだろう。

 本展は、第8回世界クラフト会議が京都で開かれたのを機に開催したもので、日本のみならず諸外国の工芸に深い関心をもつ多くの人々の鑑賞するところとなった。

会期
8月24日(木)〜9月17日(日)
入場者数
総数 11,026人(1日平均 501人)
出品目録
陶芸
作者名 題名 制作年
荒川豊蔵 黄瀬戸竹花入 1967
荒木高子 作品 1978
浅見隆三 白磁壺 1965
江崎一生 灰釉大鉢 1970
藤平伸 鳥たちの歌 1966
藤本能道 鉄釉黒彩大皿 1964
藤原 啓 備前筒形花生 1963
藤原 建 胡麻壺 1968
藤原 雄 備前大徳利 1968
浜田庄司 飴釉白十字紋大鉢 1955
柿釉鉄絵丸紋大鉢 1962
赤絵茶碗 1968

作者名 題名 制作年
林 秀行 作品 1973
今井政之 泥彩蝦蛄壺 1964
13代今泉今右衛門 色絵かるかや文飾皿 1969
石黒宗麿 緑釉蓋物 c.1935
しぶ紙手鉢 c.1956
彩瓷壺 1959
板谷波山 朝陽磁鶴首花瓶 1938
彩磁香炉三生果 1953
岩渕重哉 草花文天目皿 1967
加守田章二 大角皿 1968
金重陶陽 備前花生 1963
叶 光夫 印花壺 1956
加藤土師萠 萌黄金襴手丸筥 1958
碧釉木兎文鉢 c.1961
加藤清之 花器 1967
加藤嶺男 綾部大鉢 1962
加藤卓男 青釉銀花形花器 1975
河井寛次郎 鉄辰砂草花丸文壺 1935
辰砂双頭壺 1948
呉州釉陶彫 c.1960
河合卯之助 折鶴羊歯赤絵瓶 c.1959
河本五郎 白い陶筥 1966
河村蜻山 花瓶染付蒼生 1959
木村盛和 白ふち釉描天目釉大皿 1966
北山路魯山人 織部俎板盤 1949
磁器色絵筋文中皿 1950
銀三綾大平鉢 1958
6代清水六兵衛 玄窯梅花瓶 1955
鯉江良二 土にかえる 1971
近藤悠三 葡萄棚染付蓋 1964
熊倉順吉 風人 67 1967
楠部弥弌 幽韻花瓶 1968
松井康成 練上線文鉢 1973
三島喜美代 パッケージ78 1977-78
三輪休和 萩焼茶碗 1967
宮永理吉 1973
森 陶岳 彩文土器 1971
森野泰明 揺-75-5 1975
13代中里太郎右衛門 叩きづくりの壺 1967
12代坂倉新兵衛 萩焼茶碗 1959
島岡達三 飴釉象嵌唐草文鉢 1969
清水卯一 青磁鉢 1973
鈴木 治 泥像 1966
鈴木 蔵 鉄釉鉢 1967
田村耕一 鉄釉あやめ文鉢 1965
谷口良三 碧晶 1966
富本憲吉 染付絵変皿 1933
色絵赤更紗文大鉢 1949
色絵金彩羊歯大飾鉢 1961
坪井明日香 笛師の戯れ 1971
辻 清明 信楽壺 1970
宇野三吾 青点碧釉壺 1962
宗野宗甕 青磁筒形花生 1964
八木一夫 巨離 1974
山田 光 1966
柳原睦夫 紺釉金彩壺 1971

金工
作者名 題名 制作年
加茂霊峰 蝋型遊環鋳銅鳴門盛器 1977
加藤宗巌 闘魂 1963
北原千鹿 鶉文金彩壺 昭和初年
兜置物 1929
宮田宏平 蝋型鋳銅静かなる闘士 1962
蝋型ステンレス鋳造千手観音堂 1970
内藤四郎 銀流線文箱 1967
中野恵祥 獅子香炉 1934
牛飾箱 1970
越智健三 植物の印象 1967
佐々木象堂 蝋型鋳銅置物 菜花 1959
高村豊周 蝋型鋳銅花器 鼎 1961
蝋型朧銀筒花生 落水譜 1963
田中鉄邦 鍛四分一銀盤 1974
山脇洋二 蜴蜥(とかげ)文硯箱 1947

漆工
作者名 題名 制作年
赤地友哉 曲輪造彩漆盛器 1960
曲輪造平棗 1966
赤塚自得 硯箱 舞鶴 昭和初年
番浦省吾 草花図彩漆衝立 1936
磯井如真 蒟醤龍鳳凰文八角香盆 1955
伊東裕司 彩象一四季 1972
前 大峰 沈金 猫 飾筥 1934
増村益城 乾漆盛器 朱丸 1957
乾漆流水文盛器 1963
松田権六 赤とんぼ蒔絵箱 1969
音丸耕堂 彫漆銀連糸香合 1963
彫漆廷齢草水指 1966
鈴木雅也 森の函 1977
高野松山 栗鼠模様手箱 1940
吉田源十郎 漆南天棚 1936

木工
作者名 題名 制作年
竹内碧外 行雲流水 文台硯箱 1969-70
重ね文庫 武蔵野 1969-70
隅切折敷 1969-70
氷見晃堂 桐八稜盆 1966
大般若理趣分経之箱 1973
黒田辰秋 拭漆文欟木飾棚 1966

竹工
作者名 題名 制作年
松沢一義 竹千筋組上飾箱 1960
飯塚琅●斎 花籃 富貴 昭和初年
花籃 魚の舞 1931
華籃 黄威 1951
田辺竹雲斎 亀甲透編輪違椽花籃 1966
柳下昌● 花籃 秋風 1967

染織
作者名 題名 制作年
羽田登喜男 上代紬友禅きもの 白夜 1976
堀内紀子 浮上する立方体の内包する空気 1977
稲垣稔次郎 型絵染 青楓の図屏風 1948
紬地型絵着物 風 1953
鎌倉芳太郎 紅型上布竹文夏長者 1968
木村雨山 変織縮緬訪問着 花 1965
来野月乙 1972
小林正和 W3 1976
松原定吉 縞浴衣長板中形 1963
松原与七 藍型染着物 藍光 1966
三浦景生 末摘花 1972
森口華弘 菊花文様友禅着物 1975
森口邦彦 訪問着 渓流 1973
中村勝馬 友禅訪問着 縢 1962
小合友之助 屏風 樹 1960
小倉健亮 着物 懐郷 1964
佐野猛夫 ●纈 しおじ 1976
芹沢●介 型染 壺垂れ文着物 1968
いろは文壁掛 1968
志村ふくみ 紬織着物 七夕 1960
鈴田照次 木版摺更紗とり文 1964
山鹿清華 手織錦湖宮膀図壁掛 1938

ガラス
作者名 題名 制作年
浅原千代治 ファンタジィ 1978
藤田喬平 ガラス飾筥 平安の夢 1978
佐藤潤四郎 クリスタル花器 1947
各務鉱三 硝子鉢 1940
岩田藤七 ガラス飛文平茶碗 1966
岩田久利 黒紫二色花文鉢 1976

ジュウェリー
作者名 題名 制作年
平松保城 ブローチ 1978
リング 1978
岩倉康二 指輪 汐路 1970
ペンダント 海の語らい 1971
ペンダント 波濤 1976
菱田安彦 ブローチ 1974-76
指輪 1974
帯止め 1977

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