学習支援活動

2014(平成26)年度 学習支援事業
10代のためのプロジェクト「美術館の放課後」 レポート

開催期間
8月1日(金)〜 9月11日(木)

会場
京都国立近代美術館 1Fロビー

レポート一覧
7月12日(土)・13日(日)
空間デザインワークショップ「わたしたちの空間デザイン計画」
8月1日(金)
レポート@「ワークルーム完成」
8月2日(土)
トークと郷土菓子試食「世界の郷土菓子をめぐる旅」
8月12日(火)
アニメーション制作ワークショップ「コマ撮りでつくる物語」
8月20日(水)
レポートA「コマ撮りアニメーションの動画が完成」
8月23日(土)
小説家によるワークショップ
8月23日(土)
レポートB「短編小説集が完成」


空間デザインワークショップ
「わたしたちの空間デザイン計画」(2014/7/12-13)

講師:ドット・アーキテクツ
   (家成俊勝氏、赤代武志氏、土井亘氏)

参加人数:1日目 7名
     2日目 11名

 7月12日、13日の2日間、当館1階ロビーでワークショップを行いました。このワークショップは、8月1日から始まる10代のためのプロジェクト、「美術館の放課後」の会場となる空間(通称「ワークルーム」)を、10代の目線でデザイン、設計する内容です。11名の参加者が協力し合って考えた空間デザインは、当ワークショップ講師の3人によって実際に作り上げられ、8月1日から当館1階ロビーで公開します。9月11日まで、どなたでも自由に滞在していただける空間です。

【1日目】
 自己紹介で緊張をほぐしたあと、「空間」をテーマにレクチャーを行いました。日頃気付かずに通り過ぎてしまうような、「空間」による様々な効果を映像とともに紹介しました。その後、「美術館の放課後」の主旨を説明し、何が必要か?という問いかけから色々な案を出し合いました。午後からは美術館の外に飛び出し、「平らなもの」、「段差」、「気持ちを変えるもの」など、午前中のディスカッションで出た要素を探すフィールドワークに出かけました。探したイメージは写真で記録におさめ、1日目の最後は、撮った写真を分類毎に模造紙に張り付けました。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画
わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

【2日目】
 2日目は、美術館のロビーの10分の1の大きさで、ワークルームの模型を作りました。ワークルームに必要な要素をひとつひとつ模型で作り、用途に応じてサイズを改めたり、配置を変えたりしました。また、実寸のワークルームを作る際に、必ずみんなのアイディアの元となる要素が含まれるように、一人一人に細かくヒアリングも行いました。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画
わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

 8月1日からご利用いただけるワークルームは、当ワークショップ参加者のアイディアのかたまりです。10代のみんなが協力し合って設計した空間を、是非ご覧ください。



レポート@
「ワークルーム完成」(2014/8/1)

8月1日、最後の仕上げを施して、「美術館の放課後」オープンしました。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

ワークルーム設置前のロビー

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

ワークルーム設置後

わたしたちの空間デザイン計画

椅子や写真、資料など徐々に増えていきました。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

 4本ある木は、会期中4回あるワークショップにそれぞれ関連しており、ワークショップの記録写真などが張り出される予定です。7月12日、13日に開催した空間デザインワークショップの様子は、実寸のワークルームの10分の1サイズで作った模型と一緒に紹介しています。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

 郷土菓子研究社のフリーペーパー、5月に発行された旅の記録『THE PASTRY COLLECTION』が閲覧可能です。奥には、空間デザインワークショップの講師3人が使ったかぶりものなども展示中です。

わたしたちの空間デザイン計画 わたしたちの空間デザイン計画

 小説家、藤野可織さんの著書5冊は自由にご覧いただけます。アニメーション作家、海上梓さんの映像作品もモニターで上映しています。

 ワークルームは、ワークショップの度に、日々使用する人によって、いつも変化します。当館にお越しの際は是非お立ち寄りください。



トークと郷土菓子試食
「世界の郷土菓子をめぐる旅」(2014/8/2)

講師:林 周作(郷土菓子研究社)

参加人数:朝の回 22名
     昼の回 21名

 8月2日は完成したワークルームではじめてワークショップを開催しました。講師は、郷土菓子をもとめてユーラシア大陸を自転車で旅をしている林周作さんです。まずは参加者同士、名前や出身地、好きなお菓子をひとつ加え、自己紹介をしました。

世界の郷土菓子をめぐる旅 世界の郷土菓子をめぐる旅

 そのあと、林さんが旅中に撮った職人たちのポートレートやお菓子の写真、お菓子の製造過程を写した動画などを交えながら、トークがはじまりました。旅に出ることになったきっかけ、1日3ユーロで過ごすために考えた旅のルールなどをはじめ、各国のお菓子の特徴やどのように作っているかなど、参加者がわかる食材などに言い替えながら話してくださいました。

世界の郷土菓子をめぐる旅 世界の郷土菓子をめぐる旅

パスポートや、レシピと郷土菓子の情報を書き留めた革張りのノートも見せながら旅の体験を話したあと、休憩時間をとって郷土菓子の試食を行いました。試食の際、クイズ形式でお菓子の中に含まれる材料を当てたり、4種類試食したお菓子の人気投票を行ったり、ワークショップで最も盛り上がった場面でした。そのあとは、参加者からの質問なども交えながらトークの続きを行いました。

世界の郷土菓子をめぐる旅 世界の郷土菓子をめぐる旅

 今回のワークショップでは参加者に課題として、心にのこる和菓子情報をひとつ持っていただきました。専用の記入用紙に和菓子情報を書きいれ、林さんの「日本の郷土菓子」のリサーチのための資料として役立てていただくことにしました。

世界の郷土菓子をめぐる旅

 ワークショップで試食した郷土菓子4種は、当館ミュージアムショップやカフェでも販売しています。是非、ご賞味ください。



アニメーション制作ワークショップ
「コマ撮りでつくる物語」(2014/8/12)

講師:海上 梓(アニメーション作家)

参加人数:朝の回 17名
     昼の回 15名

 ワークショップ第3弾では、コマ撮りでアニメーション制作を行いました。講師はNHKの「みんなのうた」や、テレビのコマーシャルでも作品を手掛けていらっしゃる海上梓さんです。まずは協同で作業する参加者全員の自己紹介を行いました。

コマ撮りでつくる物語

 次に、海上さんがご自身の映像作品を紹介しながら、コマ撮りの仕組みについて、また今回のワークショップではどんな方法でコマ撮りを行うのかなどについて説明がありました。

コマ撮りでつくる物語

 まずはアニメーションに登場するキャラクター作りです。午前の部は木材で、午後の部は紙で作りました。様々な形をした木の廃材を、ボンドで接着して別の形にしたり、色をつけたりしながらキャラクターを作りました。紙には自由にキャラクターを描き、一連の動作を3段階の動作分けて全部で3体作りました。

コマ撮りでつくる物語 コマ撮りでつくる物語
コマ撮りでつくる物語 コマ撮りでつくる物語
コマ撮りでつくる物語 コマ撮りでつくる物語

 次に撮影を行いました。撮影場所を決めて、動きによってキャラクターの移動するスピードを変えたり、回転させたり、変化が伴うたびに撮影しました。キャラクターを移動させては撮影する作業を100回以上繰り返しました。

コマ撮りでつくる物語 コマ撮りでつくる物語
コマ撮りでつくる物語 コマ撮りでつくる物語

 そのあと、撮影した写真を海上さんがコンピュータでつなぎ合わせ、仕上がったアニメーションを全員で鑑賞しました。自分が作ったキャラクターが登場したり、地道な撮影作業を体験したこともあり、映像に愛着が湧いた様子を伺えました。

コマ撮りでつくる物語

 音声を加えて編集した完成版は、近日のリポートで公開します。


レポート@「コマ撮りアニメーションの動画が完成」(2014/8/20)

 8月12日のワークショップで作成したアニメーションが、講師の海上梓さんの編集を経て、完成しました。ワークショップのレポートに掲載した写真と見ると、どの場面をどのように撮影したのか想像できておもしろいです。9月11日までの会期中、ワークルームのモニターでも公開しています。


小説家によるワークショップ(2014/8/23)

講師:藤野可織(小説家)

参加人数:1日目 16名

 ワークショップ第4弾では、小説家の藤野可織さんを講師に招き、短編小説を執筆しました。参加者同士の簡単な自己紹介のあと、藤野さんからワークショップで行う作業について説明がありました。

小説家によるワークショップ

 まず、藤野さんの短編小説から抜粋した8通りの冒頭の文章から、続きを書きたい文章を選びました。下記のような選択肢がありました。

@「やめようよ」と彼は言った。
Aとうとう悲劇が起きてぼくが駆けつけると、現場ではすでに
 みんな泣いていて、ぼくも泣き出さずにはいられなかった。
B世の中ってうまくいかないものよね、とあたしは思う。
C私はまだ、自分が十九歳の女の子だと思うことがある。
D本を読むのが遅いので、みんなに馬鹿にされている。
Eリサの母親は三十歳くらいで死んだので、リサは自分も
 そのあたりで死ぬだろうと思った。
F未来は、未来から来ました。
G自由

小説家によるワークショップ

 藤野さんは、一行目の始まり方次第でその小説が何人称で書くことができるのか、過去・未来・現在いつの話にすることができるのか、など色んな可能性について話してくださいました。

小説家によるワークショップ 小説家によるワークショップ

 最初の文章を決めた人から、そのあとに続く2〜3行の物語を書きました。その次に、自分以外の参加者と藤野さんの16名が、ランダムに小説に文章を書きこんでいきました。文章を考える前に、前の文章がどんな展開になっているかなどをしっかりわかっておく必要があったので、みんな真剣な表情で小説に向き合っていました。作業に入る前に、藤野さんは文法的な間違いや理解が困難な表現があってもそれを間違いとせず、「意識的なミスリード」として捉えるとおもしろいなど、協同で書きあげる小説の執筆がより楽しくなるようなアドバイスもしてくださいました。

小説家によるワークショップ 小説家によるワークショップ

 全員分のシャッフルが終わったあと、自分のもとに戻ってきた小説は、他人の作り上げた文章で想像もしていなかった展開になっていた人が多かったようですが、みんな思い思いの結末の文章をつけたしました。できあがった小説には、タイトルもつけました。
 書くスピードが速い人と遅い人がいるなら、特に速い人は時間を持て余すことも多かったのにも関わらず、根気強く全員が短編小説の執筆に参加し、全員が完成させることができました。
 作業が終わると、参加者のワークショップでの体験について感想を聞き、最後に藤野さんから参加者へメッセージが送られました。

小説家によるワークショップ 小説家によるワークショップ
小説家によるワークショップ

 藤野さんと含む17名の短編小説は、近日中に短編小説集にしてウェブサイトに公開します。


レポートB「短編小説集が完成」(2014/8/23)

 8月23日のワークショップで参加者が書いた短編小説をまとめた、短編小説集が完成しました。ミステリーや恋愛、さまざまな物語が17編あります。是非ご覧ください。

(当館研究補佐員 朴鈴子)



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