コレクション・ギャラリー

平成18年度 第13回コレクション・ギャラリー(計119点)

期間
平成19年2月27日(火)〜4月8日(日)

主なテーマ
【特集展示】日本画革新の動き
【特集展示】現代ジュエリーの諸相―metaphor in mobility
【西洋美術】海外の近代美術
【小企画】 戦後の具象絵画

展示作品
平成18年度 第13回コレクション・ギャラリー 展示目録

特集展示 「日本画革新の動き」

2007年2月27日(火)〜4月8日(日)

今回のコレクション・ギャラリーでは、「戦後の具象絵画」と題して、洋画と日本画における「具象」表現に注目した作品を選び、紹介しています。

そして風景や静物、人物など、具体的な対象を描いた「具象絵画」とともに、他方では、画家の内面にわき起こるイメージなどを表現した「抽象絵画」と呼ばれる領域も知られています。しかしながら「抽象絵画」といえば、一般には、油彩による「洋画」作品について語られることが多いのではないでしょうか。

ところが、「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」展を開催した際、コレクション・ギャラリーの小企画「コレクションに見る日本画と洋画のはざま」でも取り上げたように、戦前・戦後には、日本画の世界においても、それまでの伝統的な「具象」表現を超え、新たな創造を目指そうとした革新的な動きが生まれました。

1938(昭和13)年に結成された歴程美術協会、さらに戦後、1949(昭和24)年に結成された「パンリアル美術協会」が、その「日本画革新の動き」を象徴する、もっとも興味深い動向といえるでしょう。

それまでの「因襲的な思想と技術を拒否し、造形芸術の本質に立ち返り、反省と再出発を自覚し」という明確な理念を掲げ、「日本画の前衛」ともいうべき活動を展開したのが、1938(昭和13)年に結成された歴程美術協会です。歴程は、その機関誌『歴程美術』第1号にも、モホリ=ナジの「アメリカに新バウハウスに就いて」という一文を翻訳掲載するなど、日本画における「前衛表現」のみならず、ジャンルを超えた表現領域とも連動をはかろうと企てた、まさに革新的な絵画集団でした。

実際、この歴程の展覧会には、丸木位里や山崎 隆、山岡良文といった「前衛」を標榜する日本画作品はいうまでもなく、八木一夫の陶芸作品、フォトグラムによる写真作品、あるいは染織といった室内装飾、商業美術や安達流の盛花なども出品され、ジャンルを超えた諸芸術の綜合化の様相を呈していました。歴程の第1回展における『芳名録』には、靉光や山口 薫、村井正誠などの名も記されています。

そして、この歴程の革新的な理念が、さらに戦後にも継承された活動として、1949(昭和24)年に結成された「パンリアル美術協会」を挙げることができるでしょう。「温床をぶち壊せ・・・・自由な芸術の芽生えを育てよう」と宣言する同協会は、「日本画と洋画のはざま」さえも超え出ようとする、さらに鮮明な理念と実践とが具体化されていました。このコーナーでも紹介するように、下村良之介や三上 誠の最初期のキュビスム風の作例、さらには三上 誠の《作品 1964−は》や不動茂弥の《別れぎわ》ほか、もはや新たな造形表現としか名づけられない作品群が、次々と生み出されてゆきました。

(主任研究員・山野英嗣)


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