キュービズム展

 キュービズム(立体派)は、一つの視点にたって対象を遠近法的にとらえる伝統的な手法を変革し、対象を、視点を移動しながら、多くの視点から見た多数の面に分割し、それらを再構成するという造形的な新秩序をもたらした。20世紀の初頭、フランスにおこったこの運動は、近代美術の展開の上でもっとも重要な役割を果し、新しく開発したパピエ・コレ(貼り紙)の技法を含めて、それ以後現代にいたる美術に強大な影響を与えた。知的な造形理念を重視するキュービズムは、日本人の感性に比較的受け入れ難いと考えられたため、日本では、この運動を推進したピカソ、ブラック、レジェら二、三の主要作家の大規模な回顧展が開かれたが、これまでキュービズムの概要を広く紹介する機会に恵まれなかった。

 本展は、近代美術史上重要な位置を占めるキュービズム美術の全貌を、はじめてわが国に組織的に紹介しようとするもので、その特質と影響の強大さを明らかにするため、キュービズムの先駆となったセザンヌをはじめ、主要作家30名の、絵画、彫刻、版画、水彩、素描の作例約90点によって構成されている。また、この運動と深い関連をもつ日本の美術作家24名の約40点もあわせて展観した。
 本展は、キュービズムおよび現代美術を理解する上に貴重な一石を投じた。

 なお、この展覧会は東京国立近代美術館の本年度の特別展として企画されたものである。

会期
11月23日−12月19日
入場者数
総数8,901人(1日平均370人)
共催
東京国立近代美術館
出品目録
作家名(生歿年) 題名 制作年 材質 寸法(cm)
アルキペンコ、アレクサンドル 1887-1964 櫛けづる女 1915 ブロンズ 高35
ブランシャール、マリア 1881-1932 新聞のある静物 1919 油彩・カンヴァス 16×24
ブラック、ジョルジュ 1882-1963 構成、コップ 1911 27×22
ギターのある静物 24×52
白ビール エッチング 45.6×32.7
ヨブ 1912 ドライポイント 14.3×20
フォックス 54.7×38
楕円の静物(ヴァイオリン) 1914 油彩・カンヴァス 92.4×65.4
楽器と果物入れ 1919 62×97
ゼザンヌ、ポール 1839-1906 勝利 c.1880 水彩・紙 21×27
曲った木 1888-90 油彩・カンヴァス 45×54
曲った道 1895-1904 水彩・紙 31×48
風景 1900-06 油彩・カンヴァス 64.5×81
シャトー・ノワールとサント・ヴィクトワール山 1904-06 65.5×81
シャガール、マルク 1887- 画架の前の画家 1919 グワツシュ・紙 21×26
ドローネー、ロベール 1885-1941 サン・セヴラン教会 1909(-1927) リトグラフ 56.8×43.2
ドローネー、ロベール 1885-1941 塔と車輪 1910 インク・紙 64.7×49.7
円盤 1930-33 油彩・厚紙 60×59.7
終りのないリズム 1935 グワッシュ・紙 27×20.9
デュシャン、マルセル 1887-1968 花嫁(ジャック・ヴィヨンとの共作) 1934 アクアチント 48.8×31
デュシャン=ヴィヨン、レイモン 1876-1918 大きな馬 1914 ブロンズ 高107幅100
フェラ、セルジュ 1881-1958 構成 c.1914 油彩、パピエ・コレ・板 92×66
ジャコメッティ、アルベルト 1901-1966 キュービズム的構成(男) 1926 石膏、着色 高65
グレーズ、アルベート 1881-1953 道化 1914-15 油彩・厚紙 103×75
「陸軍軍医の肖像」のための習作No.2 インク・紙 17.8×14
自画像 1919 鉛筆・紙 32×25
スペイン人 1920 グワッシュ・紙 30×22
二人の裸婦の構成 1921 油彩・カンヴァス 119.5×88
形体の変化 1929-41 グワッシュ・紙 52.5×44.8
ある構成のためのエスキース 1934 水彩、グワッシュ・紙 27.6×28.2
グリス、フアン 1887-1927 静物 1911 油彩・カンヴァス 59.7×50.2
風景 1916 油彩・板 55×38
新聞とコップとトランプのある静物 鉛筆、クレヨン、テンペラ・紙 45.2×27.5
粉屋 1918 油彩・カンヴァス 100×81
果物皿と新聞 92×65
二人のピエロ 1922 100×65
三つのマスク 1923 65×100
クレー、パウル 1879-1940 庭の植物 1915 鉛筆・紙 20×10.1
ラ・フレネー、ロジェ・ド 1885-1925 樹間の風景 1910 油彩・カンヴァス 61×50
静物 油彩・厚紙 24×27
ローランス、アンリ 1885-1954 扇をもつ女 1919 ブロンズ 高27.5 幅61
鳥と女 1920 テラコッタ 高34
扇をもつ女 1921 ブロンズ(浮彫) 高51 幅39
果物入れ 1922 高46 幅60

作家名(生歿年) 題名 制作年 材質 寸法(cm)
ローランス、アンリ 1885-1954 ギター 1926 ブロンズ(浮彫) 高152幅91
ル・フォーコニエ、アンリ 1881-1946 狩人 1912 油彩・カンヴァス 158.1×117.8
レジェ、フェルナン 1881-1955 ヴェルダン、塹壕を掘る人たち 1916 水彩、鉛筆・紙 35.9×26.3
形の対比 1918 油彩・カンヴァス 41×26.5
鏡の前の女性 1920 35×27
生気のある風景 1921 50.4×64.4
ロート、アンドレ 1885-1962 水浴する女たち 1918 60×73
コーヒー茶碗のある静物 30×23
リプシッツ、ジャック 1891- 踊り子 1913 ブロンズ 高63 幅23
低浮彫のための習作 1921 油彩・板 59.5×61
坐る男 1925 ブロンズ 高34.3幅30.2
マレーヴィッチ、カジミール 1878-1935 飛行機と鉄道で同時に死んだ男 1913 リトグラフ 9.1×14
マルクーシス、ルイ 1883-1941 ギヨーム・アポリネール 1912-20 エッチングとドライポイント 49.7×27.8
魚のある静物 1928 油彩・カンヴァス 65×92.5
レストラン エッチング 18×12
ロマンテイックなイワシ 28×21.5
メッツァンジェ、ジャン 1883-1957 アルベール・グレーズの肖像 1911 鉛筆・紙 20×15.5
緑衣の女性 1912 油彩・カンヴァス 162×97
静物 1918 73×54.4
構成 c.1919 81×64.9
寓意的な構成 54×73
「小舟に日傘をもつ女性」のための素描 インク・紙 25.5×19
オザンファン、アメデェ 1886- ヴァイオリンのある静物 1922 油彩・カンヴァス 101×81
ピカビア、フランシス 1879-1953 わが愛するウドニーに私は記憶の中で会う c.1914 250×198.8
ピカソ、パブロ 1881-1973 女の顔(「アヴィニョンの娘たち」のための習作) 1907 油彩・紙 31×24
頭部 1909 グワッシュ・紙 61×45.7
二つの裸体 ドライポイントとエッチング 13×11
長椅子の中のレオニー嬢(マックス・ジャコブ『聖マトレル』の挿絵) 1910 エッチング 20×14
男の頭部 1912 油彩・カンヴァス 61×38
壜のある静物 ドライポイント 50×30.5
コップとギターと壜 1913 油彩、貼り紙他・カンヴァス 65.4×53.6
裸婦(マックス・ジャコブ『エルサレム攻略』の挿絵) 1913-14 エッチング 15.5×11.5
頭蓋骨のある静物(マックス・ジャコブ『エルサレム攻略』の挿絵) 1914 15.5×11.5
女(マックス・ジャコブ『エルサレム攻略』の挿絵) 15.5×11.5
犬をつれた人 27.5×21.5
コップを持つ男の坐像 油彩 235×163.5
イタリアの少女 1917 水彩・紙 75.6×52.1
構成 1923 グワッシュ・紙 27.6×20.7
ケーキのある静物 1924 油彩・カンヴァス 97.8×130.8
セヴェリーニ、ジーノ 1883-1966 静物:バーベラ 1918 油彩・板 46.2×27.6
シュルヴァージュ、レオポルド 1879-1968 風景 1915 油彩・カンヴァス 60×81.5
横たわる女 1922 64×114
ヴァルミエ、ジョルジュ 1885-1937 構成 c.1916 92×73
ヴィヨン、ジャック 1875-1963 ディナーテーブル 1913 ドライポイント 28.3×31.1
若い婦人の肖像 54.8×41.3
チェス盤 1920 エッチング 20.1×160
キャリバン 20×18
祖母 25×18
ザッキン、オシップ 1890-1967 マンドリンを弾く若い女の胸像 高50

日本におけるキュービズム的傾向

作家名(生歿年) 題名 制作年 材質 寸法(cm)
藤牧義夫 1909-1935 ごみ 1932 木版 25.5×36
今西中通 1908-1947 作品(2) 1939 油彩・カンヴァス 72.8×60.8
作品 c.1939-40 60.6×50
みどり静物 1940 100×80.3
静物 60×72.7
静物(青) 97×145.5
石垣栄太郎 1893-1958 鞭うつ 1925 145.5×106.5
笠置季男 1901-1966 作品(壷) 1921 45.5×38
川口軌外 1892-1966 風景 c.1925 65×80.5
風景−モントーバン 1926 90×71.6
古賀春江 1895-1933 観音 1921 91×72.5
埋葬 1922 91×117
母子 80.5×65.5
縁側の女 73×91
海女 1923 水彩・紙 49.5×36
近藤孝太郎 1896-1949 海の見える風景 1926 木版 18×23.5
黒田重太郎 1887-1970 一修道僧の像 1922 油彩・カンヴァス 61×50.5
渚に坐る女 52×67
港の女 66.5×82
前田寛治 1896-1930 作品 43.5×33.4
仲田定之助 1888-1970 1924 石膏 高41
尾形亀之助 1900-1942 化粧 1922 油彩・カンヴァス 83.5×83.5
岡田竜夫 版画(雑誌『形成画報』掲載)
岡本唐貴 1903- 静物 1923 油彩・カンヴァス 53.4×41.2
恩地孝四郎 1891-1955 人体考察(髪.肩.胴.脚) 1927 木版 各40×32
小野忠重 1909- かたち(鉄) 1929 8.1×11.7
坂田一男 1889-1956 キュービズム的人物像I 1925 油彩・カンヴァス 92×65
坐る女IV 1926 81×65
女と植木鉢 80.5×64.5
習作 60×73.5
里見勝蔵 1895- 静物 71.2×90
住谷磐根 1902- 唯物弁証法的イワノフ・スミヤヴィッチ 1923 43.5×35
工場に於ける愛の日課 65.3×53.2
東郷青児 1897- コントラバスを弾く 1915 83.5×112.5
パラソルさせる女 1916 63.5×78.6
矢部友衛 1892- 裸婦 1920 65×53.2
山口 進 1897- 静物 1926 木版 25.9×18.5
柳瀬正夢 1900-1945 五月の朝と朝飯前の私 1923 油彩・カンヴァス 45.5×46
横井礼以 1886- 1925 62×64
萬鉄五郎 1885-1927 もたれて立つ人 1917 162.5×112.5
裸婦 1918 46×33.4

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