香月泰男遺作展

 香月泰男は明治44年山口県大津郡三隅町久原に生まれ、昭和49年同地で没した。この展覧会はその生涯の画業を回顧するために企画されたものである。

 香月泰男は昭和11年に東京美術学校を卒業しているが、在学中から国画会展に出品、まもなく国画奨学賞・佐分賞等を受賞し同人となった。しかし、画風も定まり画家としての確信もできた昭和18年、召集令状を受けて入隊、惜しくも画業は中断された。

 戦後はシベリアに抑留され収容所生活を経て昭和22年に帰国、中断した画業が本格的に再開されるが、この時から香月泰男は郷里を離れることなく、戦争と抑留生活の体験を核とした作品を営々と描き続けていくことになる。この体験に取材した作品が、いわゆる「シベリアシリーズ」57点である。彼がその後生涯をかけて描きつづけたこのシリーズは、思想絵画・反戦絵画であると同時に彼の望郷の詩でもあったわけであるが、独自のマチエール、単純化されたフォルムに支えられて戦後美術の特異な遺産とされている。今回「シベリアシリーズ」の全作品を陳列したのは、香月泰男の代表作であるばかりでなく、これらの作品が、美術と文学が手を切って以来1世紀にもなる今日、正面きって美術に文学を呼びもどした貴重な作例だからでもある。

 ヒューマニズムに支えられたこれら香月泰男の作品は、戦争を体験した中年層以上の人々ばかりでなく、戦後世代に属する人々にも深い感動を与えた。

会期
8月23−9月21日
入場者数
総数12,498人(1日平均7,478人)
出品目録
油彩
題名 制作年 寸法(cm) 備考
雪降りの山陰風景 1934 60.5×73.0 第9回国画会展
自画像 1936 61.0×45.5 東京美術学校卒業制作
二人坐像 146.0×114.0 文展鑑査展
祖父 1938 60.5×73.0
1939 73.0×100 第3回新文展(特選)
73.0×80.5 第14回国画会展
石と壺 1940 72.5×116.5 紀元二千六百年奉祝美術展
釣床 1942 73.0×117.3 第17回国画会展
水鏡 72.3×116.5 第5回新文展
ホロンバイル 1944 46.0×65.0 戦時文展
1948 73.0×116.5 第22回国画会展
1949 72.5×116.5 第24回国画会展
1951 72.5×116.5 第26回国画会展
仕事場 1952 72.5×116.5 第1回日本国際美術展
休憩 73.0×117.0 第27回国画会展
盥舟 1954 72.5×116.5 第28回国画会展
鳩と青年 72.0×116.0 第1回現代日本美術展
遊泳 1955 72.5×116.5 第29回国画会展
二人 72.5×116.5 第3回日本国際美術展
砂上 1956 72.0×116.0 第30回国画会展
告別 1958 73.0×117.0 個展(フォルム画廊)
奇術 73.0×117.0
飛鳩 80.3×90.0 洋画商展
久原山 1963 90.0×60.0 個展(フォルム画廊)
雨後 1968 90.7×60.5
1969 89.6×59.3
秋収 90.0×60.0
彼岸花 1970 90.9×60.6
雪の朝 1974 91.0×47.5 香月泰男展(高島屋)

題名 制作年 寸法(cm) 備考
エトルタ 1974 90.0×60.0 香月泰男展(高島屋)
シャルトル 90.0×60.0
シベリア・シリーズ 《召集》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
1968 116.1×72.9 個展(フォルム画廊)
162.1×111.6 第8回現代日本美術展
《満州》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
雨<牛> 1948 72.9×116.1 第22回国画会展
1958 64.8×99.8 洋画商展
ホロンバイル 1960 72.8×116.7 第5回現代日本美術展
黒い太陽 1961 116.1×72.9 香月泰男展(高島屋)
朝陽 1965 90.9×60.6 個展(フォルム画廊)
1968 116.1×72.9
1969 72.9×116.1
72.9×116.1
青の太陽 162.1×111.6
1970 162.1×112.1
海拉爾 1973 72.7×116.7 個展(大阪フォルム画廊)
72.7×116.7
《敗戦》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
1945 1959 72.8×116.7 第4回現代日本美術展
北へ西へ 72.9×116.7 個展(フォルム画廊)
避難民 1960 72.8×116.7
湿地 1961 73.6×50.0 洋画商展
アムール 1962 162.1×112.0 第5回現代日本美術展
凍土 1965 112.0×162.0 第8回日本国際美術展
奉天(左) 1970 72.9×116.1 個展(フォルム画廊)
奉天(右) 72.9×116.1
業火 162.0×96.0
《虜囚》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
埋葬 1949 72.7×117.1 第23回国画会展
左官 1956 116.9×72.3 第2回現代日本美術展
乗客 1958 116.7×72.8 第3回現代日本美術展
運ぶ人 1960 72.8×116.7 第3回国際具象派展
穴掘人 72.8×116.7 個展(フォルム画廊)
1961 116.7×72.8 香月泰男展(高島屋)
涅槃 130.3×194.8 第6回日本国際美術展
1963 115.5×162.0 第7回日本国際美術展
窓<雪> 116.7×72.8 個展(フォルム画廊)
1964 72.8×116.7
72.8×116.7
神農 91.3×60.8
162.7×112.3 第6回現代日本美術展
1965 72.8×116.7 個展(フォルム画廊)
72.8×116.7
星<有刺鉄線> 1966 162.0×91.0 第7回現代日本美術展
凍河<エニセイ> 72.5×116.7 個展(フォルム画廊)
−35° 1971 162.0×96.0 第10回現代日本美術展
《望郷》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
冬<ペーチカ>海 1966 111.9×161.9 第7回現代日本美術展
私<マホルカ> 72.6×116.8 個展(フォルム画廊)
雪山 1972 116.7×73.0
絵の具箱 1973 112.1×162.1 個展(フォルム画廊)
月の出 1974 116.1×72.9 香月泰男展(高島屋)
日の出 116.1×72.9
《帰国》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
ダモイ 1959 72.8×116.7 個展(フォルム画廊)
ナホトカ 1961 116.7×72.8 香月泰男展(高島屋)
復員<タラップ> 1967 162.1×116.6 香月泰男、高山辰雄展(神奈川県立近代美術館)
バイカル 1971 162.0×111.0 第10回現代日本美術展
点呼(左) 73.0×117.0 個展(フォルム画廊)
点呼(右) 73.0×117.0
日本海 1972 97.5×194.0
デモ 1973 97.0×193.9 個展(フォルム画廊)
渚<ナホトカ> 1974 96.5×162.0 香月泰男展(高島屋)
《三隅》
題名 制作年 寸法(cm) 備考
<私の>地球 1968 111.6×162.1 第8回現代日本美術展
水彩
題名 制作年 寸法(cm)
1954 27.0×38.2
パリの屋根 1956 31.0×52.0
1958 39.4×27.3
ゑび 1964 52.0×31.0
巣鳩 52.0×31.0
リヴァーサイド・ドライブ 1966 45.5×30.5
天道虫 1967 52.0×31.0
ギリシャ 1972 45.5×30.5
グラン・カナリヤ 45.5×30.5
ドレド 45.5×30.5
版画
題名 制作年 寸法(cm) 備考
かたつむり(石版) 1969 56.3×38.4  
裸婦(石版) 1973 37.5×51.5 石版画集「裸婦」から
モロッコ婦人(石版) 57.5×43.0 石版画集「モロッコ」から
海辺にて(木版) 1974 45.7×35.0 木版画集「ニース」から
参考出品
題名 寸法(cm)
金網の中の自画像 33×20
オモチャ  
運ぶ人  
木を伐る男  
サーカス  
陶板
題名 制作年 寸法(cm)
1956 17.8×24.8
ギリシャ 1972 31.8×20.8
シベリアから持ち帰った絵具箱  

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