コレクション・ギャラリー

平成28年度 第6回コレクション展 (計142点)

会期

2017(平成29)年2月15日(水)〜4月16日(日)

概説

 今年度最後のコレクション展となる今回は、所蔵作品の中から、当館のコレクションの核となるものや近年の収蔵作品を中心に展示しています。

 コレクション・ギャラリー入口すぐのエリアでは、「抽象への道」と題し、3階企画展会場で同時期に開催する「endless 山田正亮の絵画」展に関連した展示を行っています。山田正亮は、瓶や鉢そして果物を描いた静物画から、対象物のフォルムと色を抽出して再構成することで、ストライプという抽象表現へと辿り着きました。このような具象から抽象への移行の仕方は、画家によってさまざまです。ここでは、木立や枝振りそして水面の波の具象表現から直線と三原色による色面構成へと辿り着いたピエト・モンドリアン、具象的な対象物を非慣習的な結びつきのもとに描くシュールレアリスム的作風から、構成主義を経て、激しい筆致を際立たせることで画面に身体性を取り込もうとした吉原治良の事例を、当館の所蔵品で紹介します。

ピエト・モンドリアン《コンポジション No. 1》1929年
ピエト・モンドリアン《コンポジション No. 1》1929年

 日本画のセクションでは、まず、昨年末に没した前衛的日本画家不動茂弥の追悼展示を行っています。不動は1928(昭和3)年淡路島に生まれ、戦争直後の1948(昭和23)年に京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)日本画学科を卒業しました。そして同年、新たな日本画さらには芸術の表現方法を求めて、三上誠や山崎隆、星野眞吾そして八木一夫らとパンリアルを結成します。翌年には、下村良之介や大野俶嵩らを加え、日本画学科卒業生のみでパンリアル美術協会を発足させ、毎年展覧会を開催して作品を世に問い続けました(74年退会)。不動による、構成主義的な構図や抽象表現の導入や、セメントや砂利、木屑など、およそ日本画には相応しくない素材の導入は、あらゆる側面から「日本画」という存在を問い続ける試みに他なりません。その果敢な挑戦の軌跡を、本展示を通してご覧頂きます。また同時に、「早春の日本画」と題したコーナーでは、椿や梅が描かれた作品を中心に、季節を感じられる展示も行っています。

 「海と時間」と題したコーナーでは、前回のコレクション展に引き続き、数字が点滅するLEDのデジタルカウンターを用いた宮島達男によるインスタレーション作品をご紹介するとともに、ドミニク・ゴンザレス=フォルステルの映像作品《最初から》を展示しています。この映像作品は、本人が過去にヴィネツィア・ビエンナーレに出品した作品とその展示の実現を振り返りながら、創作の苦悩について赤裸々に語る、という内容です。思索と時間が不可分の関係であることを示唆する両作品からは、クリックひとつで解答を得ようとしがちな現代の風潮への批判が感じられます。

 工芸のセクションでは、近年収蔵した漆工作品と河井寛次郎の陶芸作品をご紹介しています。平安蒔絵作品の最高峰のひとつ《国宝仁和寺蔵冊子筥》を忠実に再現した六角紫水の作品から、琳派の流れを汲む神坂雪佳・祐吉兄弟による手元箪笥、1920年代に西欧で流行したアール・デコ風の装飾を施した番浦省吾の衝立、さらには通常木地を用いる支持体にアクリルのような現代的素材を果敢に用いた鈴木雅也のオブジェまで、漆による多彩な表現をご堪能下さい。また、河井寛次郎の作品では、1957(昭和32)年にミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞した《白地草花絵扁壺》を中心に、同時代の代表作の数々をご紹介しています。

番浦省吾《秋之夜蒔絵棚》1930年
番浦省吾 《秋之夜蒔絵棚》1930年

 洋画のセクションでも、安井曽太郎《婦人像》や梅原龍三郎《雲中天壇》といった当館コレクションを代表する洋画の名品をご覧いただきます。

安井曽太郎《婦人像》1930年
安井曽太郎《婦人像》1930年

 さらに、当館コレクションの中核のひとつである長谷川潔による版画作品を、久しぶりにまとめてご紹介しています。当館の長谷川潔コレクションは、全て作家自らが吟味したエディションからなっていることに大きな特徴があります。今回の展示では、彼が好んだ風景や静物のモティーフを網羅するように努めるとともに、エディションの素晴らしさと版画技法による表現の違いがわかるよう配慮しました。マニエール・ノワールに結実する長谷川作品の静謐な詩情をお楽しみ頂けると幸いです。

主なテーマ

  • 抽象への道
  • 追悼:不動茂弥
  • 早春の日本画
  • 海と時間
  • 漆工:近年の収蔵品を中心に
  • 河井ェ次郎作品選――川勝コレクションより
  • 近年洋画の名品
  • 長谷川潔の詩的世界
  • 常設屋外彫刻

展示作品


このページの先頭へ