学習支援活動

「メアリー・カサット展」
 「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム 実施報告

日時
2016年10月22日(土)午後5時30分〜7時

会場
京都国立近代美術館 3階企画展示室

参加人数
99名

ナビゲーター
牧口千夏(当館主任研究員)
松山沙樹(当館特定研究員)
大村 菜生、平井 菊花(2016年度当館インターン)

 メアリー・カサット展には「母と子」や「家族」といった親しみやすい題材の作品が多く、親子で楽しく鑑賞するのにぴったりな展覧会です。一方で、美術館の利用について、子育て中のお父さんお母さんからは「子どもと一緒に美術館へ行きたいけれど、静かに鑑賞するのが難しく、他の来場者に迷惑をかけないか心配で…」といった声がよく聞かれます。

 こうしたことから、今回、「親子で一緒にカサット展の鑑賞を楽しんでもらうこと」そして「美術館がはじめての子どもたちに"美術館って面白い"と、美術館を身近に感じてもらうきっかけを作ること」を目的に、閉館後のメアリー・カサット展で、44組の親子を対象に一夜限りの鑑賞会を開催しました。

「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム

 この日が「美術館デビュー」の子どもたちにとっては、美術館での基本的なマナーを学ぶことも大切です。受付で配布したワークシートには「走らない」「作品にはさわらない」の文言を載せ、作品の安全を守ることの大切さを伝えます。
 さらに、通常は他の来場者への配慮から、静かに鑑賞するという「暗黙のルール」がありますが、この日は親子で楽しく鑑賞してもらうために、「たくさんおしゃべりしながら見よう」ということを"今日の約束事"として掲げました。

「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム ワークシート

 展示室では、それぞれの親子が思い思いのペースや順路で、作品との出会いを楽しみます。最初はおうちの方に手を引かれながら鑑賞していた子どもも、時間が経つにつれて「この絵が見たい」「次はあっちに行こう」と、大人をリードする頼もしい姿が見られました。
 また、子供たちの好奇心をくすぐるものは本物の作品だけに限りません。休憩用の椅子に寝そべって柔らかさを確かめたり、解説文が書かれた大きなバナーを揺らしてみたりと、からだ全体を使って美術館を楽しんでいる様子も印象的でした。

「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム

 展覧会を自由に見て回る一方で、「鑑賞をもっと深めたい」という親子のために、4つの作品の前ではナビゲーターと一緒に鑑賞するミニトークも開催しました。気軽に参加できるように各回10分程度とし、ツアー形式ではなく各自が自由に選んで参加できるようにしました。

 作品の前に座ってじっくり鑑賞ができるのも、閉館後のイベントの醍醐味のひとつ。
 「絵の中には何が見える?」「何をしているところかな?」「この人、笑っているのかな、それとも怒っているのかな?」「みんなが赤ちゃんをさわる時って、どんな風にさわる?」といったナビゲーターの問いかけに答えながら、鑑賞を楽しみました。
 トークを最後まで聞いた子どもには、インターンが用意した特製シールをプレゼント。ワークシートに貼りつけて、ふたたび展示室内を自由に観覧します。

「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム 「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム
「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム 「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム

 今回のイベントでは、閉館後の実施にしたことや、会話を推奨したことなど、美術館に来る親子連れにとっての不安要素のいくつかを取り除くことで、大人も子どももリラックスした状態で鑑賞できるような環境作りを心がけました。
 会場では、「優しそうなお母さんだよ」「この赤ちゃん、眠たそうじゃない?」と、カサットが描くお母さんや赤ちゃんの気持ちに思いを巡らせたり、作品の中から聞こえてきそうな会話を想像してみたりと、思い思いに鑑賞を楽しむ姿があちこちで見られました。
 このイベントが、参加された皆さんにとって作品鑑賞の楽しさを知る機会となり、またこの経験が、再び美術館に足を運ぶきっかけになれば嬉しく思います。

「メアリー・カサット展」「夜の美術館はドキドキ!?」キッズ・ナイト・ミュージアム

(当館特定研究員 松山沙樹)



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