コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第3回展示(計134点)

会期
2014年7月16日(水)〜 8月31日(日)

概説

 今年度第3回となるコレクション展では、7月19日(土)から8月24日(日)まで3階企画展示室で開催される「うるしの近代」展や、夏の季節に関連するテーマの作品を紹介するとともに、3年ぶりに「キュレトリアル・スタディズ06」と題した展示を行っています。
 会場を入ってすぐに展示されているのは、当館コレクションを代表するピカソの《静物−パレット、燭台、ミノタウロスの頭部》です。当館は、国内外の美術館の展覧会活動に積極的に協力し数多くの所蔵作品を貸与していますが、本作品も、今年2月10日から5月11日までマドリードのマフレ財団美術館で開催された「アトリエのピカソ」展に出品されました。今回は、ピカソの様々な時代の版画も併せて展示することで、戦前のキュビスムから戦後の具象的表現にいたる表現方法の変遷をコンパクトにご覧いただきます。続くエリアには、山崎隆《戦地の印象》や秦テルヲ《戦中絵日記》といった、第二次世界大戦中に描かれた日本画の作品が並びます。ナチス・ドイツによるスペインの小村への爆撃破壊行為とそのような状況を生み出した世界に抗議するために制作された、ピカソの代表作《ゲルニカ》の習作連作のひとつである《静物−パレット、燭台、ミノタウロスの頭部》とともに、夏のこの時期、芸術と戦争の関係についてあらためて考えるきっかけになれば幸いです。
 日本画では、さらに夏の情景を主題にした作品を展示しています。そのうち林司馬は、土田麦僊の山南塾に学び、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)卒業後は、国画創作協会展などで活躍するものの、戦後は母校で教鞭をとる傍ら法隆寺金堂壁画など数々の模写事業に従事したことで知られています。古きに学ぶ大切さは、「うるしの近代」展に見られる漆と琳派の関係にも通じるものと言えるでしょう。
 続いて写真/版画の展示エリアでは、W・ユージン・スミスと井田照一の作品をご紹介しています。第二次世界大戦の戦場や水俣の公害の写真で知られるユージン・スミスですが、今回はピッツバーグのシリーズを展示しています。それらには、近代化の花形産業である鉄鋼業で栄えたピッツバーグの情景とそこに生きる市井の人々の姿が、漆黒の闇と光の強烈な対比の中に写し取られています。井田照一は、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で西洋画を学びましたが、在学中から独習で石版画(リトグラフ)を手がけ、終生それを制作技法の基盤とし続けました。今回は、1970年代の代表的なシリーズ「In Front Of, In Back Of」をご紹介しています。ミケランジェロを含む11人の芸術家を主題としたこの作品は、併せて展示されている、明らかにデュシャンを引用した作品とともに、「版画」が「複製芸術」であることを踏まえ、オリジナルとコピーの関係そしてそこに生じるイメージの揺らぎを、洗練された技法で顕在化させています。そこには、なおも無自覚に繰り返される歴史的芸術作品の引用や、身体や物質との関係を直接的・具体的に表現することに重点をおいた1960年代の芸術の動向に対する、井田の批評的意識を見て取ることができます。
 工芸のエリアでは、いわゆる「民藝運動」に関わった人々、陶芸家の河井寛次郎や浜田庄司そして富本憲吉、染織の芹沢_介、漆芸家の黒田辰秋の作品を展示しています。英国のアーツ・アンド・クラフツ運動に触発された彼らは、手仕事を通じて「工芸」を近代化から人間的生活に取り戻すことをモットーに作品を制作しました。漆芸に関わる人々が近代化と格闘する軌跡を追った「うるしの近代」展では紹介することができなかった、「工芸」のもうひとつの動向をこの展示でご覧下さい。また、夏の時期に相応しく、海外の作家によるガラス作品もご紹介しています。
 最後に、スカイライトのある部屋とその前のエリアでは、今回が6回目となる「キュレトリアル・スタディズ」を開催しています。「キュレトリアル・スタディズ」は、当館研究員があるテーマに基づき内外の研究者やアーティストと協働し、その調査・研究の成果を公開している企画ですが、今回は具体美術協会会員であったヨシダミノルの絵画作品を特集しています。さらにこの企画に併せて、当館が所蔵している吉原治良をはじめとする具体美術協会会員の作品もご紹介しています。これら二つについては、別途パネルを掲示しましたので、詳しい内容はそちらをご覧下さい。

主なテーマ
パブロ・ピカソの絵画と版画
夏の日本画
漆黒の写真たち:W. ユージン・スミス《ピッツバーグ》
井田照一・1970年代の版画
「工芸」と民藝
現代のガラス
「具体」の作家たち:近年収蔵作品を中心に
キュレトリアル・スタディズ06:ヨシダミノルの絵画 1964-1967
屋外彫刻

展示作品
コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第3回展示 展示目録

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