異色肌ギャル

「ウェット&メッシー」、つまり相手の着ている服をびしょびしょにしたり、いろんなもので汚したり、自分も汚れたりして遊ぶフェティッシュ・シーンを取材していたとき、マニアでもあり写真係でもあった「ラマスキー」と知り合った。趣味としてのメッシー道を追求しつつ、「メッシー・ディクショナリー」というwebサイトを運営。肌に優しい泥やペイントの選び方から、養生のノウハウ、金粉の落とし方・・・・・・長い経験で得たノウハウを貴重な情報ソースにまとめ、メッシー・カルチャーの啓蒙活動に日々取り組んでいる。

ラマスキー氏が「異色肌ギャル」と出会ったのが2017年。ひょんなきっかけから撮影した写真がネットに拡散し、予想をはるかに超えた反響を呼び起こすことに。その顛末を本人が語ってくれた——

2017年5月、miyakoちゃんのツイッターにある一文が書かれた。「異色肌の撮影会をしたい!」ほほう、異色肌とな。

確か、miyakoちゃんは黄色ギャルを前にやってた覚えがある。面白そうと思いつつも、miyakoちゃんなら色んなカメラマンとも付き合いがあるだろうし・・・・・・。迷いつつ、楽しそう!やってみたい、とリプライしてみると、数週間後、miyakoちゃんからDMが入りました。モデルさんは約15人。カメラマンメンバーは自分含めて4人とのこと。撮影場所は新宿歌舞伎町のロボットレストランの待合室。入ってビックリのギラギラでエレガントな空間。巨大なモニター、キラキラのバーカウンター、豪華で巨大な椅子、すべてが異空間でした。

撮影日当日、準備場所で数時間かけ、ドーランを塗っていきます。カメラマン陣は男なので、小部屋で待機。モデル人数が多く、撮影時間も2時間と限られていたので、それぞれがテンポ良く好きな場所で撮ろう、という話でまとまりました。

撮影が進み、終盤になったころ、miyakoちゃんの写真を撮っていないことに気がつきました。残り時間は少なく、数分間で決める必要があります。ワンシャッターごとにポーズを変えてもらい、色んなパターンを撮りました。撮影時間は1分ほどで終えましたが、miyakoちゃんは表現者として素晴らしく、短すぎる時間でも不思議と不足感はありませんでした。

撮影データを持ち帰り、データを整理し画像処理。わくわくしながらデータをまとめ、ノリと勢いで色合い調整をかけました。6月25日の撮影から次の夜、興奮冷めやらぬまま「ウチらがいちばんカワイイし」とのキュートで挑発的なコメントと共に、miyakoちゃんより写真が発信されました。

メンバー全員の「楽しく遊んだチカラ+暴走力」が突き抜けた結果でしょうか。みんなで一斉に写真を公開した途端、ツイッターの通知が止まらなくなり、スマホがフリーズしました。通知は99+になったまま張り付き、しばらくスマホでツイッターを見ることができませんでした。

ありとあらゆる人種の方がRTとイイネ!したくださり、RTのアカウントを見ると、アメリカや台湾はもとより、南米やアフリカ大陸、欧州など、世界中の人が反応していました。肌の色については海外の方が敏感で、国によってはシビアな問題になるのに、日本からこんなふうに発信されたことに驚く記事が多く見られました。

それからはテレビ番組に出演したり、週刊誌のグラビアページに写真が掲載されたり、広告撮影の依頼まで舞い込みました。異色肌ギャルと出会った2017年は、1枚の写真によって人生が変わってしまうことがある、というのを実感した年になりました。

ラマスキー Twitter

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