作家略歴

加納光於 かのう・みつお

東京に生まれる。13歳頃に胸を病み、中学を中退して自宅で療養する。フランス近代詩、特にランボーを耽読する一方、鉱物、植物、化学実験に関心を寄せる。19歳の時、古書店で今純三著『版画の新技法』を偶然手にとり、銅版画に興味をもち、独学で銅版画をはじめる。1956年には瀧口修造の推挙により、神田のタケミヤ画廊で初めての個展を開催する。1950年代後半より、既成の銅版画の技法ではない、版上で防蝕剤を操る独自の手法で、博物誌的な印象を与える作品を制作、精力的に個展を開催する。1960年代半ばになると、線によって表象される具体的な形が崩れ、色が出現する。バーナーで焼いて凹凸をつけた亜鉛合金を版とするメタルプリントの連作≪ソルダード・ブルー≫を制作し、ここに初めてコバルト・ブルーの色彩が表れる。熔けた金属が冷えていく瞬間の色のかがやき、瞬時に消え去った色彩のダイナミズムを表現したい、と同様の技法で一版多色刷りの《半島状の!》連作に展開する。1979年、瀧口修造の死と前後して、デカルコマニー(転写画)の作品制作を行っていた彼の仕事を引き継ぐかのように、また画材としての蜜蝋へのこだわりから発展して油絵具への関心を深めたこともあり、デカルコマニーの性質をおびた油彩画の作品制作をはじめる。創作は、版画、油彩、造本、装幀、オブジェなど多岐にわたり、詩的・文学的ともいえるタイトルは作品と反応しあう。

1933年(昭和8)−

1933年東京に生まれる
1955年銅版画集『植物』を自家出版
1956年初個展(タケミヤ画廊、東京)
1959年第5回サンパウロ・ビエンナーレ展(ブラジル)出品、以降第6、7、9回展出品、
第3回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展(リュブリアナ、旧ユーゴスラビア)出品、
リュブリアナ近代美術館賞受賞、以降第4−8回展連続出品、第8回展にて買上賞受賞
1961年第6回日本国際美術展(東京都美術館)出品、優秀賞受賞
以降、第7、8、9回(1963、65、67年)出品、第8回展にて優秀賞受賞
1962年第3回東京国際版画ビエンナーレ展出品、国立近代美術館賞受賞、以降第4、5、6、11回出品
1965年「現代美術の動向 絵画と彫塑」展(国立近代美術館京都分館)出品
1966年第1回クラクフ国際版画ビエンナーレ展(クラクフ、ポーランド)出品
1968年ジャパンソサエティ招聘によりヨーロッパ経由でアメリカ、メキシコを旅行し1969年帰国
1970年第2回英国国際版画ビエンナーレ展出品
1978年第4回インド・トリエンナーレ展出品
1980年個展「加納光於の版画―瀧口修造とともに―」(福岡市美術館)
「現代版画の一断面」(東京都美術館)出品
1981年「1960年代―現代美術の転換期」(東京国立近代美術館)出品
1983年個展「加納光於 PAINTINGS '80- '83」(北九州市立美術館)
1988年個展「加納光於1977-1987『版画』強い水―夢のパピルス」(O美術館、東京)
1990年個展「加納光於初期銅版画展」(北九州市立美術館)
1993年個展「『色彩』としてのスフィンクス―加納光於 KANO mitsuo 1960-1992」
(セゾン美術館、東京)
2000年個展「加納光於展」(愛知県美術館)
2012年個展「加納光於展」(大分市美術館)

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