コレクション・ギャラリー

平成27年度 第4回コレクション展(計235点)

会期
2015(平成27)年10月7日(水)〜 12月6日(日)
前期:10月7日(水)〜 11月8日(日)
後期:11月10日(火)〜 12月6日(日)

概説

 今年度第4回目となるコレクション展では、「キュレトリアル・スタディズ09」と「特集展示:京都の工芸」のほか、様々なテーマに基づく展示を行っています。
 「キュレトリアル・スタディズ」とは、当館の研究員が中心となり、アーティストや研究者など第三者と協力しつつ、ひとつのテーマに取り組んだ成果を公開する小企画展です。今回は、ウィーンに生まれウィーン工房で活躍した後、京都でもデザイン活動とデザイン教育に携わった上野リチのテキスタイル・デザインを、ウィーン関連の作品・資料を数多く所蔵する大阪新美術館建設準備室の協力を得て、包括的に紹介します。
 当館では、1998(平成10)年と2001(平成13)年に、京都の近代工芸黎明期から揺籃期、そして「工芸」そのものが大きく変貌を遂げた戦後から現代にいたる流れを紹介した「京都の工芸」展を開催しました。「特集:京都の工芸」では、同展に出品された陶芸・染織・漆芸の優品により、近現代の京都の工芸の多様性を改めて検証します。
 3階企画展会場では同時期に「琳派イメージ」展が開催されていますが、その最後の章「広がる琳派イメージ」では、アンリ・マティスの切り絵版画『JAZZ(ジャズ)』が紹介されています。マティスは自らの芸術の中心に「装飾(性)」を据えていましたが、ここで言う「装飾」は単なる「飾り」ではありません。彼は、色彩や線といった造形要素が絵画の主題に従属するのではなく、それと呼応しながら画面の中を躍動する状態を「装飾性」に求めました。その結果、画面はイリュージョンとしての三次元性を失い、色や線がうごめく平面と化します。その究極の姿が『JAZZ』のような切り絵作品です。そこに至る試行錯誤を、絵画や版画そして挿絵本を通してご覧いただきます。

   アンリ・マティス《鏡の前の青いドレス》1937年
   アンリ・マティス
   《鏡の前の青いドレス》1937年

 日本画のセクションでは、水墨画を特集しています。水墨画とは、淡く彩色を施すことはあっても、「墨」による表現を主体とした絵画を指しますが、歴史的には南画ないし文人画と呼ばれてきました。南画は中国の南宋画に由来しますが、その画法と文人精神への憧憬が特に江戸中期以降に日本で広まり、池大雅・与謝野蕪村が日本独自の南画表現を大成します。江戸後期には浦上玉堂や田能村竹田らを中心に一大流派となりますが、表現のマンネリ化から、明治時代には岡倉天心によって「つくね芋山水」の旧派として排除されました。富岡鉄斎を筆頭に、山口八九子や水越松南など、今回ご紹介している多くの画家は、近代における南画の復権に尽力した人々です。その多彩な成果を、前期・後期の二回に分けてご紹介します。

   富岡鉄斎《艤槎図》1924年   富岡鉄斎《夏景山水図》1912年
  富岡鉄斎《艤槎図》1924年    富岡鉄斎《夏景山水図》1912年

 洋画のセクションでは、今年100回目の節目を迎える二科展を採り上げました。二科展とは、1914(大正3)年に、官展である文展の審査に不満を抱いた画家たちが、独自に在野の美術団体として結成した「二科会」が主催する展覧会のことです。独立展や行動展など後に続く公募展の揺籃となった二科展への出品作の系譜を、当館所蔵作品で辿ります。

   小出楢重《横たわる裸女(B)》1928年
   小出楢重《横たわる裸女(B)》1928年

 今年で、第二次世界大戦が終結して70年になります。様々な美術館でこの節目の年に関連した展示が行われてきましたが、当館でも「ぼくらの戦争体験」と題し、アーティストたちがどのように戦争と対峙したのかを、その表現の中に探ります。ロバート・キャパやW・ユージン・スミスは従軍カメラマンとして、直接戦場へと赴きました。浜田知明や香月泰男の作品には、徴兵先の軍隊での経験やシベリア抑留体験が色濃く表れています。またダダ運動の重要な担い手の一人であったドイツのハンナ・ヘッヒは、ナチス政権下において、退廃芸術家として作家活動が許されず、国内亡命を余儀なくされました。そしてイタリアの前衛芸術家グループ「未来派」による雑誌やマニフェストなどの資料は、元来自由な芸術活動が、全体主義に覆われつつある社会において妥協を余儀なくされていく(もしくは積極的妥協の)様を提示し、今日的示唆に富んでいます。

主なテーマ
キュレトリアル・スタディズ09:
上野リチのテキスタイル・デザイン〜ウィーン工房から京都へ
マティスの絵画と版画
近代の水墨画
ぼくらの戦争体験
特集展示:京都の工芸
二科展の出品作
常設屋外彫刻

展示作品
平成27年度 第4回コレクション展 展示目録(前期)
平成27年度 第4回コレクション展 展示目録(後期)

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