コレクション・ギャラリー

コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第1回展示(計114点)

会期

2014年3月21日(金)〜 5月11日(日)

概説

 今年度第1回となるコレクション展では、同時期に3F企画展示室で開催中の「日本ファッション:不連続の連続」展と、同じ4Fコレクション・ギャラリーで開催中の「チェコの映画ポスター」展に関連する展示を数多く行っています。
 会場入口すぐの場所には、2013(平成25)年に購入したマックス・エルンストとフランシス・ピカビアの作品を展示しています。当館は、マルセル・デュシャンの《泉》に代表されるレディ・メイドやハンナ・ヘッヒそしてクルト・シュヴィッタースなどのコラージュ作品といった前衛芸術運動ダダに関わる作品を数多く収蔵していますが、そこにデュシャンの盟友ピカビアの貴重なダダ時代の水彩・ドローイング作品と、ダダからシュルレアリスムへの移行期にあたるエルンストの油彩画が加わりました。特にエルンストの作品は、コラージュの手法を駆使し幻想的な作風を築き上げた「チェコの映画ポスター」作家たちに大きな影響を与えており、例えばヒッチコックの映画『鳥』のためのポスターには、エルンストの作品《花嫁の衣装》(1939年)の人物群がそのまま引用されています。

 フランシス・ピカビア《アストロラーブ》
フランシス・ピカビア
《アストロラーブ》1922年頃


 日本画では、今年生誕120年を迎える甲斐庄楠音の作品を特集しました。国画創作協会展で本格的にデビューした甲斐庄楠音ですが、その退廃的作風ゆえに土田麦僊から「穢い絵」と批判されたことは有名です。しかし女の情念や業を生々しく描いた彼の作品は、同世代の岡本神草らの作品とともに、大正から昭和初めにかけて一世を風靡し、芸術のひとつの時代の流れを作り出しました。また彼は、衣笠貞之助や溝口健二といった映画監督に美術や衣裳の分野で協力し、衣裳を担当した溝口健二監督『雨月物語』では、アカデミー賞の衣裳部門でノミネートされてもいます。

 甲斐庄楠音《裸婦》
甲斐庄楠音《裸婦》1921年頃


 写真のコーナーでは、都築響一によるシリーズ「着倒れ方丈記」をご紹介しています。そこに写されているのは、生活の全てをある特定のファッション・ブランドの収集に捧げた「Victim(犠牲者)」の、しかし自らが愛するファッションに埋没するように囲まれた「Happy(幸せな)」な姿です。それぞれのブランドの洗練されコントロールされたショーやショップで見られるファッションの影に隠れた彼らの存在が、実は「日本ファッション」産業を支えていることを、これらの写真は教えてくれます。
 「ファッション」になくてはならない素材にテキスタイルがあります。様々な染めや織り、さらには刺繍などの技術を駆使したテキスタイル、さらにはファイバーそのものを、「ファッション」は素材として貪欲に活用してきました。工芸のコーナーでは、そのテキスタイルまたはファイバー・ワークの分野で、伝統的な技法を踏まえつつも、欧米や日本で新たな表現様式を模索した1960年代以降の染織の作品群をご覧ください。
 人間と動物の一番大きな違いは「衣服」の有無だと言われています。「服を着る」さらには「ファッションを纏う」ことは、つまり人間の生存に関わる問題であり、「服を着る」ことで人は常に自らの身体を意識することになります。そのことをテーマにしたのが、今回の「日本ファッション」展同様に、京都服飾文化財団と共催で1999年に開催した「身体の夢」展でした。今回はその出品作家の中から、工芸のコーナーではアントネッラ・ピエモンテーゼの作品を、現代美術のコーナーではピピロッティ・リストとルーシー・オルタの作品をご紹介しています。衣服と身体の直接的な関係性を批判的に問うピエモンテーゼとオルタの作品、医療現場に関わる分娩や内視鏡検査と自らの身体や生活との関係性を詩的に問うリストの作品が、「ファッション」の根底にある問題や意義を見つめるきっかけになれば幸いです。
 洋画のコーナーでは、昨年度に引き続き今年度も、当館のコレクションの優品を時代を追ってご紹介していきます。今回は、第二次世界大戦後の混乱の時機に、ニューヨークやパリの動向に学びつつ、新たな抽象表現を模索した難波田龍起や猪熊弦一郎、さらには菅井汲や山口薫らの作品をご覧いただきます。


主なテーマ

エルンストとピカビア―平成25年度新収蔵品を中心に
生誕120年 甲斐庄楠音特集
特集展示:都築響一〈着倒れ方丈記〉
1960年代以降の染と織
戦後美術の出発-戦前から活動を始め、戦後美術を牽引した第一世代
現代美術:私的防災計画
屋外彫刻


展示作品

コレクション・ギャラリー 2014(平成26)年度 第1回展示 展示目録


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