コレクション・ギャラリー

平成27年度 第3回コレクション展(計171点)

会期
2015(平成27)年8月19日(水)〜 10月4日(日)

概説

 今年度3回目となるコレクション展では、二つの特集展示を行っています。
 まず特集展示1として、鳰川誠一の作品をご紹介します。鳰川誠一は1897(明治30)年に千葉県茂原市に生まれ、絵を独学した後、1933(昭和8)年に《果物籠ノアル静物》で第3回独立展に初入選し、以後戦中戦後を通じ同展を中心に活動を続けました。晩年にはベルギーやメキシコで個展を開催するなど国際的にも活躍の場を広げましたが、1983(昭和58)年に病のためその生涯を閉じます。鳰川は、油彩と墨による混合技法を駆使し、支持体にも和紙を貼り込んだカンバスを用いるなど、作品において西洋と東洋の融合を目指しました。その試行錯誤は、今年度寄贈を受けた120点の多彩な素描作品にも顕著です。またそこからは、東洋的精神性を内包するジョルジュ・ルオーやマルク・シャガールの作品との親近性をも感じ取ることができるでしょう。そこで今回は、本特集展示に併せて、ルオーとシャガールの絵画ならびに版画作品も展示しました。
 特集展示2では、2013(平成25)年に惜しくもこの世を去った堂本尚郎の作品を採り上げています。堂本尚郎は、著名な日本画家堂本印象の甥として1928(昭和3)年に京都市に生まれました。京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)では日本画を学び、在学中に日展に入選、弱冠23歳で日展特選となり将来を嘱望されます。しかし1955(昭和30)年の渡仏を期に油彩画の制作を始め、アンフォルメル運動に刺激を受けて独自の抽象画へと進んでいきました。以前からの収蔵作品に、昨年度購入した最晩年の「蓮」シリーズを加え、ひとつの画風に安住することなく、生涯を通じて華麗な変貌を遂げ続けた堂本の画業を改めて振り返ります。
 日本画のセクションでは、「初秋の日本画」と題した展示を行っています。平井楳仙《日盛り》や金田和郎《葡萄図》に描かれたたわわに実る葡萄、稲垣仲静の描く猛々しい鶏頭と徳岡神泉の描く可憐な鶏頭、台風の季節を捉えた岡本宇太郎《暴風雨の後》、そして山田文厚が描く秋の月。いまだ晩夏の気配をわずかに残す、多彩な初秋の雰囲気をお楽しみ下さい。

   金田和郎《葡萄図》1919年
   金田和郎《葡萄図》1919年

 ルオー《流れる星のサーカス》とシャガール《死せる魂》、コレクション・ギャラリー入口近くに展示されているこの二つの作品は、元来「本」として出版されたものです。しかしそこにはテキストともに、その挿図の役割を担いつつも、独立した版画作品が収められており、ここではそれらが額装して展示されています。はたしてこれらは、「本」なのか「美術作品」なのか?「アーティスト+ブックス(これは図書です)」では、アーティストと表現媒体の関係を、「本」をキーワードに探ります。
 工芸のセクションでは、同時期に3階企画展会場で開催している「栗木達介展」に関連し「富本憲吉と加守田章二」と題した展示を行っています。栗木は京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で富本に師事し、同じ専攻の先輩に加守田がいました。作風が全く異なる二人の先達から栗木は何を継承し、そして何を新たに創造したのか。3階の展覧会と併せてご覧頂くことで、戦後京都の陶芸の一側面がより明確に浮かび上がることでしょう。
 河井ェ次郎のコーナーでは、制作から約20年後の1957(昭和32)年にミラノ・トリエンナーレ国際工芸展でグランプリを受賞した代表作《白地草花絵扁壺》を中心に、1940年前後の作品を採り上げました。この時期は、河井が、深く関わった民芸運動から、戦後の簡素ながらも奔放な独自の造形へと転換していく過渡期にあたっています。矩体のキュビスム的造形や、同一フォルムにおける多様な釉薬や文様など、新たな方向性を求める河井の実験をご覧下さい。

   河井ェ次郎《白地草花絵扁壺》1939年
 河井ェ次郎《白地草花絵扁壺》1939年

主なテーマ
特集展示1 受贈記念 鳰川誠一
ルオーとシャガールの絵画と版画
初秋の日本画
アーティスト+ブックス(これは図書です)
富本憲吉と加守田章二
河井ェ次郎作品選 ―川勝コレクションより
特集展示2 堂本尚郎
常設屋外彫刻

展示作品
平成27年度 第3回コレクション展 展示目録

NHK「日曜美術館」40年記念キャンペーンへの参加について

NHK40 本展会場では、「日曜美術館」の放送開始40年を記念した、NHK「みつけよう、美」キャンペーンの一環として、「富本憲吉と加守田章二」のコーナーで、富本の金銀彩に関する映像を上映しています。

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