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写真の〈原点〉再考―ヘンリー・F・トルボット『自然の鉛筆』から

シンポジウム「写真の複数の〈原点〉―複写・複製・写し」

キュレトリアル・スタディズ10
 写真の〈原点〉再考―ヘンリー・F・トルボット『自然の鉛筆』から

 シンポジウム「写真の複数の〈原点〉―複写・複製・写し」



 このシンポジウムでは、『自然の鉛筆』(1844-46年)を出発点として、「写真の原点」について考えます。その〈原点〉は、〈写真の歴史〉の直線的な流れの発端にある過去の一地点ではありません。それはむしろ、写真が撮影されたり眺められたりするその都度、繰り返しそこに立ち現れてくる何かだというべきでしょう。
 実際、トルボットが写真術のアイディアをはじめて得たときのあの有名なエピソード-コモ湖畔の美しい風景をスケッチしようとしたときのエピソード-は、現代の私たちがごく日常的に行っている撮影行為の根源にある衝動をダイレクトに指し示してくれているようにも思えます。
 もちろん、トルボットはすぐに〈カメラ〉を使った撮影に成功したわけではなく、まずは、植物の葉のような平らな物体を印画紙に密着させ直接焼き付ける方法を見出すことからその探究を開始しました-そして、それがまさに「植物の葉」であったことは偶然の選択ではなかったはずです。植物と植物学に深い関心を持ち、植物標本にも親しんでいたトルボットのような人間にとって、実物大の本物そっくりの植物の像を写し取り、さらにそれを仲間たちと〈シェア〉することはきわめて重要なことだったからです。そこにも、SNS時代の写真の用法にも通じる何かがすでに感じ取れます。
 本シンポジウムでは、フォックス・トルボット・ミュージアムの元館長で、『自然の鉛筆』のファクシミリ版の出版という経験も持つマイケル・グレイ氏をイギリスからお招きし、『自然の鉛筆』およびその復刻にまつわる問題を具体的に検証するとともに、カメラ・オブスクラ・ドローイングを断続的に試みるなど、写真の根源を常に顧みつつ新たな写真表現を探り続けてきた写真家・畠山直哉氏をお招きし、〈写真の原点〉をさまざまな角度から探っていきたいと思います。

日時
2016年3月5日(土) 午後2時~4時

会場
京都国立近代美術館 講堂

定員
先着100席 聴講無料 逐次通訳付き
(当日午後1時から1階インフォメーションにて整理券を配布します。)

登壇
マイケル・グレイ(元フォックス・トルボット・ミュージアム館長)
畠山直哉(写真家)
青山 勝(本展共同企画者、『自然の鉛筆』訳者 *AKAAKAより2016年1月刊行予定

司会進行
佐藤守弘(京都精華大学教授)

協力
科学研究費(基盤研究A)「現代美術の保存と修復」

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